”母”という人(旅行に行った話)

母と旅行に行った。

こんなご時世なので、住んでる県から出なかったが、自然がある方に行くことにした。



母は一言でいうと、ネガティブなマイペース人だ。

ごはんを作ってるとき、「お前たち(私と父)はいいね、寝っ転がってればごはんが出てきて」と言う。

そう言うからと思って「今日ごはん作る?」と言うと、「今日はいい」と言われたりする。

話すことは人の愚痴が多いし、一緒にいすぎると私もネガティブになりそうになる。

それでも、母がいると家が明るくなるなと思うことも多いし、基本的に似た者同士なので、笑いのツボが一緒だったりして、話していて楽しい。

母を見ていると、「人間って、いい面と悪い面あるよねぇ」とものすごく思う。

人はいいところだけで生きていけない。その意味で、母は人間味があって面白い。



旅行に行く前、久々に大きな喧嘩をした。

きっかけは些細なことだ。父に対する母の態度が気に入らなかった。

母は、私と父を信じていない、そう思った。

心の底から信じていないだろうと思った。家族なのに。

それが悲しくて、悔しくて、やりきれなかった。

うちは仲良し家族ではないので、過去に母と父の間でトラブルがあったことも知っている。

それでも、過去ばかり見て今を見ていない母が嫌だった。

喧嘩の中で、私の気持ちが伝わらないと思った。それが悔しくて、みじめで、久々に泣いた。



家を飛び出して泣きながら知人に電話をして、話を聞いてもらった。

「君は悪くないよ」と言ってもらったら、すっきりしたのか「私も悪かったな」と素直に思えた。なんて天邪鬼なんだろう。

家に帰ったら謝ろうと思ったら、母は寝ていたので手紙を書いた。

そして、仲直りをした。



旅行はとても楽しかった。

最寄り駅からバスで30分行くと、すべてが緑で覆われていた。

母と温泉に入ってご飯を食べて「おいしいね」と言って寝た。

次の日は川の横道を歩いて、森林浴をした。

私が驚くこと、笑うことに母は共感して一緒に驚いて笑った。

帰りになぜかボーリングをしたいと言うのでボーリングをした。二人の得点を合わせても100点いかないくらいにガーター続きだったけど、二人でするボーリングは、思いのほか楽しかった。



母という人は、未だにわからないところがあるけれど、どんなことがあっても、母は偉大で大切だ。

子は親を選べないし、親も子を選べない。気が合う、合わないもあると思う。私も合わないと思うことも多い。

それでも、今のような付き合い方でずっと暮らしていけたらいいと思う。



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