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「仏教」と「猫」

合掌

季節は12月となりました。秋晴れが続いていた東京は、すっかり冬の寒さが漂ってきています。

今日は仏教にまつわる動物の話として、「猫」をご紹介したいと思います。
仏教の動物といえば「干支」が馴染深いと思いますが、皆さん、干支の動物を思い出してみてください。

子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥

ご存知の通り、干支には猫がいません。
たまたまいないだけじゃない?と思われる方も多いと思いますが、実は仏教には猫についての諸説が至るところに出てくるのです。

そもそも干支の由縁として有名なのが、多くのお寺で飾られている「涅槃図(ねはんず)」というものです。

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この涅槃図とは、沙羅双樹のもとでお釈迦様がご入滅されたときの様子が描かれた絵画でして、正覚寺の本堂にも飾られています。

一般的に涅槃図では、お釈迦様を囲むように、人間や動物、昆虫、鬼から菩薩まであらゆる者が嘆き悲しんでいる光景が描かれており、実はすべての登場人物に一人ひとりに名前と、お釈迦様とのエピソードが詳細に込められています。
今回は涅槃図の詳しい解説については割愛させていただきますが、この絵の中には、多くの動物たちも描かれており、まさにこれが干支の由来に繋がる描写なのです。

そもそも干支の順番は、お釈迦様のご入滅に駆けつけてきた順番と言われています。

まず、一番最初に駆けつけようと走り出したのは牛でした。
しかし、後ろから追いついてきた鼠が牛の背中に飛び乗り、お釈迦様のもとに到着する寸前に鼠は飛び降り、一番に到着したと言われています。

その次に牛が到着し、続いて虎→兎→龍→蛇→馬→羊→猿→鳥→犬→猪という順で駆けつけ、それが今の干支の順番となったそうです。

そして、猫がいない理由についても、この涅槃図から多くの説が語られています。

一般的に広まっている説は、
沙羅双樹の木に引っかかってしまった薬入りの巾着袋を、お釈迦さまのために鼠が取りに行ったところ、猫がそれを邪魔したため描かれていない

他にも、
猫は昼寝をしており、それを見た鼠は日頃快く思っていなかった猫を起こさずにそのままにした

猫は死人を動かしたり、食べてしまうため

など、多くは「猫=悪性説」が広く語り継がれています。

しかし、これはあくまで俗説。

中には「そもそも飼猫はエジプト辺りから移入されたもので、当時のインドでは猫が浸透していなかったのでは」という悪性説を否定する主張もあります。

また、文明開化期の明治時代では、
猫は死人を動かす悪性の動物ではなく、そもそも猫の皮は静電気を発するので、人に感電して体が他動的に動いただけだろう」などという主張もあり、今でも本当にさまざまな説が議論されています。

仏教と猫。
真相は未だ解明されてはいませんが、それだけ説が錯綜するほどに、猫には人間を魅了する何かがあるのでしょう。

お寺によっては猫が描かれている涅槃図というものも存在します。
そして実は、正覚寺に飾られている涅槃図にも猫らしき動物が描かれているのです(!)

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↑写真中央に「猫」のような動物がいます。

個人的にも、正覚寺の境内でもスズというとても可愛い猫が住んでいますので、あまり「猫=悪性説」を肯定はしたくありません。
そもそもお釈迦様の教えはすべてのものを分け隔てなく救済してくださるものであり、猫だけが涅槃の場に参加できない理由はない気がします。

なので、これからも正覚寺では、猫も含めてこの世の生きとし生けるものすべてに祈念をして過ごしていきたいと思っています。

最後になりますが、今日挙げた説はあくまで諸説のひとつで、見解は人それぞれです。もし詳しい方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントなど頂けましたら幸いです。

それでは師走と季節になりますが、どうぞお体ご自愛してお過ごしください。


再拝


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