アイヌの世界に生きる・茅辺かのう
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ーアイヌの世界に生きる・茅辺かのうー
この本は、茅辺かのうさんという方が、アイヌの養母に育ててもらったトキさん(澤井トメノさん)とお話を重ねて作られた、ドキュメンタリー本のようなもの。
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私にはアイヌの血が入っているのですけど、その事を心の底から誇らしく思うのは、今この時代に生きているからなのかもしれない。
トキさんも、大好きなアイヌの養母に育ててもらって、養母に感謝をし、アイヌの文化や慣わしを誇りに思って、アイヌとして等身大で精一杯生きていて
だからこそ、養母から教えてもらった正しいアイヌ語を世に残したい、そんな想いからこの本が生まれたそうなのだけど
外に出ると、どことなくシャモ(和人・日本人)の目を気にして過ごしていて、それがなんだか後ろめたさを感じているように私には思えて
この本に直接的な差別や偏見に関することは書かれていないのだけど、そういったものが文章をつたって感じられ、トキさんの後ろ姿がなんだか寂しくて、切なくて悲しいと感じてしまう。
どれだけ自分が正しいのだと、間違っていないのだと、堂々と生きていたとしても、世間からの差別や偏見を浴び続けているうちに、それらがトキさんやアイヌの方達の心身に染み込んでしまったのだと思う。
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例えば私がアイヌとして、トキさんが生きた時代や、差別や偏見の凄かった時代に生きていたとしたら、「私はアイヌです」と誇らしく生きていけなかったかもしれない。
実際に、アイヌの家系である父方の親戚は、誰もアイヌの話をしませんでした。
幼い頃、私のご先祖様はアイヌだと聞いたことはあったけど、私の覚えている限りでは、アイヌの話が出たのはその一度だけ。
アイヌを誇りに思い、言葉を絶やさぬよう、滅びぬようにと願っていたとしたら、きっと私たちにアイヌの歴史を伝えてくれたはず。
それがなかったということは、アイヌとしての気力を奪われてしまったのか
或いは、流れゆく時代の中で臨機応変に対応し、日本人として生きた方が生きやすいのだと、先代達がそう納得し、その想いが連鎖して今日に至っているのかもしれない。
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アイヌ民族しか住んでいなかった北海道に、土足で踏み込んできたのはシャモ達なのに。
それなのに北海道の、アイヌの文化を排除しようなんてあんまりだなって思う。
だけどその反面で、生まれも育ちも北海道の私は、当時のアイヌの方達に心を寄せたいと思いながらも、日本人として育ったことに誇りもあり、日本の文化や歴史もとても大好きだから、なんとも複雑な心境です。
ましてや最近までアイヌの歴史に興味を持っていなかったのだから、偉そうな事なんて何ひとつ言えない。
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今になっては思うのは、祖母が生きているうちに、こんなふうにアイヌに興味を持てていたら、何か教えてもらえたかもしれないな、ということ。
だけどそれはもう叶わないから、せめて自らアイヌの文化を勉強をするしかないなと思うのです。
そんなわけで、さっそくアイヌの講演会に申し込んでみました。
そしてそして、次に読む本もアイヌのお話。
読み始めるのが楽しみです。
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