見出し画像

私がオンライン留学から得た一番大切なこと ―オンラインで海外大学院に行こう! マガジン #45

こんにちは。
岸 志帆莉です。

このマガジンでは、「オンラインで海外の大学院に行く」というテーマで定期的に情報をお届けしています。

過去に読者の方から「大学院生活から得られた一番大切なことはなんですか?」というご質問をいただいたことがあります。

大学院に行ったことで得られたものは数え切れないほどありますが、今日は私自身にとっての最大の収穫をテーマに振り返りたいと思います。

大学院から得られた収穫

大学院に行ったことで得られたものはたくさんあります。まずキャリアの面では大学院での学びを機に仕事の幅が格段に広がりました。社内での立場が変わり、昇進や昇給も経験しました。社外でもパラレルキャリアに発展したり、ボランティアなど地域に貢献できる機会も増えていきました。大学院で得た知識やスキルを周囲に還元することで、社会のなかでの居場所が増えていったように思います。

それにより、住む場所が変わってもキャリアを継続していける見通しがついてきたのも大きいことでした。今は夫の転勤により日本を離れて海外に暮らしていますが、大学院で得た知識をもとにパラレルキャリアとしてはじめた文筆活動や研究活動のおかげで、いまも細々とキャリアを継続することができています。もちろんまだまだ道半ばですし、将来のことはわかりません。いつかまた東京に戻ったときには会社員に戻るかもしれませんし、また別の働き方をしているかもしれません。ただいろいろな選択肢を持てることで、安心感につながっている感覚はあります。

また細かいところで言うと、学ぶ習慣を取り戻せたことも自分のなかで大きな変化でした。100年時代を生き抜く上で、学び続ける習慣は何にもまして大切なことです。大学院進学をきっかけに、生活のなかで学びがあらためて身近なものになりました。

自分自身とのパートナーシップ

このようにオンライン留学は様々なメリットをもたらしてくれましたが、私にとっての最大の収穫はもう少し内面的なところにあったと思っています。すこし大きなお話になってしまいますが、それは人生を生きていく上での基盤となる自分自身との信頼関係(パートナーシップ)です。

このマガジンでもお話ししてきたとおり、働きながら学習に向かう日々は試練の連続でした。自分の能力を疑ったことや、最後まで走り抜けられないかもしれないと思ったこともあります。そんなピンチを幾度も乗り越えてたどりついたのは、より深い自己理解と、自分自身に対する信頼でした。自分をより深く理解し、自分自身とよりよい関係を築けるようになったことこそが、私にとって大学院生活から得られた最大の収穫です。

イギリスの俳優エマ・ワトソンさんが、過去に自分自身のことを「セルフ・パートナード(self-partnered)」と表現して話題になりました。シンプルな表現ですが、自分自身をひとりのパートナーとして認め尊重する気持ちがみごとに凝縮された言葉だと思います。考えてみれば、生まれてから死ぬまでずっと付き合っていく唯一の人間は自分です。自分自身との信頼関係を築くことは、まさに生きる基盤をつくることと同義です。簡単な道のりではありませんが、大学院への進学やその後に起こったさまざまなライフイベントを通して、少なくともその一歩を踏み出すことができたのではないかと思っています。

大学院は自分の生き方を見つめ直すチャンス

実は、私には長いこと自分を変えなければいけないと思っていた時期がありました。失業や過労による体調不良等を経験し、「今のままの自分ではいけない」という危機感が募っていました。当時はまさに自分自身を変えるために大学院の門を叩いたといっても過言ではありません。

しかし今振り返ってみて思うのは、別人になろうともがけばもがくほど、かえって自分自身の核心に近づいていったということです。思えば失業をきっかけに出版の道に飛び込み、そこでの挫折を経て大学院を目指しました。そして大学院での学びをきっかけにパラレルキャリアをはじめ、ついに書くことを仕事にしました。現在は「文筆活動を通してひとりでも多くの人を機会につなげる」という自分なりのミッションを軸に活動しています。人生の危機に瀕し、何かを変えなければならないと思えば思うほど、私はむしろ自分の本心へと近づくような行動を取っていったように思います。

大学院とは自分自身の関心を深めるところです。決まった流れで授業を受けていけばいいわけではありません。履修する授業から修士論文のテーマまで、すべては自分次第です。自分が本当に探求したいことは何なのか。自分にとって数年間をかけてまでやる価値があることなのか――。自分自身と対話をしながらひとつひとつ決めていきます。一つひとつの決断が、自分自身の声に耳を傾けるチャンスだったと今では思います。

大人の学びとは、自分の生き方を見つめ直すこと

大人にとって学ぶことの意義は、自分の生き方を定期的に見つめ直すことだと思っています。日常生活からすこし距離を置き、広い視野をもって人生の目的を再確認すること。自分の生き方や進むべき方向を定期的に点検すること。とくに人生100年といわれる時代において、自分自身を定期点検しメンテナンスすることの重要性は増すばかりです。定期的に自分自身と向き合うことで自己理解が深まり、より自分自身が望む方向へと舵を切っていくことができます。

新しいことを学ぶときには、痛みや恐怖も伴います。それまで信じていたことが否定されるかもしれません。自分の考えが180度変わってしまうこともあるかもしれません。しかしそれは体の成長に置き換えれば成長痛のようなものだと思います。アスリートの為末大さんが自身のnoteで「新陳代謝とは自己破壊と自己再生のプロセス」と書かれているのを読み、とても腑に落ちました。破壊にはもちろん痛みが伴います。しかしそれはよりよい人生を生きるために伴う一時的な痛みです。新陳代謝があるからこそ自分自身を維持し、よりよいコンディションへ近づけていくことができます。

人生に新しい学びを取り入れることは、自己理解を深め、自分自身とよりよい信頼関係を築くための第一歩です。その先に、より自分らしい生き方を紡いでいくことができたらいいですね。

*********************************
このたび、私のnoteで連載してきた「オンラインで海外大学院に行こう!」マガジンが書籍になりました。

この本では、マガジンからの選りすぐりの記事に加え、新たな書き下ろしコンテンツやワークシート等を豊富に追加しています。皆さまの行動を全力で後押しする内容へとパワーアップしていますので、よろしければチェックしてみてください。
*********************************

この記事が参加している募集

学問への愛を語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?