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夕空しづく/詩人・小説家
2021年12月31日 12:05
よいお年を、という言葉が好きだ。一年のかなしみもくるしみも未解決の問題も、すべてゆるされる気がするから。会社で交わされる「よいお年を」は、程よくお互い無関心で、程よく労りあっていて、程よくあたたかくて、さみしかった。外に出るとあちこちでひとが酒を飲み吐き散らかし、乾いた吐瀉物を鳩が啄んでいた。一年分の記憶をキャリーケースに押し込めて帰省した。新幹線から見える景色が白くなっていく、脳裏
2021年12月23日 08:53
大人になっても文章を書き続けていたら、言葉に言葉をもらうことが増えた。色んなひとが、色んなところから言葉をくれた。離れたところに住んでいる親友。別の国に住んでいる友達。あまり話したことのなかった友達。別の領域で表現活動をしている、かつてのクラスメート。本好きな小学生だった私、すべてに怯えた中学生だった私、表現活動を始めたばかりの高校生だった私、物憂げな文系学生だった私、人生の過程で出会っ
2021年12月21日 08:49
『貴女は、人間失格ってどんな状態のことだと思いますか?』昨年、太宰治について卒論を書いていた私に、教授が投げかけた問い。私の中に固定された答えはなく、流動的に変化する。卒論で答えを出せなかった問いは、人生を通じての問いになる。今の私の答えは、「世の中、及び人間全体に対する病的な不信状態」。そして同時に、人間失格=神様になることだと思っている。人を信じられない状態は地獄だ。たったひとつ