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臨床心理士も唸った!人間心理を見事に描いた2021年のオススメ映画6選!

皆さん。改めまして…
新年、明けましておめでとうございます!

今回の「シネマな処方箋」(私のYouTubeチャンネル)では、2021年総集編!ということで、私が2021年に鑑賞した映像作品の中から、コレは良かった!コレはぜひ皆さんにオススメしたい!と思った作品を前半と後半にわけてご紹介していきたいと思います!
……が、気付けば、2022年が始まってから、あっという間に15日も経過してしまいました…(冷や汗)。

その辺は、やさしい気持ちで片目を瞑っていただけると幸いです。
なにかをやるのに今日より早い日はない!そんな後ろめたさに私は負けない!そんな精神で、私は生きたい。←

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2021年に鑑賞した147本の映像作品の中からオススメを選ぶ際に大半を占めたのは、一人の人間として心が震えたのはもちろん、心理学的な視点をふまえて観ても人間心理が見事に描かれている!と思わず唸ってしまう作品たちでした。

そこで、今回の"シネマな処方箋・2021年の総集編"の流れとしては、前半は、2021年の新作映画から心理学的に観ても素晴らしかった作品を6本、そして次回の後半では、とにかく面白かった!好きだった!そんな作品を新作・旧作を織り交ぜながらご紹介していこうと思います。

それでは、まず前半の6作品を一気にドドン!と、ご紹介していきたいと思います。
ぜひ、YouTubeと併せてお楽しみください!

シネマな処方箋
【Vol.9】臨床心理士も唸った!人間心理を見事に描いた2021年のオススメ映画6選!

臨床心理士も唸った!人間心理を見事に描いた2021年のオススメ映画6選!

※注意※
今回紹介する作品には、暴力的なシーンやショッキングなシーンがございます。フラッシュバック等が不安な方の無理な鑑賞はお勧めしません。もし鑑賞する場合は、信頼出来る人と一緒に観るなど充分な安全を確保した上でご鑑賞ください。

「ファーザー」

https://cinerack.jp/thefather/

公開:2021年 (日本)
監督:フローリアン・ゼセール
出演:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン ほか
上映時間:1時間37分

あらすじ:
認知症の父と、その父を支える娘の物語。何が現実で何が幻か、迷宮のようにスリリングな記憶と時間の混乱、親子の揺れ動く絆を描き、誰にでもに訪れる老いるということの本質を、極限まで突きつけてくる作品。

史穂理コメント:
映画館を出たあと、マスクをしている口から「ヤバイ……すごいの、喰らったわ……」と思わず声が出た作品です。先日、Netflixで再度この作品を観たのですが、これまた喰らいましたし、新たな発見の連続でした。この作品について語るには、あと2回は観たい…。きっとまだ味わえていない旨みが詰まってるはず。「シネマな処方箋 」で扱うには非常に勇気のいる作品ですが、本当に素晴らしい作品なので、私の頭と心の準備ができたら扱ってみようと思っています!(ひゃー!言ってしまったー!)

2. 「すばらしき世界」

公開:2021年
監督:西川美和
出演:役所広司、仲野大賀、橋爪功、長澤まさみ ほか
上映時間:2時間6分

あらすじ:
人生の大半を刑務所と裏社会で生きてきた三上(役所広司)が、人や福祉の力を借りながら社会適応と自立を目指していく過程でさまざまな出来事が降りかかる。不器用ながらひたむきに一つ一つの出来事に向き合っていく三上の姿が、どこまでも人間臭くて愛おしい。

史穂理コメント:
大好きな西川作品。まさに「すばらしき映画」でした。大学院の実習で刑務所を訪れたことがある私ですが、この映画の中の服役と更生の描写はきちんと「本物」でしたし、見事!の一言に尽きます。鑑賞後には、とにかく人間が愛おしくなったなぁ。

鑑賞後に西川美和監督の著書「スクリーンが待っている」を併せて読むのも、おススメです!

「スクリーンが待っている」/西川美和



西川監督のエッセイは、どれも本当に面白い!

「映画にまつわるXについて」
「映画にまつわるXについて2」/西川美和

実は、この映画に出演されていて、良い俳優さんだな〜…と目を細めていたある俳優さんの演技レッスンを、後にご縁があって受けることができ、多くを学びました。また、本作のキムラ緑子さんのお芝居から多くの刺激を受け、俳優としての一つの指針を得た心地がしました。
そういう意味でこの作品は、私に俳優として再始動を決意させる1つのきっかけになった作品でもあるのです。感謝。

3.「空白」


公開:2021年
監督:吉田恵輔
出演:古田新太、松坂桃李 ほか
上映時間:1時間47分

あらすじ:
ある女子中学生(伊東蒼)が、スーパーで万引きしようとしたところを店長(松坂桃李)に見つかり、追いかけられた末に、交通事故で亡くなってしまう。それまで娘のことに心を向けてこなかった父親(古田新太)は、娘の万引きの無実を証明しようとスーパーの店長を追い詰める。そして、その事件に(直接的・間接的に)関わる人間たちに様々な波紋が広がっていく。

史穂理コメント:
東京国際映画祭で鑑賞しました。今年ベスト3には必ず入る作品です。全編を観ると、広告とはまた違った印象を受けるかと思います。そこには、狂気や攻撃性だけでなく、人間のあらゆる真実の姿が炙り出されています。脇を固める俳優陣も素晴らしい。アフタートークで監督もおっしゃっていましたが、この映画は「空白」つまり"わからない部分"を含めて味わう作品。何が正しくて、何が間違っているか?…そういう物差しが物語が進行するにつれてぼやけてくるし、鑑賞後には「映画を作る意味って、こういうことなんだよな」という納得感に思わず感嘆のため息が出る、そんな映画体験でした。
ちなみに、古田新太さんとは、過去に1度舞台でご一緒させていただいたのですが、本当に心根のあたたかい方でした。今回演じてらっしゃるのは周りを掻き乱していく役ではあるのですが、古田さんが持ち合わせているあたたかい懐とかチャーミングな部分が垣間見えて、さすが…と唸りました。また、スーパーの店員役で出演されていた桜まゆみちゃんとも過去に舞台で共演していて、この作品を観た後に久しぶりに再会して語り合えたり…と嬉しい時間が過ごせました。桜ちゃんの演じる役の旨味も半端なかったなぁ。
あ、あと、寺島しのぶさんも、やっぱり半端なかった……居るよね、ああゆう人…という生々しさにゾクゾクしました。必見です!

4.「プロミシング・ヤング・ウーマン」

公開:2021年
監督:エメラルド・フェネル
出演:キャリー・マリガン ほか
上映時間:1時間53分

詳しいことは、昨年アップしたYouTubeで詳しく語っているので、ここでは割愛させていただきますが、間違いなく2021年に影響を受けた1本です。
もし、まだ  ↓ を観てない方がいたら、ぜひご覧ください。


5.「ミッドナイトスワン」

公開:2020年
監督:内田英治
出演:草彅剛、服部樹咲 ほか
上映時間:2時間4分

あらすじ:
常に社会の片隅に追いやられてきたトランスジェンダーの凪沙(草彅剛)と実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果(服部樹咲)との間に生まれる関係性を描いた作品。

史穂理メモ:
閉館する前のアップリンク渋谷で最後に観た思い出深い作品です。家族とは何なのか?という壮大な問いと、人間の孤独と他者との絆について考えさせられる作品。
トランスジェンダーの描き方については、当事者の方々から様々な意見もあるかと思いますが、草彅剛さんの生々しくも繊細な演技は、本当に圧巻でした。そして、目を見張ったのは、一果役の服部樹咲さん。演技も、バレエも、本当に鳥肌ものでした。
すごく余談ですが…私は28歳からバレエを始めて、4年経っても未だにトゥシューズを履けないひよっこバレリーナ(笑)ですが、映画館を出た瞬間はバレエへのモチベーションが爆上がりでした(←単純)。あれから、8カ月…私は相変わらず、バレエシューズを履いて、よちよちピヨピヨ…細々と頑張っています。
※この作品、厳密には2020年に公開されていた映画ですが、私が映画館で観たのが2021年で、今もいくつかの劇場でアンコール上映されているとのことだったので、独断で「セーフ!」としました。そこのところは、ひとつお手柔らかに、よろしくお願いします。

6. 「私というパズル」

公開:2021年 (Netflix作品)
監督:コーネル・ムンドルッツォ
出演:ヴァネッサ・カービー、シャイア・ラブーフほか
上映時間:2時間8分

あらすじ:
マーサ(ヴァネッサ・カービー)は、パートナーであるショーン(シャイア・ラブーフ)との間に授かった赤ん坊を自宅で出産する準備を整えていた。助産師イヴ立ち会いのもと、壮絶な痛みを乗り越えて出産するが、赤ん坊はすぐに死んでしまう。計り知れない悲しみと喪失感の中で、対立の絶えないパートナーや高圧的な母との関係に苦悩するマーサ。やがて彼女は、世間から誹謗中傷を浴びせられる助産師イヴと法廷で対峙することになるが……。

史穂理メモ:
死産に伴う喪の作業(モーニング・ワーク)のプロセスを非常に繊細に描ききっている作品です。人の死を受け容れるまでの歩幅や悼み方は、100人いたら100通りで、極めて個人的なもの。同じ場にいたパートナー同士であっても、そのペースには個人差があり、それに伴って傷つけあったり、思いもよらぬ感情が芽生えることがあるのでしょう。「そんなに、簡単な話じゃない!」という叫びが、そして心の痛みが、ヴァネッサ・カービーの演じるマーサの身体全体をとおして、こちらに迫ってきます。
私は出産未経験者ですが、この作品は、女性はもちろん、男性が観ても多くの気付きと収穫があるのではないかと思っています。全ての方にオススメです。

以上、6作品でした!

中々旅に出かけるのが難しい状況が長く続いていますが、映画はいつも私をまだ見ぬ世界に連れて行ってくれます。
今回ご紹介した6作品は、どれも本当にオススメなので、気になる作品があったら是非チェックして映画の世界を旅してみてくださいね!

今年も積極的に映画を観て、素晴らしい作品を皆さんと共有していけるよう励んでいきますので「シネマな処方箋」共々どうぞよろしく願い致します!

それでは、次回(後半)もお楽しみに~~!!またね~!!

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