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アイスクリームと脱走者【完結】

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【第51話まで無料】長編小説/全62話/14万5千字程度/2017年に初めて書いた小説を2020年にコミック原作コンテスト用に改稿しました。なんとなく他の作品とは文体が違う感じで… もっと読む
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記事一覧

アイスクリームと脱走者/1

←前回/0.波多君 1.再会    九月のはじめ、大学前通りに面した居酒屋うまし家の店内は、深…

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アイスクリームと脱走者/2

2.酔っぱらい  きのう、九月に入って最初の定休日。  七月にオープンしたばかりの姉妹店、…

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アイスクリームと脱走者/3

3.で?「した」  彩夏のアパートでシングルベッドの両端にそれぞれもたれ、缶ビール片手にく…

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アイスクリームと脱走者/4

4.家の中は 十月になり、学校が始まった。  大学祭に向けて学生の集団があちこちにたむろし…

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アイスクリームと脱走者/5

5.夕風に揺れる 「出かけてくるね」  裏庭に向かって声をかけると、父と目が合った。 「い…

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アイスクリームと脱走者/6

6.アイスクリームはキープで  コンビニでガリガリ君とハーゲンダッツを買い、ヒロセさんの車に乗りこんだ。  ココナッツの香り。なんとなく、気持ちが夏に引き戻される。 「アイス、いっぱい買いましたね」 「ああ、うん。実はさ、千尋ちゃん」  なぜかヒロセさんの声は申し訳なさそうで、わたしは不思議に思って首をかしげた。 「店長、来てるんだよね、今。ついでに、奏とボーズも」  ヒロセさんは言いにくそうに頭をかいた。 「そうなんですか」わたしの落胆は声にあらわれる。 「

アイスクリームと脱走者/7

7.愛は痛いもんだ  店長と一緒にヒロセさんのマンションを出て、そっとスマホを確認すると、…

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アイスクリームと脱走者/8

8.友達とかプライバシーとか  彩夏の部屋にいた”友達”は、切れ長の目をした、中性的な顔つ…

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アイスクリームと脱走者/9

9.離婚届は 「圭、何時に出る?」 「何時でも」  圭はのそっと立ち上がり、緩慢な動作で身…

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アイスクリームと脱走者/10

10.学祭前夜に  十月、最後の金曜日。街路樹はすでに色づきはじめていた。  近づく冬から逃…

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アイスクリームと脱走者/11

11.左手の傷を隠す  深夜の国道を、海岸に向かって車を走らせた。大学からほど近い場所で、彩…

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アイスクリームと脱走者/12

12.そんな時代じゃないから  大学祭一日目。  目を覚ますと、外は気持のよい秋晴れだった。…

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アイスクリームと脱走者/13

13.アウティング?  大学の正門に着いたときには、どんよりした雲が空一面に広がっていた。  スマホを見るとまだ約束まで三十分ほど時間がある。仕方なく一人でブラブラしようと考えていたら、後ろから「千尋ちゃん」と呼ばれた。 「……美月さん?」 「なに?」 「雰囲気違うから」 「そうね」と彼女は微笑んだ。  いつもは黒髪をゴムで束ね、グレーのパンツに白シャツ、ニットカーディガン。目の前の美月さんはカラフルな刺繍がされたブラウスに、大胆な配色のロングスカートをはいていた