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[小説]X-AIDER-クロスエイダー- (12)

「チャコ」
 ぼくが呼ぶと、チャコはランドセルから飛び出した。
「うむ」
 ぼくは、チャコと向かい合った。
「接続、スタート」
 ぼくのその声を合図にぼくたちは光に包まれた。一度裸になるのと、体が大人になるときに、体が熱くなるのにはまだ慣れない。ぼくは変身を終えると、光の中から飛び出すと、思いっきり飛び上がった。
「行くぞ!」
 物陰からさっそうと登場する。そこまではよかった。だが、かっこよく姿を現してすぐ、クロスエイダーは手痛い洗礼を受ける。なんとインベーダーの枝に、思いっきりはたかれてしまった。
「うわああああ」
 そのままあえなく撃沈。
「なにやってんのよ」
 頭の上からマイカちゃんのきついツッコミが降ってくる。
「くそっ、こうなったら仕切り直しだ」
 ぼくは、精神世界に戻った。
「ねえ、どうする」
 ぼくは、チャコに話しかける。
「ふむ……」
 チャコは腕をあごの方へやる。
「また無理に出たらやられちゃうよ」
 ぼくは外を見た。インベーダーは枝をひゅん、ひゅんと振り回している。すると、チャコがこう言った。
「それなら、われわれにいい考えがある」
 チャコは、体の主導権を握った。チャコは上を見上げた。
「これでもくらえ」
 そう言うと、左腕にトゲトゲのついた光の輪っかが現れた。チャコはそのままそれを放つ。投げられた光輪はマイカちゃんが縛られている枝に当たり、彼女はそのまま落ちていった。
「よし、あとはぼくに任せて」
 ぼくは体の主導権を握ると、落ちてきたマイカちゃんを受け止めた。
「大丈夫?」 
「ちょ……どういうことよ」
 状況を理解できていないのか、マイカちゃんは腕の中でジタバタしていた。
「ちょっと、早く放しなさいよ」
 暴れているマイカちゃんを抱えたまま、ぼくはヒロキくんの前に降りた。
「ヒロキくん」
 ぼくがそう呼ぶと、彼は、植え込みから少し顔を出した。
「はい?」
 目の前にいきなり現れたりりしい青年に呼ばれた彼は、目を白黒させていた。
「彼女を頼むよ」
「ああ……ってなんでおれの名前を知ってんの、って聞いてるー?」
「……って、なんであんたがいるの?」
「えー……」
 喚いているヒロキくんとそれを横目ににらむマイカちゃんを尻目にぼくは上へ向かった。
 
(続く)

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