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「忖度」して仕事を増やす人たちが足を引っ張る社会

私の勤務校でもICT化が進んでおり、以前であれば紙でやり取りしていた書類関係もある程度データだけで回すことが増えてきました。

職員会議の資料などもデータ化し、今年度はメール添付式から共有フォルダで確認の形式に代わったため、データの管理や連絡など業務削減に大きな効果が見られました。

ICTが苦手な年配者とアプリ依存若年者への配慮

ICTの扱いが苦手な年配の方は依然として多いようです。

特にここ数年特徴的な現象としては、WordやExcelができる人の中にICT利活用が苦手な人が含まれるということです。

文書作成スキル自体は十分に高い人であるのに、カメラやオンラインの設定、ファイル共有関係の知識が浅く、運用が苦手なのです。

おそらくはワープロ世代で、ワープロをPCに置き換えて使っていた世代なのでしょう。情報端末としての利活用スキルが低くアンバランスなスキル構成の人が多い印象です。

また、若年層の20代はPCの扱いが苦手な人が増えています。生徒にも見られる傾向なのですが、明らかにタイピングやフォルダ形式のデータ管理に慣れていません。こちらは、アプリベースでの作業に特化したスキル構成になっている印象です。

スマホ世代的特徴なのかもしれません。

そして、この両世代の一定数の人に配慮した結果、紙の書類を印刷して配布することが結構な頻度で発生しています。

出来ない人に合わせるのではなく、出来るように個別にサポートする

出来ない人に合わせるという習慣がこれまでの「学校文化」においては多かったのではないでしょうか。

あるいは、「日本文化」と拡大しても良いかもしれません。出来ない人が一人でもいれば、その人に合わせて使わない。皆で平等に不便になる、という考え方です。

しかし、このやり方が限界に来ているのは間違いありません。

金銭的に豊かであったり、時間に余裕があったりすることでそれを可能にしていたからです。しかし、世界でも最低水準の生産性や教育支出がOECD平均を下回る現在においてはどう考えても不可能です。

ところが、逆に技術の進歩は個別サポートを可能にもしました。動画による説明であれば繰り返し再生可能です。大人相手に説明する分には十分なシステムといえるでしょう。
(それですら難しい人は速やかに退場をお願いするのが社会のためです)

無駄な業務を増やす「忖度」

そうしたサポートが可能にも関わらず、無駄な業務を増やす人たちがいます。

年齢が上であったり、役職が上であったりする人に対し「忖度」をする人たちです。

上の世代などのICTが苦手な人たち本人が、それらの機材やシステムを使わないように指示を出すことはほとんどありません。なぜならば、それは自分の修養の不足を表明すると同じだからです。普段から経費の削減などに厳しい立場の人も多いでしょう。

しかしながら、上の世代に「忖度」をする人たちが無駄なコストや時間をかけて印刷し、実際に合う必要の薄い会議などもリモート形式を中止することになります。

出来ない人よりも「忖度」する人がブレーキをかけている

つまり、実際にはスキルのない人たちは一定数存在するが、それをサポートすることは十分に可能なのです。したがって、彼らの存在はもちろんプラスではなくとも、極端にマイナスにはなっていないのです。

そして、成長や効率化にブレーキを掛けているのは、実は現役世代の心優しい「忖度」愛好家達なのです。

彼らこそが組織や社会の足を引っ張り、成長を阻害しています。

私達自身が常に不必要な配慮を行い、「忖度」をしていないかを意識しつつ、出来ない人を積極的、効率的にフォローする姿勢が必要でしょう。

その姿勢が「忖度」愛好家を撲滅させ、より過ごしやすい環境を作る準備のように思います。

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