秋めいた微熱
秋めいた線香の匂いをたどる。
息切れ。
やけに彩度の高い空を、
模倣しそこなった右眼。
霜月。
創作意欲を灯火にして、
あとどれくらい生きられるだろう。
書きたいことを、
世界に、かつての自分に、伝えたいことを、
ぜんぶ書きつくしたら、
ぜんぶ伝え尽くしたら、
「もういっか」
になるのだろうか。
その先をわたしは、
生きられるだろうか。
わからない。
わたしはまだ、
なにも伝えきれていない。
世界と話ができていない。
やっと、目を合わせようと思えてきたばかり。
息。
詩を書くことは、
自分と出会いながら、
世界と出会うことだと思う。
自分に潜って潜った先で、
世界と目が合う一瞬がある。
言語化などできない領域。
ことばなんか、と言われる世界で、
それでもことばにすがる日々。
こんな汚くて綺麗でどうしようもないもの、
ほかにないじゃないか。ねえ。
酩酊。
しらふで歩く石畳、
浮足立ったひとひとひと、
わたしはこれからどう生きて、
どう死んでいくのかわからない。
考えても無駄なことを、
考えてばかりの昼下がり。
生まれて死ぬだけだとしても、
このためだけに生きてきた、
と思える一瞬はある。
その積み重ねで生きている。
人生は思い出の余興だよ。
いつまでも微熱の世界にいる。
夢うつつで見ていた景色を、
もう届かない情景を、
ひたすら抱きしめ午後1時。
今日は世界と、
目が合うだろうか。
文学フリマ東京39(2024/12/1)に出店します。
【ね-15】
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オンラインショップ『夕空の本棚』
よい秋めいた酩酊を。
2024.11.9 夕空しづく
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眠れない夜のための詩を、そっとつくります。