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燃え尽きた心、再生の旅路へ - 佐々木くんとの再会 -

こんにちは、紫苑(しおん)です。
今日は実際の友人の話をしたいと思います。
この物語が、どれだけ社会がひとを酷使してボロボロにしているのかについての教訓になればと思いつつ書きました。


プロローグ: 崩れゆく日常

佐々木くんと私は、大学の同期でした。

佐々木くんは、大学時代から誰よりも努力家でした。彼の真剣さは、周囲を驚かせるほどで、まさに人が引くレベルでした。例えば、ある時、彼は学期末のレポート課題に取り組む際、完璧を求めるあまり、一週間連続でほとんど眠らず、キャンパス内の図書館に寝泊まりしていたのです。

彼の集中力は異常なほどで、図書館の机にはノートや教科書が山積みになり、彼自身は寝不足で赤くなった目をこすりながら、次々と資料を読み漁っていました。食事もろくに取らず、友人たちが「少し休め」と声をかけても、彼はそれを一切聞き入れませんでした。

ある日、ついに友人の一人が彼に言いました。「もう限界だろう?少し休んだ方がいいって」。その言葉に、疲労とストレスで極限状態にあった佐々木くんは、「俺がどれだけ真剣にやってるか、わかってないだろう!」と声を荒げ、思わず友人と喧嘩になってしまったのです。佐々木くんの目は血走り、限界をふりしぼって友人に向かって手をあげているようでした。図書館の静かな空気が一瞬にして張り詰めました。

それでも彼は、自分の信念を曲げず、「まだ終わってないんだ!」と強情に作業を続けました。最終日、彼はまるで戦士のように、レポートを提出するためにフラフラと歩きながら教授のオフィスに向かいました。その顔には、達成感と共に、限界まで自分を追い詰めた者だけが味わえる深い疲労感が刻まれていました。教授にレポートを手渡すと、そのままオフィスの前で力尽きて倒れ込んでしまったのです。

教授も驚いて駆け寄り、「大丈夫か?」と声をかけたその瞬間、彼は朦朧とした意識の中で笑い、「やり遂げました」と一言。彼のその姿は、周りの誰もが引くほどの情熱と努力の象徴でした。人々は「あそこまでやる必要があるのか?」と半ば呆れながらも、彼の強靭な精神力と決意には畏敬の念を抱かずにはいられませんでした。

そんな佐々木くんは、まさに努力の鬼と化していたのです。

そんな私と佐々木くんですが、卒業後もそれぞれの道を歩みながらも、時折連絡を取り合う友人関係を続けていました。

それから数年後、某大手有名広告代理店でリーダーを務める彼が、ある日突然、私の元を訪れたのです。
鬼のような残業、終わりなき接待、何千万単位のプロモーションを指揮しているんだ、と佐々木くんはかつての大学時代の彼の表情そのままに言いました。

佐々木くんの残業は、深夜を越えて早朝まで働き続け、週に一度も終電に乗れない日々が続くほどの過酷なものだったようです。接待も、毎晩のように取引先との会食や飲み会が続き、週末も休む間もなく次々とスケジュールが埋まり、帰宅する頃には日付が変わっている状態が常態化していたとのこと。

佐々木くんは苦笑交じりに語ってくれましたが――昔、まだ彼がリーダーになっていない若手時代のころの接待で、佐々木くんは取引先の要望で、派手なクラブでのパーティーに同行したらしいのですが…その場で取引先の社長が突然、「佐々木くん、ちょっと一芸を見せてくれよ!」と無茶ぶりをしました。

断ることもできず、佐々木くんは仕方なく、その場で即興のラップを披露する羽目になりました。さらに屈辱的だったのは、そのラップが終わった後も、取引先からの要求がエスカレートし、派手な衣装を着せられて、女性ダンサーたちの間で踊らされるという余興にまで発展したことです。

周りの歓声や笑い声が響く中、佐々木くんは自分のプライドを捨てて、その場を乗り切らざるを得ませんでした。会場は大爆笑に包まれたものの、佐々木くんの心はだいぶやりきれない思いをしたそうです。

彼の苦しみは、すぐに私の目に映りました。

家に帰る時間がなくなり、妻との会話も次第に減っていったと、彼は静かに語ってくれました。そしてついに、彼の最愛の妻が若い男と駆け落ちしたそうです。

妻の駆け落ちエピソード

佐々木くんがいつものように遅くまで仕事をして帰宅した夜、家は異様な静けさに包まれていました。妻の姿が見えず、彼は不安を感じながら家中を探しました。しかし、妻はどこにもいませんでした。居間に入ると、テーブルの上に無造作に置かれた一通の手紙が目に入りました。それは、妻が残したものでした。

妻が残した手紙

「あなたへ

どうしてこんなにも愚かで鈍感なのかしら

何年も一緒にいたけれど
あなたは私が誰なのか
少しも分かっていなかったわね
あなた仕事、
仕事、仕事ばかりで
私のことなんて見てもしなかった。
だから、私は決めたの。もうこんな地獄のような日々を終わらせるって。

今朝、私は家を出ました。
あなたがこの手紙を読んでいるころには、私はとっくに新しい人生を始めているでしょう…
そう
私は別の彼といます、、
あなたみたいにさ
疲れ切ったリーマンじゃなくて
彼はエネルギッシュでね。
それで私をまるで宝物みたいに扱ってくれるのよ。
彼の笑顔はあなたが忘れた何かを私に思い出させてくれる。

あなたの口座から300万円引き出しました
これからの私たちの新しい生活を始めるために…
今まで私があなたに捧げてきた時間と心を返してもらうだけよ
それに、あなたにはもう
仕事しか残っていないわ
額が少しくらい減ったって困らないでしょ?
300万ぐらいじゃ…
別になんとも変わりないはず。

もうあなたに気を使う必要はないの
あなたは自分の仕事に溺れてればいい。
私はもう二度と戻らないし、あなたと同じ空気を吸うこともないわ。

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