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ニキビに悩んだゲイが、若い人たちに伝えたいこと

人生を棚卸しする感覚で、記事を少しずつ更新している。
幼少期から始めて、やっと大学を卒業しそうな時期に突入して、折り返し地点に辿り着いたかなという感じです。

これまで私は、いくつものコンプレックスを抱いて、生きにくさを感じてきました。その大きな要素のひとつに、ニキビ肌というのがあります。今日はそのことについて語りたい。

中学生の頃から始まり、高校でピークを迎えて、30代くらいまで落ち着くことはありませんでした。食事を工夫したり、生活リズムを整えたり、枕カバーを綺麗にしたり、病院に行ったりしても、全部効果がなかった。絶望でした。

思春期だけでなく、社会人になっても、ふとした瞬間に「ニキビ肌である自分」を自覚させられることは多かった。ここからは、私が実際に言われた言葉を掲載するので、いままさに悩んでいる人には刺激が強いかもしれない。


中学生の頃。
仲の良い友人の母親に言われた言葉。

「ニキビ、痛くない?大丈夫?」
言ってる本人にとっては、心から心配して言ってくれたんだろうけど、死ぬほど悩んでいる私は「あー、そうやって言ってくるほど目立つんだ。やだな−…」と感じてしまった。あのときの玄関先での光景は、いまでもありありと瞼の裏に焼き付いている。



社会人1年目の頃。
エレベーターで一緒になった中年社員に言われた言葉。

「その顔、ヤスリで削ったほうがいいんちゃう?」
これは傷ついたー。いま思い出してちょっと心がヒリヒリする。そのときの私はヘラヘラ笑ってその場をしのぐことしかできなかった。心の中では泣きそうになっていた。中年社員は何気ないコミュニケーションのつもりだったんだろう。そこには、「男だからこれくらい言っても平気だろう」という意識も大いにあったと思う。でも、コンプレックスに男も女も関係ない。これは昭和生まれならではの話かもしれないけど。


数年前。
いまのパートナーに出逢う直前、アプリで知り合った年下ゲイに言われた言葉。

「あー、顔が岩みたいだもんねー」
だいぶ酔っ払っていたにしても、初対面でそんなことを言える神経がわからん。初っぱなからずっとクソつまんねえ話しかしない無神経な奴だったけど、この一言でなんかもうダメになった。言われた後、しばらくは我慢して酒を飲んでいたけど、そのうちコイツが寝始めたので、さすがに堪忍袋の緒が切れて、制止を振り切って帰路についた。終電はもうなかったので、2時間くらいかけて歩いて帰った。まだこんなに傷つくもんなんだと自分でもびっくりしたくらい、泣いてしまった。コンプレックスに年齢は関係ない。


そんな私だけど、なんとか健やかに生きることができている。「ニキビ肌の私」だけが私ではないし、それ以外の私を受け入れてくれる人がたくさん居るんだ、という当たり前のことに気づけたからだ。

悩みの真っ最中に居る人は、なかなか気づけないかもしれない。いろんな人と話したり、いろんな本、映画、音楽を楽しんだりすれば、いろんな価値観があることに気づけると思う。

「インスタ映え」という言葉が定着して久しい。若い人の間では写真を加工するのが当たり前らしい。見た目の価値が、私の若い頃より格段に上がっていて、そのことに辛さを感じている人がたくさんいるんじゃないかなと想像してしまう。

ゲイの世界でも、出会い系アプリで評価を競わせるような仕組みがあったり、Twitter(現X)でも画像ばっかりアップしている若い人を見かけたりする。

私と同じように、ニキビ肌などの見た目で悩んでいる人には、そんな雰囲気にどうか飲み込まれないでほしい。

あなたの周りには、あなたを見た目だけで判断しない人がたくさんいるはず。その人たちとの繋がりを支えにしながら、自信を持って生きてほしい。

自分が楽しくなれることを見つけて、夢中になってほしい。その間は、見た目のことなんて忘れてしまうから。

あなたはあなたでいるだけで、誰にも否定できない素晴らしさがある。かげがえのない唯一無二の存在なんだから。



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