[小説] X-AIDER-クロスエイダー- (5)
チャロがいるところには、少しも時間がかからなかった。50メートル先に来たところでチャロは、リードとつながっている首輪をかみちぎった。その反動で、おばさんは、チャロのいるところから二メートル先のところまで吹き飛ばされた。
「おばさん、大丈夫?」
おばさんは、上半身を起こした。
「あらまあ、ありがとねえ」
ぼくは、チャロを見る。チャロは道路の真ん中で、からだを震わせていた。
「ウ……ウゥゥ……」
チャロは、どこか悲痛な叫びにも似た鳴き声をあげていた。
「チャロ?」
飼い