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「サヘルと8人のこどもたち」

ふと、SNS で目に入った
大好きな俳優・サヘル・ローズさんの初監督作品映画
「花束」

孤児院で育ったサヘルさんが、”表現”に救われてきたこと

”表現”がなければ、生き延びられなかったこと

おなじような境遇の若者たちに、このバトンを繋げ

命をつないで欲しいという想いから

構想を練り、みんなでつくりあげた作品。


NHKプラス(NHK登録済世帯は無料視聴)
に登録し、この作品の制作過程を撮影した
ドキュメンタリー「サヘルと8人のこどもたち」を視聴した。


(NHKねぇ。一般のひとが受け入れられるかたちの
やさしい件しか取り扱わないでしょう。

ガチの被虐待児とかは無い)

そう思っていた。

出演者、8人の児童養護施設出身の男女は
みずからの生い立ちを語り
また当時をさかのぼるなかで、抱える痛みの表現について
探っていく。


外国にルーツのある方も多い。
イスラム系の名前を持つが、どこの国籍なのか
定かでない方も居る。

虐待・暴力の記憶
親戚中をたらいまわしにされ、疎まれた記憶


表面的には明るく、普通のひとたち
大学に通い、働き、むしろ好青年
すぐ隣に居そうな


「(みんな)だって、装ってるんだもん。

どんなに強く見せたって

生きやすさを求めているはず」
サヘルさんが言った。


本当は
大人になっても、
感情のコントロールが出来ず
人とのコミュニケーションに悩むなどの症状がある方


出演者の女性
「あるとき
赤ちゃんを見ていたのですが
赤ちゃんがこけそうになったんです。

こちらは、「あっ、あぶない!」と、なりますよね。
それを見て、赤ちゃんは”痛みを感じる”のだと
気付いたんです」


書籍
”助けてが言えない” 日本評論社 松本 俊彦(精神科医)
P137より

「わたしたちは、悲しみを受け入れてくれる人が居てはじめて
悲しむことができる。
悲しむことは、他人との肯定的な関係を前提として可能になる情動体験である。

孤独で、人間に対する感情が凍りついて麻痺しているときには
泣くことはできない。

悲しむことは、他人や自分との信頼感と
密接に結び付いた”能力”である。」

”悲しむこと”は、人間として
獲得する能力なのか


さきほどの女性
「(そだちのなかで)寂しさや悲しみに寄り添ってくれる
大人が、居なかった・・」と、涙を流す。


(わたしは
大人に殺意を抱いたこども時代を、思い出した。)


人間として生まれ
両親 親族 地域 社会のなかで育つ

人間は、勝手に”人間”になるのではなく

生きた人間が鏡のような役割をし、映し出し
共感能力や慈しむちからを獲得するのではないか

皆、当たり前にそのようにして育つのだけど

安定した養育者・養育環境に育つことが出来なかった子供たちは
どうなるのだろう


人間として当たり前のことのような、
情動調律(感情コントロール)が出来なくなり

さまざまな精神的な生きづらさが派生する

人間として生きる
学ぶ・働く・健康
これに一番必要なことは
「情緒の安定」だと思われる。

情緒が安定していないと、
学びは入らない。


(これに欠ける場合、現時点では精神科にて
薬物で調整していく
筆者はそういった薬を服用する。)※精神療法などの方法もある


劇中にて語られる
親御さんの自死
重い精神疾患
アルコール依存症、また
そこから懸命に
立ち直ろうともがき、施設に預けた我が子に会いたいと
治療を続ける中で、死を遂げた親御さんのエピソードが明かされる


複雑な問題が絡みあい連鎖してゆく
ただ「助けて」って言えばいいじゃん
人間として、それが出来なくなる


虐待されたことは、どうしようもないから
忘れていこう
というより

「育て直す」とよく言われるが
そのヒントを得た気がする


劇中にて、大学卒業後
働きながら音楽活動を続ける、なおやさんという
男性。
自身も、離婚され離れて暮らす娘のために
懸命に作曲されていた。


この映画で、友情出演される
佐藤浩市さんとなおやさんとの会話のやりとりが、
あたたかかった。



たくさんの記憶
美しい自然の風景


撮影が終わり、なおやさんは亡くなった。


サヘル・ローズさんの言葉

「この問題を、社会へ伝えていく」


「だから

生きる」


読んでいただき、
こころより感謝申し上げます。

素敵な一日をお過ごしください^^

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