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生産性向上の鍵は“助け合える風土”にあり | 静岡鉄道株式会社連続インタビュー〈静鉄おてつたび編〉

鉄道に始まり、バス、不動産、ホテル、スーパーマーケット、カーディーラーなど、静岡県を中心に広く事業を展開している静鉄グループ。

そのグループ本社である静岡鉄道株式会社(通称:静鉄・しずてつ)が、発言しやすい環境、挑戦できる風土、助け合える関係を築くことなど、社内のさまざまな〈のびしろ〉を改善するためにスタートさせたのが「みんなの100日プロジェクト(通称:100プロ)」です。

▼100プロ開始の経緯はこちら▼

今回は7つあるプロジェクトチームの中から、「生産性向上プロジェクトチーム」の池村さんと住吉さんにお話を伺いました。

「生産性向上プロジェクト」とはどのような取り組みなのでしょうか?
プロジェクトを始めたことで社内の雰囲気はどのように変わったのでしょうか?

左・池村英和さん(総務部 情報システム課)
右・住吉昂太さん(人事部人財開発課 兼 未来事業創造部)

部署を越えて助け合う「静鉄おてつたび」とは?

——生産性向上プロジェクトについて教えてください。

池村さん:
私たちのチームのコンセプトは「日常の当たり前を見直して、生産性向上やゆとりのある職場へ」で、業務量や労働時間見直しに取り組んでいます。

プロジェクトの始動は2021年の10月で、現在メンバーは5人です。100プロの参加者の募集から半年ほどの準備期間を経て、本格的にスタートしました。

——具体的にどのような取り組みを行っていますか?

池村さん:
一つに「静鉄おてつたび」というプロジェクトがあります。簡単に言えば、部署を越えて業務の手伝いをできる仕組みのことです。

どこの企業も同じだと思いますが、各部署ごとに繁忙時期にムラってありますよね。自部署が忙しいときに他部署は余裕があって、他部署が忙しいときにうちは暇……みたいな。

そんな繁忙を平準化し、かつ「個性を生かし合いながら助け合える風土や文化をつくる」という目的のもと、〈業務を手伝ってほしい組織〉と〈業務を手伝いたい個人〉をマッチングする取り組みを始めました。

プロジェクトがスタートして約1年半経ち、案件は全体で15、16件ほどになりました。社内でも取り組みへの理解が進んでいるように感じます。

——最初の案件はどのような内容でしたか?

池村さん:
鉄道部の運営するロープウェイ事業でした。例年来客数の増える5月は、ロープウェイの繁忙シーズンです。そこで接客業務を手伝ってくれるスタッフを募集しました。

ロープウェイ事業への「静鉄おてつたび」の様子

他にも、「しずてつ電車祭り」といったイベントやアプリ開発プロジェクト、社内のSDGsの推進企画のお手伝いなど、いくつもの〈おてつたび〉が発生しています。

——参加した方々の感想はいかがでしたか?

池村さん:
管理部門の社員が現場に出向いたりするケースがよくあります。

その方々が、あまり経験のない現場での接客を体験することで、その部署の大変さを理解するとともに、お客さまの声を直接聞く機会にもなり、「非常に貴重な経験ができた」と言ってくれました。

今後は発信を強化していくとともに、どのような理由で参加したのか、どんなメリットがあったかなどをわかりやすく伝えることで、より多くの社員を巻き込んでいければと考えています。

現場での接客の様子

部署とともに踏み出した一歩

——〈静鉄おてつたび〉を進める上で苦労したことはありますか?

住吉さん:
プロジェクトの事務局だけではなく、案件を出してくれる部署側にも一緒に踏み出していただく必要があったというところです。

やはり、最初はどこの部署も「様子見」といった感じで、なかなか案件が上がってきませんでした。前例がないので、「どういう案件が適しているのだろう?」って悩んでしまったのだと思います。だから、最初の事例をつくるところが最大の壁でした。

しかし、チーム側から個別に声をかけていったら、ポツポツと意見が聞こえるようになってきて、二つ三つの事例が出てからは部署側から「お手伝いしてほしいんだけど」と言ってもらえるようになりました。

——お手伝いする側の募集には困りませんでしたか?

住吉さん:
それがですね、もともと個人のほうにも声をかけようかと思っていたのですが、掲示板を見た社員たちのほうから「私、やりたいです!」と声をかけてきてくれて。いい意味で想定外でした。

「会社の理解」を見える化

——池村さんはどのような理由でプロジェクトへの参加を決めたのですか?

池村さん:
どこの会社でもあると思いますが、繁忙期には夜遅くまで業務に追われて、残業時間が長引いたり、一時的にでも他の職員に負担がかかってしまうような場面ってありますよね。

私も社内で、そのような状況に直面し、自分を含め、社員たちがもっと働きやすい職場にするために何かできないだろうか、と感じていました。ただ、自身の業務に追われ、行動を起こすまでには至りませんでした。

そんな折に100プロの募集が始まりました。2021年の4月頃です。

聞けば、社員の「もっとこうなったらいいな」を形にしつつも、個の成長や満足度を上げていくというコンセプトだということで、「これは自分を変えるチャンスでもあるのではないか?」と考え、参加を決めました。

——参加への一歩を踏み出せた一番の理由はなんだと思いますか?

池村さん:
多くの社員を巻き込んでいこうという、事務局(人事部と労働組合)の仕掛けが影響してると思います。

たとえば、社長が100プロの応援団長として関わってくれているように、「会社の上層部が理解を示している」というのが目に見えてわかるんです。だったら、「上司が納得してくれなかったらどうしよう……」と悩むこともありません。

このように、挑戦へのハードルが大きく下がっていたことも、一歩を踏み出せた理由だと感じています。

住吉さん:
100プロ立ち上げの話でも触れましたが、「安心して手を挙げてください」ってことを見える化したり、デザインしたりするところにはとくに気を使っています。

今だったらもっと…

——プロジェクトに参加した後、同じ部署の方々からはどんな反応がありましたか?

池村さん:
それまでは私は、自分自身の業務と、その周辺にしか気を配ることができなかったんですが、今では広範囲に気を配れるようになったと感じています。当時の所属長からも、「広い視点で物事を捉えられるようになったね」と褒めてもらえました。

上司も、私がプロジェクトに参加することを快く承認してくれました。とてもありがたかったです。

基礎的なことですが、普段から同僚や上司に「ほうれんそう」——報告・連絡・相談をしっかりとしていましたし、コミュニケーションもこまめにとって関係を築けていたからこそ、参加への理解もスムーズに得られたのではないかと思います。

——プロジェクトを通して池村さん自身が「成長できた」と感じることはありますか?

池村さん:
参加前より確実に発言・行動できるようになったと感じています。

先程も少し話しましたように、過去の自分は思っていることがあっても、行動に移してまで状況を変えようとすることは稀でした。

ただ、思っているだけでは誰にも伝わらないなって。言葉にして、行動にしていかなければ変わっていかないと、プロジェクトを通して強く感じるようになりました。

私は以前、出向で一年間だけ静岡市役所に勤務していました。行政でなければ経験できないようなことも多く、非常に有意義な一年でしたが、そこでもある種のジレンマも感じていました。

というのも、私はあくまでも静鉄の社員であって、遠慮して発言をためらってしまう場面があったんです。しかし、今だったらもっと積極的に飛び込んで行ける気がします。

——池村さんは静鉄に勤めて13年目とのことですが、入社した当時と比べて社内の様子は変わってきていますか?

池村さん:
住吉を中心に人事部の方針が大きく舵を切り始めてから、やっぱり変わってきていますね。

部門や組織を跨いで協力する姿勢や新しい物事に挑戦していく文化に関しては、とくに強く変化を感じます。また文化の醸成が、私自身を含め、社員各々の自己成長に繋がっていっているようにも感じます。

今後の展望

——〈静鉄おてつたび〉を今後どのように展開していきたいとお考えですか?

池村さん:
まだまだブラッシュアップできる部分はあると感じています。たとえば、「社員一人ひとりが持ってるスキルをもっと生かせないか」っていうところですね。

今はどちらかというと組織が人を募集して、やりたい人がそこに行く形なんですけど、逆に、個人が持ってるスキルにフィーチャーし、組織が必要としているスキルとマッチさせる仕組みがあってもいいのではないかと思っています。

そのためにも、誰がどんなスキルを持っているかとか、それが組織にとってどのように働くかを、調査したり整理していく必要があるかなと思っています。

以前ご紹介した、一緒に働く仲間たちを知るための取り組み〈しずてつ仲間図鑑〉のような、個人の経歴や趣味に注目したプロジェクトとも連携していきたいです。

▼しずてつ仲間図鑑の詳しい内容はこちら▼

——最後に、池村さんから見て静鉄のいいところを教えてください。

池村さん:
責任感のある社員が多いところです。途中で自分の請け負った仕事、案件を投げ出してしまうような人が、うちの会社にはいないように感じます。

お客さまに提供している商品やサービスに誇りを持っているからでしょうか、「最後までやりきる」ということに強いこだわりを持って業務に取り組んでいる社員ばかりです。それはつまるところ、経営理念の「安全・安心・快適」にも繋がっているように感じます。

生産性向上プロジェクトは、私たちを中心に動き始めた取り組みです。始めたからには責任を持って、生産性向上やゆとりのある職場づくりに努めていきたいと思います。

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運営企業:株式会社LEAPH


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