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2023/1/16週|組織が大きくなるに比例してアウトプットが増えていかないように感じられる場合に何が起きているのか?についてのメモ

スタートアップに所属する中で、組織人員が伸びていても組織全体としてのアウトプット(出力;ここでは何らか設定した課題に対する成果物を指します)が当初期待していた感覚、つまり人員数の伸びに比例するほどに増えていない感覚になることってありませんでしょうか?

今日はそういう時に何が起きているのか?と、どういうことをやっていくと良さそうかについて書き出してみるメモになります。

後述しますが、自分の経験上は色々な要素が複合的に積み重なっているように思われるので、何が起きているのかをきちんと観察の上理解し、その中でも重要な課題について組織(グループ・チーム)全体で共通理解を築きアウトプットの最大化を妨げる要因の排除に努力投入をしていくことがマネジメントの仕事として大事だと考えています。

過去の経験から、この感覚に陥るときは大きく2つに大別されると思います、ので順に書いていきます。

(1)実際にはアウトプットが出ているがマネジメントが見えていないだけというケース

マネジメントがアウトプットを認識できていない状態で、実際にはアウトプットの出力は人数の増加に伴い上がっているケースです。
これはアウトプットが出ているだけマシですが、これはこれで課題があると感じます。

現象①:適切なレポートがされていない(レポーティングの課題)
レポートに要求される事項の理解が明確になっていなかったり、あるいは人によってばらつきがある場合、レポートの差が大きく、会議中に追加の確認事項の要求が出たりします。レポートの質が下がっていることにより最終アウトプットが薄い印象を持つことになりがちです。

これはレポートする側のスキルの問題もあるかもしれませんが、マネジメント側の要求・設計で解決できる部分も大きいと考えています。

🚩対策:
例えば「レポートの型」をつくっておくことで、情報取得にかかる時間などを含めたコストを減らす努力をしつつ、水準感をあわせにいく

(2)アウトプットが伸びていないというケース

こちらはその名の通り人員の増加の割にアウトプット(出力)が増えていないケースです。

人員が増えている(インプットが増えている)にもかかわらずアウトプットが増えていかないということは、間の処理速度に該当するものが落ちる理由があるはずです。

立てた方針や戦略の成功確率を高めるには「大胆な投資」が必要なのはマッキンゼーが考察した『ホッケースティック戦略』(下記)でも提唱されています。
ここで大胆な投資を「人の時間」と捉え、人員を注力したとしても、処理速度のところに何らかの課題があれば出てくるアウトプットの打率は下がることになります。そういう意味でも冒頭の「組織が大きくなるに比例してアウトプットが増えていかないように感じられる感覚」は "やや危険" な状態と捉えています。

では、何が起きているのか?下記のようにいくつか考えられます。

*本記事では、『ザ・ゴール』のように生産ラインの中で特定ボトルネックがある場合というよりも、全体的にリソースが不足しがちなスタートアップにおいて発生するケースを念頭に置いております


現象②:マネジメントの設計やプランに曖昧さがあり、スピードが遅くなっている
これは下記のようなものが具体例です。
・目指すべき目的地(達成条件やモニタリングするべき指標、あるいはアウトプットイメージなど)が曖昧のため、課題を解く担当(メンバー)の意思決定に都度迷いが発生する。
・解こうと設定している問い(課題)の精度そのものがイマイチ(例えば、今解くべきか(Why now?)の検討が浅いままメンバーのリソースを充ててしまっており、解いたとしても高品質なアウトプットとならない)
・優先順位が明確でない分、解くべき問いの数が増え、メンバー一人当たりの担当量が増大しリソースが分散してしまう上、問いの見直しが発生しない。

🚩対策:
これが発生する場合にはえてしてマネジメント側に改善するべきところがありそうですので、マネジメント側として、問いの立て方や戦略・アウトプットイメージの共有に課題がないか見直してみる。
走り出す前に山頂の旗を確認しておく。
また、問いの検証を行うタイミング(チェックインMTGのようなもの)をあらかじめ設けておき、問いの棚卸しを行うことで時間の使い方の精度を高める。

現象③:組織が大きくなっても同じ人が決めている
スタートアップあるあるではないでしょうか、権限委譲の話とも言えます。短期間に人員が増加していくケースなどに置いては、権限周りの整理が追いつかず、相対的に少ない人数の時から意思決定をしていた人材がそのまま意思決定すべてを持ち続けることが見受けられます。
となると、その人とのコンセンサスをとりにいく必要があり、意思決定者がボトルネックになりがちです。
あるいは中途半端な委譲もスピード感を損ねる可能性が高まります、複数の意思決定者がいる分、調整コストが膨らんでしまうからです。

🚩対策:
職務権限までいかないもの(例えばプロジェクトの中の意思決定)についても、誰がどこまでの意思決定をするものかということをマネジメントがきちんと整理しておき、その期待値をプロジェクトオーナーと揃える。
(オーナーを渡したらあとよろ、としない)

現象④:人数が増える分、増大するコミュニケーションに多くの時間が費やされている
これは新しいメンバーが増えてくるとその都度これまでの文脈やドメイン知識、あるいは専門領域の知識含め様々なことをキャッチアップしていただき共有知を作る必要があります。
この種の学習コストが発生するので、そもそも構造的に人の追加 = アウトプット量の増大とはならないものだと思います。
同時に、人が増えるとコミュニケーションパスも増えるのですが、人間同士の認識のずれもどうしても発生するので、いわゆる "すりあわせ" の時間(コミュニケーションコスト)が増えていくのは一定避けられず、そちらの観点からも組織全体の処理速度は落ちることになります。

🚩対策:
現象③の対策に近いのですが、学習コストは不可避なのですが、コミュニケーションコストは人数を絞れば相対的には抑えることが可能です。
したがって決めてほしいことを整理し、小分けの単位で意思決定ができるような環境を整える。

現象⑤:スキル面が進行上のボトルネックになっている
成長していくスタートアップだとどんな階層でも自分の実力以上の仕事に取り組むケースが出てきます(なので個人としても非連続な成長が叶うわけですが)。個人にとって難しいお題に直面したときにスキル面がボトルネックになり、プロジェクト等の進行スピードが落ち、結果として組織全体のアウトプット量が少なくなってしまうケースもあると思います。
具体的なスキルとしては、プロジェクトマネジメント力もそうですし、数字の扱い、専門知識、説明力、、などなど個人によって課題は異なると思います。

🚩対策:
これはスキルを身につけていく以外にないのですが、マネジメントの役割としては組織のアウトプット量を最大化するという目的に立った時に客観的な視点で個人個人に身につけて欲しいスキルを明示するところまでは行うべきかなと考えています。


以上、今日は組織としてのアウトプット量が期待値ほどに出ていないなと感じた時に起きていそうなこと(と、ちょっとした対策案)について書いてみました。
自省しながら試行錯誤する中でまた思うことが出てきたら追記したいと思います。

それでは今週はこの辺で、お読みいただきありがとうございました🙇‍♂️

📓この記事について

株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
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