しろ子

裏千家茶道、お着物、歴史小説、大和言葉、心について考える事が好き。

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最近の記事

冬虫夏草・梨木香歩

  "凄く好きだな" ページをめくるごとに その気持ちが増していくのを感じながら 読み進めていました   過去と現在が同時に存在していて その2つが混ざり合う事もあるのかもしれない 見える世界と見えない世界は 本当はひとつなのかもしれない そんな事を考えてしまうような物語です ---------- 隣の神主の方を見たら、もうそこには誰もいなかった 覚えず辺りを見渡すと、境内の隅に ふた抱え、三抱えもありそうな年を経た槻の巨木が 梢を風に吹かれて立っていた -----

    • あなたは、誰かの大切な人・原田マハ

      ・   6つの物語からなる短編集で 親子、生死、旅、芸術、女性がテーマとなっている印象でした   誰しも避けて通れないような 誰にでも起こりうる事が書かれてたりして 色々と考えさせられることもあり 自分の人生の中にある 幸せとか、後悔とかそういうのって 人生が終わる直前にならないと 自分では分からないものなのかな、と そんなことを思ったりしました 「幸せ」って 大きく高ぶるほどの幸福感が伴わないと 私たちはソレを「幸せ」だと なかなか認識できないのかもしれませんね 小

      • ー恋歌・朝井まかてー

        この本は、中島歌子さんという歌人の物語 水戸藩の武士と結婚したのだけど、早くに死別 その後歌塾を主宰し、名を残された方   私が歴史小説や時代小説が好きなのは 武士が好きというのもあるのだけど(♡) その時代の言葉や慣わし、価値観や文化 そういうものの全てに魅力を感じているからです 特に戦国時代が大好きなのですが どの作品を読んでも どことなくその時代特有の なんとも言えない哀愁が漂っていて 上手く言えないのだけど そういうところにも惹かれているのかもしれないと 最近思

        • 家守綺譚・梨木香歩

          この本は、私の感覚では 民俗学がベースにある物語だなと思いました 本の説明に ----- 日常にこぼれ出る豊穣な気配 花は人を恋い、水は友を招く それは、ついこのあいだ ほんの百年前の物語 ----- とあります 亡くなった友人が当たり前のように現れたり 草木に心が宿り、その精霊や妖怪達と 当たり前のように心を通わせる 人間と霊と精霊と妖怪が なんの隔たりもなく存在していて 中でも、なんか良いなって思ったのが サルスベリという花のなる木が ひとりの人間を好きなって

        冬虫夏草・梨木香歩

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        • 読書記録
          7本
        • 茶道日記
          1本

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          いのちかげ・砂原浩太朗

          この本は、村井長頼さんという武士の視点から あるじである前田利家さんを描いた物語り 天下を取りたいという強すぎる承認欲求を持った 織田信長や豊臣秀長をそばで支え続けた とっても強い武士 本を通して前田さんの色気がムンムンと伝わってきて 前田さんがとっってもかっこよくて 歴史小説では一番好きな本です 歴史小説や時代小説を読むと 大和言葉や、昔の古き良き日本語を知ることができて、それがとっても楽しい 前田さんの奥さんである、おまつさんが 悪阻で体の調子が悪い時に 「お許し

          いのちかげ・砂原浩太朗

          静かな大地・池澤夏樹

          ・ ー静かな大地・池澤夏樹ー この物語りは、著者の曽祖父である三郎さんという和人の、アイヌと共に生きた実話をもとにした物語。 ・ 「滅びゆく民という言葉が私は嫌いだ。 まるで放っておいたら滅びたかのような言いかた。 滅ぼすものがいたから滅びたのではないか」 この言葉は三郎さんの姪で、和人である由良さんの言葉。 和人にだって、三郎さんや志郎さんのように、アイヌに心を寄せてくれていた人達がいたのだけど、それは本当にごく僅かだっそう。 日本に人種差別はない、奴隷制度もな

          静かな大地・池澤夏樹

          アイヌの世界に生きる・茅辺かのう

          ・ ーアイヌの世界に生きる・茅辺かのうー この本は、茅辺かのうさんという方が、アイヌの養母に育ててもらったトキさん(澤井トメノさん)とお話を重ねて作られた、ドキュメンタリー本のようなもの。 ・ 私にはアイヌの血が入っているのですけど、その事を心の底から誇らしく思うのは、今この時代に生きているからなのかもしれない。 トキさんも、大好きなアイヌの養母に育ててもらって、養母に感謝をし、アイヌの文化や慣わしを誇りに思って、アイヌとして等身大で精一杯生きていて だからこそ、養

          アイヌの世界に生きる・茅辺かのう

          利休忌にて -師とのご縁に感謝する-

          ・ ー利休忌にてー 先月の利休忌に、はじめて先生のお点前を拝見させて頂きました。 障子から差し込む光も手伝って 先生がより一層美しくて、思わず見惚れてしまいました。 始まる前は、先生のお点前を目に焼き付けようと意気込んでいたのだけど 始まってみると、そんな事も忘れて 先生の流れるようなお点前に吸い込まれ、あっという間に時間が過ぎて行ってしまいました。 それでも、その時々で感じたことを心に留めておきたくて 帰宅後、数時間前に拝見した先生のお点前の記憶を辿り その記憶と

          利休忌にて -師とのご縁に感謝する-

          火の神様

          ・ 火の神様ーアペカムイ(アベカムイ) (アイヌ語:火の神様) アイヌ民族の文化では、火には神が宿るとされているそうです。 家の炉の中には火の神が座っていて、家の中を見守ってくれている。 燃えている炎は神の魂、だからその火は絶やしてはいけない、とても大切なものと伝えられてきたのだとか。 自然や日々の暮らしの中に神を見出す文化や、そういった思想に惹かれるようになったのは、私の中にアイヌ民族の血が流れていると自覚してからかもしれません。 こうして、アイヌの文化にほんの少し

          火の神様

          四季を想ふ -桜の木-

          ・ ー桜の木 カリンパニ(アイヌ語:桜の木)ー 日本の四季は本当に美しいなって思います。 季節の移ろいを感じて、吸い寄せられたその情景を慈しみ、美しさの中に浸りながら、いつの間にか胸いっぱいに溜まった心地よい感情が、ため息と共に漏れていく。 私たち日本人は、今も昔も、その感覚を無意識に欲しているのだろうなと思いうのです。桜に対する想いがそうであるように。 例えば季語。桜の季語は数えきれないほどにあって、どの瞬間にも私たちは桜を追いかけている。花が散り行くその瞬間にさえ

          四季を想ふ -桜の木-