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海外の大学院に出願する ―オンラインで海外大学院に行こう! マガジン #20

こんにちは。
岸 志帆莉です。

このマガジンでは、「オンラインで海外の大学院に行く」というテーマで定期的に情報をお届けしています。

今日は海外の大学院に出願する際の準備についてお話しします。


出願の流れと必要書類 ―UCLの場合

私が通っていたユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)では、出願にあたり次の5つの書類が求められました。

【出願書類】
・前学歴の卒業証明書および成績表

・志望動機書
・推薦状(2通)
・語学試験のスコア
・願書(オンラインフォーム)

これらをまとめて提出し、受験料を支払って手続き完了です。

ちなみに出願する以前にもいくつかチェックすべきことがあります。学士課程を修了していることはもちろんですが、学部時代の成績が一定以上であることなどいくつか条件がありました。これらは大学によって異なるので、最初に確認しておきたいところです。

必要書類を集める

それでは出願に必要な書類を一つひとつ見ていきましょう。出願プロセスの大半は書類集めといっても過言ではありません。それぞれ簡単にご説明します。 

・前学歴の卒業証明書および成績表

まず学部時代の卒業証明書と成績表はほとんどの大学院で求められます。海外の場合、英文(または現地語)で提出します。

ちなみにUCLでは成績表をGPA(Grade Point Average)という方式によって換算する必要がありました。GPAはおもに欧米の教育機関で採用されている成績評価方式です。最近では日本でも使われているようですが、私が学生のころはまだあまり普及していませんでした。母校が対応しているなら問題ありませんが、そうでない場合は自分で換算する必要があります。私は日米教育委員会(フルブライト・ジャパン)のウェブサイトを参考に自分で換算しました。

・志望動機書

志望動機書は合否に直接関わる重要な書類です。自分の言葉でアピールできる貴重な機会なので、できるだけ内容を練り上げたいものです。

私にとって志望動機書はかなり悩ましいポイントでした。というのも当時は20代半ばでとくに目立った実績もなく、履歴書に書けるような資格も持っていませんでした。大学時代の成績もごくふつうでした。堂々とアピールできるようなものがなく、なにを書けばいいのか分からない……というのが正直なところでした。

しかしそんな私だからこそ志望動機書で挽回しよう、という考えに至りました。こんな私だからこそ、人生に対する問題意識だけは誰にも負けない。なにより「UCLでなければならない理由」と「大学院でやりたいこと」が自分のなかで明確だったので、そこを直球かつ論理的に伝えられるよう意識して書きました。

志望動機書をドラフトし、何人かの人にフィードバックをもらいました。当時たまたま大学フェアでUCLの先生が来日されていたので、その方にもご意見をいただきながら内容を練り上げていきました。

当時の私がUCLに合格できたのは、志望動機書が決め手だったといっても過言ではありません。そのころの私になにか武器があったとすれば、自分の課題意識と学びたい理由が直線でリンクしていたことです。人生に対する問題意識と純粋に学びたい気持ち、そしてUCLに対する熱意。これらにおいて審査員を納得させられたことが合格につながったと思います。

・推薦状

おなじく鍵となるのが「推薦状」です。推薦状とは上司や恩師など自分をよく知る人からいただくお墨付きです。UCLでは2通求められ、私は職場の上司と先輩から1通ずついただきました。それぞれの方からとてもすてきな内容の推薦状をいただき、とても感動したことを覚えています(いまでも記念にとってあります)。推薦状は日本にはあまりない文化でイメージしづらい方も多いと思いますが、知っておくと外資系企業への転職の際などにも便利です。下の記事で詳しくお話ししていますので、あわせてチェックしてみてください。

・語学試験のスコア

海外(とくに英語圏)の大学では語学力の証明が求められます。多くの場合、TOEFLやIELTS等のスコアが指定されます。私はいろいろ比較してIELTSを受験することにしました。しかし当日試験を受けている最中、いまでも忘れられない失敗をしでかしてしまいました。

ライティング試験を受けていたときのこと。IELTSでは試験のときに下書き用の白紙が配られます。下書きに時間をかけ、いざ解答用紙を表にしたときでした。おもわず衝撃を受けました。そこにはわずか数行分ほどの解答スペースしかなかったのです。400 wordsの指定なので、手書きだとA4で約2ページほどの分量になるはずです。しかし実際にそこにあったのは、A4半分にも満たない小さなスペース……。

ど、どうなってるの!?

慌てふためいている間にも時計の針はチクタクと進んでいきます。周囲からはカリカリと鉛筆を走らせる音。
(そ、そんなに書くスペースある? 解答用紙、本当にこれであってる?)
しかし戸惑っていても埒があかないので、大半の内容をカットして詰め込むことにしました。できあがった解答はとてもエッセイと呼べるような代物ではありませんでした。
(絶対おかしい……。一体どうなってるんだろう……) 
困惑しながら解答用紙を手に取ったときでした。一枚と思っていた解答用紙がぱっと開き、二倍の大きさに。そして内側から見開き2ページ分の解答スペースが現れたのです。

そ、そういうことだったのか……!!!

しかし時はすでに遅し。残り時間はもう10分を切っていました。試験官を呼び、うろたえながら事情を話しましたが、「今から書き直すのはやめといた方がいいんじゃない……? 」とアドバイスを受けました。聞かれた試験官の方も困惑されていた様子でした。仕方がありません。事前に解答用紙まできちんと確認をしなかった私の痛恨のミスでした。結局書き直すのはあきらめてそのまま提出することにしました。後日返ってきた試験結果では、ライティングだけ飛び抜けて低いスコアになっていました。

実は試験結果を待っている間、諸事情により語学力の証明が免除されることになり、幸いこのスコアを提出しなくてもよくなりました。しかしこれをもともと大学に送る予定だったことを考えると今でもぞっとします。

ここから得た教訓は、テストの際はあらかじめ解答用紙まできちんと確認すべきということです。模擬試験を受けておけばこうしたミスは防げたのかもしれません。テストでは意外な点が命取りとなるということをあらためて学びました。

・願書

必要書類が揃ったら、いよいよ願書を記入します。UCLでは願書もオンライン化されていました。入力項目が多く内容も複雑なのである程度時間がかかります。最初にざっと目を通した時点で、一日では終わりそうにないことを悟りました。そこで記入項目を別紙にまとめ、内容を移していくことにしました。

願書の入力が終わったら必要書類をまとめてアップロードし、抜け漏れがないことをダブルチェックしたうえで提出ボタンをクリックしました。そのあと受験料を支払って手続きは完了です。UCLの場合、受験料は90ポンドでした(2013年時点)。願書と同じウェブサイト上でクレジットカードを使って支払いました。

すべての手続きが終わった瞬間、ほっとしたと同時に「やっと終わった……!」と解放感に満たされたことを覚えています。仕事と並行しながら数ヶ月かけて進めてきたことを思うと、すでにひと山越えたような思いでした。ここまで来れば、あとは結果を待つのみです。

次回は入学後の学習や生活について振り返りたいと思います。

ちなみに海外の大学院への出願については、下の記事でも詳しく解説しています:

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