しらさやツミハ

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しらさやツミハ

Twitter→@shira_tsumiha noteタグ: #とある草庵の記録紙 「しらさやツミハ」と呼ばれる生き物の、あまり特別でもない物語。自伝というにはまだ短く、140字にまとめるには長すぎる。 そういった「しらさやツミハ」を読み物として読んでみたい方々向けの記録紙。

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ククツミの軌跡《0.テストプレイまで》【交流創作企画#ガーデン・ドール】

今やってる夏休み企画はこれ。 アテンション0は「ガーデン・ドールってそもそもなーに?」って人向け。 ガーデン・ドールの世界は血なまぐさいゴア表現もあるよ。 ドールは死なないけど、『死』に類した表現もあるよ。 進めば進むほどネタバレが増えていくよ。 ククツミ軸でまとめてるから他のドールの軌跡は追いきれないよ。 企画者のトロメニカさんが作る世界は、基本的に『この世界に救いは無い』だよ。 以上を踏まえたうえで、【交流創作企画 ガーデン・ドール】の世界が気になった方はぜひ。 救

    • Hello, Garden‼︎【交流創作企画#ガーデン・ドール】

      ようこそ。 「……なんだ、まだ夜明け前か」 「じゃあ、これもギリギリ大丈夫かね」 時間を確認すれば、B.M.1424の7月7日。 といっても、太陽はまだお目見えしていないらしい。 「ま、ダメならそんとき。どうせ知らせるなら……あれだわな」 俺はいつもの紙に録音魔法を使う。 『シャロン目覚まし録音用紙』と大きく書かれた紙に、大体8時くらいに再生されるように。 いわゆる、モーニングコール。 ククツミ“ちゃん”になってからあまりしていなかったのだが、最近また日の目

      • Garden Moon【交流創作企画#ガーデン・ドール】

        月は。 B.M.1424、7月6日。 日が落ちた冬エリアは、一段と寒い。 背を預けている道標の木の一部に反射魔法をかけ、次いで指先に発光魔法をかけると、その周囲は僅かながらも明かりに包まれた。 今日は新月であるようで、空を見渡しても一面の黒だけである。 機構魔機構獣の影響か、先日から星すらも見えなくなってしまった。 私は冷たくなったシャロンくんの身体を抱きしめながら、それが来るまで静かに待つ。 ふと見れば、見知った金色の目をしたドールが近くの木の下に佇んでいて。

        • Garden Hearts【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          鼓動は。 Attention ・流血などゴア表現 交流創作企画【ガーデン・ドール】において、最重要ストーリーの要素を含みます。 ……ね、シャロンくん。 なん、だい……? ……私ね、一般生徒を殺したことがあるんだよ。 …………だ、ろうね……なんと、なく……わかって、た…… ……私ね。 …………全員、殺したことがあるんだよ。 欠けていたものは……そういう私だったんだ。 ……幻滅した? どうして、だい……? ボ、クが……見てきたきみは…… その、記憶から。

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        ククツミの軌跡《0.テストプレイまで》【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          Winter Garden【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          白く、透明な世界は。 Attention ・流血などゴア表現 交流創作企画【ガーデン・ドール】において、最重要ストーリーの要素を含みます。 B.M.1424、7月6日。 「やぁ、雪うさぎたち。久しぶり」 すでに日が斜めに傾いた頃、私とシャロンくんは冬エリアに到達した。 「あ……そっか、マギアビーストが出た時に寮に避難してたっけ」 「うん。討伐が終わってから冬エリアに放してあげたんだ。元気そうでよかった」 少し歪な猫の形をした雪だるまはヤクノジくんが、子犬のよう

          Winter Garden【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          Autumn Garden【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          紅と黄色の絨毯は。 B.M.1424、7月5日。 グラウンドでシャロンくんとお昼を食べ終えた私は、その足で秋エリアまで歩くことにした。 もうひとり、件のドールが何処にいるかとアルゴ先生に訊いてみれば、秋エリアに居るはずだと答えられたからである。 なぜ分かるのかは聞かないことにしよう。 秋エリアへの道のりは意外と長い。 許可が無ければ入ることのできないワンズの森を夏エリアの花畑を通りつつ迂回し、川を歩行魔法で横切って近道をしても時間がかかる。 腹ごなしにはちょうど良いが

          Autumn Garden【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          Garden of Sky【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          見上げた空は。 B.M.1424、7月4日、夜。 「明日、お昼を一緒に食べよう?ふたりでお弁当を作って、グラウンドで」 バンクにお願いして、録音魔法をかけたお手紙を穴の向こうの住人に渡してもらう。 すぐに真っ白な紙はバンクと共に戻ってきて、それを手に持つと了承の返事と具体的な時間の提案が音声として流れた。 念話魔法でも構わないような、小さなやりとり。 けれど私は、これを選んだ。 直接話をして、うまく声を出せる自信が、なかったから。 B.M.1424、7月5日。

          Garden of Sky【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          ガーデン・スター【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          みつめあい。 わらいあい。 そんな、とってもゆるふわな決闘。 ソースの香りを添えて、いただきます。 B.M.1424、7月3日。 ガーデンで学園祭が始まった。 生徒が自主的に運営する出店や、グラウンド中央にあるステージでの出し物があるらしい。 しかし今回の現場は、その華々しいステージの裏手にある、小さな吹き溜まりにて。 私とシャロンくんは、向かいあって立ったまま互いを真剣な表情で見つめていた。 観客はふたり。ヒマノくんとアザミくん。 ふたりもジッとこちらを見て、静

          ガーデン・スター【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          ガーデン・メモリー【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          B.M.1424、6月30日。 4ヶ月のスキマから私に戻り、1週間が経った頃。 私は自室の椅子に座り、長いため息をついていた。 今朝は6期生としてあまりにも暴れ散らかす問題児が入ってきたが器量は良いようであり、あまり大ごとにはならないだろう。 おそらく、きっと。 私がため息をついたのは、目下の全員の問題であるマギアビーストに対してだった。 「バグちゃんがフィルム化、ねぇ……」 バグちゃんとは、センセーが『詐欺AI』と呼ぶように、教師AIのひとつではあるらしい。 ガー

          ガーデン・メモリー【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          ガーデン・キッチン【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          たくさんの記憶。 懐かしい記憶。 知らない記憶。 これまでの、大切な記憶の話。 B.M.1424、6月23日、夜。 仕立て屋で服を選び終えた私は、シャロンと別れてひとり寮のキッチンへと足を運んでいた。 「……体感は、昨日ぶり、なんだけどなぁ。……すごく、懐かしく感じるね」 ぼそっと、誰も居ないキッチンの空気を揺らす。 体感は昨日ぶりだとしても、実際には4ヶ月分のスキマがある。 備え付けの設備は変わりないが、食材や調味料がちらほらと場所を変えていることに、私は時

          ガーデン・キッチン【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          ガーデン・コーリング【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          微睡の中、見えた景色の話。 知らない季節の話。 私が、ここに存在する話。 B.M.1424、2月24日。 ぺちぺち。ぺちぺち。 小さな手のひらが、私の頬を叩く。 ぺちぺち、ぺちぺち。 「ん……バンク……あと5分……」 私は寝返りを打って、その手のひらから逃れようとする。 とはいえいつも通り、身体の上をよじ登られて反対側でもぺちぺちされるわけだが。 「バンク……寒いし……休みだし……もう少し……」 私が布団に顔を埋めながら抗議すると、なぜかバンクは一瞬動きを

          ガーデン・コーリング【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          明日の私へ、    。【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          明日の私へ。 きっと明日の私は目を覚ましてから、とても困惑していることでしょう。 私は私のことを、なんとお呼びしているのでしょうね。 僕でしょうか、あたしでしょうか、もしかしたら俺、かもしれませんね。 明日の私はきっと、私と私の記憶を得ているのでしょう。 私が傷つき、私が不安に思い、私が失い、私が得たものを知っていることでしょう。 もし時間があるのであれば、私と私の日記に目を通してみてください。 明日の私にとって理解できない感情があったとしても、その時の私と私は、本気でそ

          明日の私へ、    。【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          それでも。確かに届く音が、ここにあって。【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          B.M.1424、6月20日。 自分でもどうやって帰ってきたのか覚えていないのですが、私は自室の椅子に座っておりました。 窓から差し込む光は、おそらく夕方の日差し。 私は、何時間放心していたのでしょう。 私の首が窓に向いたことで、ベッドに腰掛けていたシャロンさんとバンクさんは目を見開いてこちらに駆け寄ります。 「……ククツミちゃん」 「しゃ、ろ……さ……」 「……ボクの名前は、分かるね。……よかった……」 私はあれから身じろぎもせず、言葉に反応もせず、ただ虚空

          それでも。確かに届く音が、ここにあって。【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          さらけ出された真相と、赤く引き裂かれた現実は。【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          Attention ・流血などゴア表現 交流創作企画【ガーデン・ドール】において、最重要ストーリーの要素を含みます。 これを知る話。やばそうだったら回れ右。 しんどいよ。 B.M.1424、6月20日。 ククツミとシャロンの決闘が終わり、ふたりとロベルトは飼育委員の朝の仕事を済ませた。 コッペところもちを飼育小屋で休ませて、残りの午前中をどう使おうかとロベルトは頭を悩ませる。 「シャロン先輩、手伝っていただきありがとうございました」 「いや、急に押しかけちゃっ

          さらけ出された真相と、赤く引き裂かれた現実は。【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          雨をかき消す、ひとつの快晴。【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          B.M.1424、6月19日。 煌煌魔機構獣が討伐された。 日常が戻ってきた。 誰もが思い思いの時間を過ごしている頃。 「……。」 ククツミは深夜に部屋でひとり、自身の左手に包帯を巻いていた。 それは怪我や捻挫の手当てのための固定というにはあまりにも強く巻かれており、もはや何かを持つことすらままならないような固定具合であった。 バンクが心配そうに目を向けるが、ククツミはその頭を右手でゆっくりと撫でる。 「……大丈夫です。こうしていたいだけ、ですので……」 利き手

          雨をかき消す、ひとつの快晴。【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          真紅、未だ止まず。【交流創作企画#ガーデン・ドール】

          不穏な描写がいっぱいあるよ‪。 ぽたり。 ぽたぽた。 ぐちゃり。 ぼたぼた。 ぼとり。 「ひっ……!」 脳内を掻きむしるような不快な音と共にククツミは飛び起きる。 しかし周りを見渡せど音の出どころは無く、それが自身の夢であることを理解した。 「……ぅ、あ……」 真夜中に目が覚めた主人を気遣うように、バンクは寝ぼけ眼でククツミの手に触れる。 「……バンク、さん……」 その小さな手を握り、ククツミはようやく長く深いため息をついた。 「ごめん、なさい……夢で

          真紅、未だ止まず。【交流創作企画#ガーデン・ドール】