獣医師シワ男

埼玉県新座市北野でふじわら動物病院を開業している獣医師シワ男です。 西洋医学もやりつつ…

獣医師シワ男

埼玉県新座市北野でふじわら動物病院を開業している獣医師シワ男です。 西洋医学もやりつつ、東洋医学やホモトキシコロジー、オゾン療法などの治療も取り入れた統合医療を軸に動物に優しい治療を心掛けています。 終末期医療や看取り、ターミナルケア、緩和ケアなどにも力を入れています。

最近の記事

一部の犬の太りやすい遺伝子

      ラブラドールは太りやすい子が多い。 今までは「ラブは太りやすいから食事やおやつの与え過ぎに注意してください」 なんて言ってたけど、遺伝子の変異によって太りやすくなってしまうなら 食事やおやつの与え過ぎが原因じゃーないってことになる。 POMC変異を持つ子は、持たない子よりも多くを食べるのではなく 食事と食事の間により強い空腹を感じるんだって。 食べてもまたすぐにほしくなっちゃう。   更にPOMC変異を持つ子は、持たない子よりも代謝が悪くて 消

    • 動物の死を身近に感じることが

      今の社会では死を身近に感じることは少ない。 昔は、鶏を飼って産んだ卵を食べたり 卵を産まなくなった鶏を軒先で絞めて食べたりして、動物の死が身近にあった。 若い人たちは鶏を絞めて食べたことなんてないと思うから 鶏の絞め方なんて知らないと思うし、みたこともないと思う。 人も今はコロナ禍を経て自宅で看取ることも増えたけど コロナ前までは、病院で亡くなることがほとんどで 家で人が死ぬのを看取っていくことは少なかった。 ぼくのじいちゃん、ばあちゃんの時代は 死は身近に

      • 動物の病気の原因が

        動物って人みたいに 「お腹が痛い」とか 「背中が痛い」とか 言ってくれないから、背中触って「キャン」って鳴いたら ぼくら飼主は、背中が痛いって思うけど 実際は、お腹が痛くて背中触った時に 痛みを感じたので「キャン」と鳴くこともある。 お腹が痛いのに背中を一生懸命調べて レントゲン検査しても何も異常なくて、背中が痛い原因がわからないってこともある。 だからぼくは体をよく診て、触って確認する。 お腹が痛くて力が入っていて、ずっと力を入れてることで、背中が痛くな

        • 猫の血液検査の肝臓の値

          猫の肝臓の値って、犬みたいに元気だけど肝臓の値が高いとか 食欲もあって、何も問題がなくて、肝臓の値が高いってことは少ないんよ。 犬のように健康診断したら肝臓の値が高いとか、肝臓の他に原因があって、肝臓の値が上がることは少ないのさ。 猫で肝臓の値が高いと通常肝臓自体が悪い。 なので猫で肝臓の値が高い時は要注意。 猫って肝臓の値のALTの半減期って6時間でASTは77分なんよ。 半減期って何かって言うと肝臓の細胞が障害を受けると 血液中にALTやASTが出るんだけど

        一部の犬の太りやすい遺伝子

          動物の免疫力を高める秘訣とは

          ぼくら飼主は、共の暮らす動物が病気になるとの免疫力を高めたくなる。 なんとなく免疫力を高めると病気がよくなると思ってる。 飼い主さんに 「免疫力を高めるには、どうしたらいいですか?」 「免疫力を高めるには、どの乳酸菌を使えばいいですか?」ってよく聞かれる。 これがクソムズい。笑 免疫力を高めるサプリメントや乳酸菌はあるんだけど ホントに免疫力が高くなっているかわからんから 作ってるメーカーを信用するしかないし 何をもって免疫力を高められると言ってるかは、メー

          動物の免疫力を高める秘訣とは

          高齢動物の不安対応

          犬猫が高齢になってくると 今まで、できていたことができなくなったり 見えていたものが見えなくなったり 聞こえていたものが聞こえなくなったり 匂いがわからなくなることで犬猫も不安になる。 見えにくくなったり  聞こえにくくなったり 匂いがわからなくなることで 今までは、遠くから近づいてきているのが、わかっていたけど それがわからなくなって、急に触られたとか 急に現れるようになるとビックリしてしまう。 それが続けば怖くなって不安になってくる。 今までは、五

          高齢動物の不安対応

          犬猫の偏った食事

             獣医病理医の先生のコラムでくる病の話があった。 ぼくが獣医になりたての30年前は犬猫の食事が粗悪でくる病は時々あったけど 最近は犬猫の食事が改善されて、ほとんど診なくなったくる病。 くる病は、代謝障害やカルシウムやリン、VDの不足によって 成長異常が起こったり、骨が曲がったり、関節が腫れたりする病気。 で最近、気をつけなきゃと思っているのが 生肉派の方がちらほらいらっしゃる。 ぼくは決して生肉派がいけないなんて言うつもりは、毛頭ないんだけど 極まれに生

          犬猫の偏った食事

          猫のワクチンとフィラリア予防の質問

             猫のワクチンとフィラリア予防の質問に答えてみた! 猫のワクチンなんだけど何種を打つのか? 外に行くのか? ペットホテルに預けることがあるのか? などによって違ってくる。    ワクチンは、世界小動物獣医師会(WSAVA)って言うところが ワクチネーションに関するガイドラインを出していて、そのガイドラインでは 猫のワクチンはコアワクチンのヘルペス、カリシ、パルボの3種は3年毎の接種が推奨されているんだけど ヘルペスやカリシは3年毎では、十分な予防効果が

          猫のワクチンとフィラリア予防の質問

          共に暮らす動物から心を教わる

          共に暮らす動物と出会って、ぼくら飼主は人間としての 相手を思いやる心や優しい心を動物から教えてもらっているのかもしれない。 ちなみにぼくは、動物と共に暮らしていなかったら 相手を思いやる心や優しい心を親から教えてもらったことはなく そんな心を持つことはなかった。笑 母親を憎む心 愛情不足による寂しい心 自分は与えず相手に愛情を欲求する心 認めてほしいとほしがる心 くれくれと求めて、くれなければ拗ねる心 相手のことを考えてる風の偽物の心 優しいふりをして、

          共に暮らす動物から心を教わる

          動物の治療が同じだから

          先日、画像診断勉強会で他の先生が 「検査しても結局治療が同じなら、検査しないで治療してもいいんじゃない?」 っておっしゃってた。 確かに検査しても治療が同じなら検査せずに治療しても 間違いではないのかもしれないんだけど、後々変わってくる。 腸管が腫れていて、2週間以上下痢していて、慢性腸症の子の画像だったんだけど 血液検査やレントゲン検査、エコー検査では リンパ腫なのか他の病気なのかがわからない。 そのため、内視鏡検査をして、腸の粘膜の生検をして、診断する必要

          動物の治療が同じだから

          犬猫との関係は子供より

          共に暮らす犬猫は「子供と同じ」と言われることがあるけど、子供とはちょっと違う。 子供は大人になり、自分で生活をしていくけど、犬猫は高齢になってもぼくら飼主と暮らしていく。 共に暮らす犬猫が独り立ちしていくことはない。 子犬子猫の時は子供でも共に歳を重ねていくうちに友になり、仲間になり、伴侶になり 人生の師匠になり、ぼくら飼主に生きることを教えて旅立って逝く。 共に暮らしはじめた以上、必ずいつかは見届けなくてはいけない時が来る。 気づいた時にはいつしか、子供以上の存

          犬猫との関係は子供より

          もう少しはやかったら動物が

             人の救急医療の話の中で、心肺停止の患者さんのご家族にかけてはいけない言葉の話があった。 ぼくも「もう少し早く来てたら助かりましたか?」とか 「もっと前に来て治療してたらよくなりましたか?」 って聞かれることがある。 この言葉の返しにいつも戸惑ってしまう。 過去に戻ることはできないし もしの話は憶測でしかないのでわからない。 架空の話をしても本当にそうなるかどうかもわからない。 「ぼくの憶測でしかないのでわからないです」って言うことが多い。 いい加減な

          もう少しはやかったら動物が

          ぼくら飼主のサポートも

          動物の終末期で不安なのは、動物よりもぼくら飼主の方が不安が大きい。 ぼくは、今まで動物がどう終末期を迎えて どのように旅立つことが動物にとっていいのか、考えてきた。 動物のためなら多少、ぼくら飼主が不安になっても 動物になるべく不安を見せないように笑って過ごすことがいいと思っていて 今まで過ごした時間の恩返しをするように 動物のためにぼくら飼主は最後、踏ん張ろうや! と思っていたけど 最近は、ぼくら飼主のためのサポートも必要だなって思ってきた。 最後は踏ん張

          ぼくら飼主のサポートも

          動物と言葉が話せると

          先日、TVでおもしろい話があった。 「人間が争いをしたり、戦争をするのは、言葉でコミュニケーションを取るようになったからだ」 って言う話があった。 言葉でコミュニケーションを取っていなかった時代は、小競り合いはあっても 暴力で相手を抑え込んだり、武器で殺し合いをすると言うことはなかったんだって。 言葉を使うようになって 言葉で説得したり 集団意識を高めたり することで 「あいつが悪い」とか「あいつのせいだ」って、当事者じゃーない人まで 「あいつが悪い」って

          動物と言葉が話せると

          動物の緩和ケアと統合医療

             ぼくは統合医療を軸に動物の治療をしているけど緩和ケアもしてる。 人の医療のコラムで、緩和ケアと統合診療は考え方が似ていて 「病気を見るのではなく、患者や家族の困り事に焦点を当てると言うこと」と書いてあった。 これを見てなるほどなって思ったんよ。 動物に置き換えて考えてみると 「病気を見るのでなく動物や飼い主さんの困りごとに焦点を当てると言うこと」になる。 そうなんよ。 病気の治療も大事だし、診断をつけることも大事なんだけど 動物の全体をまずは診る。

          動物の緩和ケアと統合医療

          光に反応する高齢犬

          犬でハイシニアになって、認知機能が低下してくると光に対してビクビクと 手足や顔面、頭などが反応する子がいる。 日陰から日なたに出たり、窓から光が入ってくるとビクビクしちゃう。 これは・・・ ミオクローヌスと言って、光や音が刺激になって、筋肉がビクッってなっちゃう。   しゃっくりは横隔膜のミオクローヌスになる。 これが繰り返し頻繁に起こるようになると ミオクロニー発作といって、てんかん発作の1つになるんよ。 認知機能が低下してきて、脳の機能異常が起こって、ん

          光に反応する高齢犬