映画「あんのこと」感想

夜!
映画観にきました!


「あんのこと」
実際に2020年に起こった実話をもとに
制作された映画です。


主人公の杏は
機能を損ねた家庭にて育ち、小学校へも通えず
虐待を受け、道にはぐれてしまいます。

シングルである母に売春を強要され、
薬物漬けにされる。

取り調べで対応した刑事や
記者などとの出逢いをきっかけに、
前向きに社会復帰を目指します。


ひとつひとつ、
地域や周囲とのつながりを得て
また、杏のひたむきさが相まって
信頼関係を築いていきます。


介護職に励む杏。
真面目に勤務する日々のなかで
コロナが発生します。


仕事は長期休暇となり
通っていた、薬物依存症の自助会も
コロナ渦や諸事情で、閉鎖してしまいます。

また、小学校へ通えず
漢字が書けなかったため
国語の学校(外国籍の方など向けに、地域で開かれていたクラス)
へも通い、勉強も頑張っていましたが
そちらも、コロナで長期休みとなります。


実家から逃げてきた杏は
頼れる親族も友人もおらず
孤独を深めていきます。


そんななか
ひょんなきっかけで、ちいさな男の子を預かることになります。

あらゆることが同時に起り
杏は混乱し、より孤立していきます。


最後の最後まで、
杏の選択に
こちらの人間としての良心を
試されているような想いがしました。

これが実話であるとは
あまりに胸が痛く、
しばらく動けずに考えていました。



社会のなかの、声を持たない人

地域のなかに居るその人

「助けて」が言えない人



わたしは虐待について、考えていますが
野生動物なども、育児放棄などの場合
ある程度人間が育て、あとは群れ(野生)に戻したりします。

人間もおなじなのかなと思いました。
劇中の、ひたむきに前を向こうと努力していた杏、
それを支える、周囲の大人たち。

絶望した杏の瞳に、生気が宿っていく様は
たしかに彼女の生きた証として、わたしに焼き付きました。


話は変わりますが、
以前、親子教室で見かけたママさんを
ずっと憶えています。

お子さんのフルネームも。
8年ほど前の話ですが、
ママさんは半身不随で、自身の身の回りのことも
むずかしいようでした。

付き添いもなく、雨のなかを濡れ、足を引きずりながらベビーカーで
押して、歩いていました。


月日は経ち、とある場所で
その子を見かけました。
幼稚園の前でした。

お子さんの様子から
情緒が安定していることがうかがえ、
養育環境も安定していることが推察されます。


地域にはさまざまな立場の方が住んでいます。
また保健師・警察官などをはじめ、地域のなかをまわっている方々は
住民の顔をよく覚えています。

地域には目があり、
あらゆるひとのこころがけで
成り立っていると思います。


自分に出来ることはなんだろうと考えます
気になる人を出来る範囲で気にかけ
挨拶する
笑顔を交わす

杏のことを想いながら、
生きていこうと思いました。


あどけない表情にうつろな瞳で
東京の街を彷徨う姿は、身につまされるものがあった。
心からこの映画に感謝します。

長々とお読みいただきありがとうございました。
機会がありましたら是非、ご鑑賞ください。

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