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2023/6/12週|イノベーションのジレンマが見落としているもの

先週くらいから胃痛に見舞われていたので、今週病院に行きました。

通常外来で医師の問診を受け、医師の判断で後日胃カメラを受けるかどうかを決めるプロセスなのですが、この日医師から告げられたのは

「…今日、胃カメラしていきます?」

というもの。

(え、、問診でだいぶやばそう、、?)
とちょっとひんやりしたものを感じましたが、通常通りのプロセスだとだいぶ先の日程になってしまうとのこと。

課題や問いが先にわかることが競争優位だ!(何に)
と考える身としては結果がどうあれ先に診ていただけることに感謝しつつ、お願いしました。

結果、大事には至らなそうな結果で薬を飲んで治していくことになりまして、、普段皆さんもお忙しい日々を過ごしていると思いますので、ぜひご自愛ください。
(ちなみに医師によると原因はストレスと生活スタイルのダブルパンチの模様で、見直しを命じられました😅)

。。。

イノベーションのジレンマを体験した筆者が語る示唆

What Clay Christensen Missed
- A Personal Story About How Disruption Happens and Why It’s So Hard to Stop (クレイ・クリステンセンが見落としたもの - 破壊はどのように起こるか、なぜ止めるのが難しいかについての個人的な話)
という記事を読みました。

筆者は、タイム・ワーナー社(アメリカの大手メディア・エンターテインメント企業:出版、映画、テレビ、音楽、インターネットなどの多岐にわたるメディア関連事業を展開)において、戦略的課題に対するアプローチの調整を担当するCorporate Strategyグループの責任者だった人物です。

自分がクリステンセンの『イノベーションのジレンマ』を最初に読んだのは確か21歳頃でしたでしょうか。破壊的イノベーションのメカニズム(きちんとした意思決定を重ねているが故に失敗を招く等)に、経営学の面白さや意思決定の難しさを感じて、この領域を学んで(その後ゼミは経営学にした)、仕事をしてみたいなと思った記憶があります。

イノベーションのジレンマについて、上記の記事の中の解説を引用します。

・このフレームワークは、巨大なリソースを持つ大きな既存産業が、小さなブートストラップの新興企業によってどのように破壊されるかを考えるための最も強力な説明モデル
・新規参入者は、ある市場をターゲットにします。通常、その市場は、顧客のニーズをオーバーシュートし、コストが高すぎる製品で、顧客の大部分に過剰なサービスを提供しています(そして、顧客ではない多くの人々を排除しています)。
・他方で、新しい技術や新しいビジネスモデル(これらは個別または集合的に「破壊的イノベーション」である)は、劣った製品をより低いコストで提供することができます。
・既存企業は、その脅威を排除するか、自分たちが知っている唯一の方法、つまり、従来の性能指標に沿って製品をさらに良くする(「持続的イノベーション」と呼ばれる)ことで競争し、市場のローエンドを譲り渡す。
・新興企業の製品は、従来の性能指標に照らして改善され続け、既存企業の顧客ベースの割合を徐々に大きくしたり、これまでサービスを受けていなかった新しい顧客を引き付けたりするようになります。
・また、新興企業は新しい機能を導入することが多く、それが成功すれば、消費者の品質の定義が変わり(つまり、新しい性能の尺度が導入され)、競争の基盤が変わる。
・コアビジネスの衰退を目の当たりにした既存企業は、ついにタオルを投げ捨て、できることなら反乱分子のビジネスモデルを真似ようとする。しかし、たいていの場合、そのようなことはできず、手遅れになる。
「偉大な企業は、破壊に直面したとき、『最高の顧客の声に耳を傾け』『製品をさらに良くする』という、あらゆることを正しく行うことで失敗する」
・既存企業は(賢明にも)既存顧客の声に耳を傾け、その結果、イノベーションを維持することに集中するのである。既存顧客重視の姿勢は、社内プロセスで制度化され、上級管理職でさえも破壊的イノベーションへの投資転換を難しくしている。

What Clay Christensen Missed より

以上がイノベーションのジレンマの概要ですが、この記事のタイトルは「クレイ・クリステンセンが見落としたもの」であり、上記で "既存企業" に該当するようなタイム・ワーナー社に在籍していた筆者から見た 「Netflixや破壊的イノベーションを止めるのがなぜ難しいのか?」について個人的な考察を述べたものになっています。

記事では時系列でタイム・ワーナー社の立場からNetflixの脅威へ対抗するストーリーが綴られていますが、諸々の試行錯誤を経験した後に感じた下記の示唆が非常に興味深いです。

企業が破壊されるのは、利害が一致しない多くの利害関係者がいるからであり、彼らがそれを見抜けなかったり、何が問題なのかを知らなかったりするからではない。
・企業が破壊されるのは、従業員(高給取りの強力な経営陣を含む)、労働組合、ベンダー、流通業者、「補完者」、役員、株主など、利害が一致しないステークホルダーが複雑に絡み合う生態系の中で事業を展開しているからです。このため、ディスラプションが遠くからやってくるのが見えていても、それを阻止するのは事実上不可能なのです。
変化をもたらすには、多くの「イエス」が必要だが、適切な「ノー」が1つあれば、変化を妨げることができる。

What Clay Christensen Missed より

感想メモ

「破壊的イノベーションの存在には当然気づいていて、色々な手は模索するし打ってもいくのだけど、生態系が複雑化した段階ではもはや手遅れ(対応ができない)」という考察でした。

もう一度引用してしまいますが、以下はわかりみが深淵…

・変化をもたらすには、多くの「イエス」が必要だが、適切な「ノー」が1つあれば、変化を妨げることができる。

What Clay Christensen Missed より

じゃあどうする?

と言われるとまだまだ考えがまとまっていないのが正直なところですが、少なくとも、一般に組織内でエントロピー(組織やシステムの乱雑さや複雑さを示す尺度)が増大しきった状態、つまり組織ごとの役割を明確化し、固定化し、そこから時間が経っていくと発生するジレンマがあることは理解できました。

役割期待を設定する、明確にすることが良しとされているし、特に個人単位ではそうあるべきなのですが、正しい意思決定を積み重ねていくことで「柔軟性・適応性のない組織」を産んでしまうという構造ですね。

(追記:ヒントになりそうな『「動的平衡」から構想する“能動的破壊”で生まれる組織の持続性』)

柔軟性と固定化(複雑性)のバランス、個人的に考え続けたいテーマです。(「自分の健康」は柔軟性の世界の属すると思う(意思決定者自分だけ)ので、健康には気を配ろうと思いました…)

📓この記事について

株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
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