何故あと20日で独立起業するのか
パーパス・バリュー・ビジョンの話です。荒い。
前回触れましたが、商品について書くにあたって、なぜ独立してまでやるのか、商品を作って何をするのか、という目標について書くのを忘れてたことに気付きました。(→詳しくはこちら)
やりたいことは以前説明した通り、「塗りの木のリム皿を作りたい」(→詳しくはこちら)なんですけど、それを作ることが意味するところの話です。
なので今回は私の目標・使命・ビジョン・夢について書きたいと思います。
私は70年続く漆器屋の息子として生まれました。
生まれたときから塗り物が身近にあるためでしょうか。
私は塗りの美しさが好きです。
すごく。
光沢が。
緊張感が。
その雰囲気が。
濡れたような質感にある官能が。
薄暗い部屋にあるとそこだけ薄く光って見えるその異質感、存在感、もう最高なんです。
で、この興奮と感激を他の人にも知って貰いたいんです。
「え?それだけ?」って?
違いますよ、これから始まります。
そもそもですが、あなたは漆器って何かご存知ですか?
シンプルに言えば
「器の生地に」
「保護と装飾を目的に」
「塗りを施したもの」
が漆器です。
そしてあなたは漆器にどんなイメージをお持ちですか?
「お椀」「高そう」「職人」「伝統」「手作り」「工芸品」
みたいな感じでしょうか。
そう、ここでのポイントは「伝統」なんです。
現在、漆器には
・伝統漆器
・現代(近代)漆器
という大きく分けて2つの種類があります。
・伝統漆器
それぞれの地場の伝統的工芸品として、あなたが先程想像した通りイメージ通りのモノを作っています。
・現代(近代)漆器
現代生活に合わせたもので、塗料の種類、生地、そして機械化が特徴です。
そして現代漆器はそこにギャップがあります。
お気づきですか?
漆器のイメージの中に含まれる「伝統」「手作り」と「現代」「機械化」
これは殆ど対義的な概念です。
そこの大きなギャップにどうしようもない違和感が発生するのです。
現代漆器をそういう点から偽物扱いする人もいるほどです。
わかりやすく言えば「伝統」と「イノベーション」は食い合わせが悪いんです。
もちろん現代漆器に携わる方々の不断の努力で世間の価値観は変わって来ています。
漆器というカルチャーの本筋を守っているのが伝統漆器の方々なら裾野を広げているのは間違いなく現代漆器に携わっている方々です。
しかし、超斜陽産業の現状を変えるにはそれだけでは足りないのです。
そもそも伝統だ現代だ以前に、漆器そのものを知らない人も多くいる世の中になってきています。
上図は伝統漆器に限った図ですが、現在、この図のときよりも漆器業界は酷い状況です。
ちっともサステナブルじゃない。
少子高齢化だとか、不景気だとか言われるかもしれませんが、単純に多くの人の日常から漆器がいなくなってしまったのだと思います。
それがいいとか悪いとかではないです。
そんなもんです。世界は刻々と物凄いスピードで変化しているのです。
変わらなければ、変わっても変化のスピードが遅ければ置いていかれる、当たり前です。
それでも私は塗り物の未来を作りたい。美しい塗りを伝え広めていきたい。
漆器という概念は伝統、変わらないことを内包しています。
そうである以上、変化を、イノベーションを受け入れられる新たな選択肢を作る必要があります。
そのためには漆器の外に出るしかなかったんです。だから私は独立するんです。
例えるならロスインゴを作った(持ち込んだ)内藤哲也のように。HoT作ったEvilでもいいです。
私が起こしたい革命は、私のように塗り物が好きな人を一人でも増やすこと。
そして私の作りたい世の中は私たち全ての食卓が塗りの美しさで彩られた世の中。
私が何より届けたいのは、伝えたいのは「塗りの美しさ」であって「漆器という伝統」ではない。
塗り物が約1万2400年前から今に受け継がれているのは「職人が作ったから」「人の手作りだから」「伝統だから」では決してないはず。
その「美しさ」だと確信しています。
もっと気軽で手軽でサステナブルな形で作り届けたい。
伝統という名の思い込みに縛られて手段を選ぶようなことはしない。
そういう価値観を届けるために考案したのが漆器でも、現代漆器でもありません。
塗器(とき)という名称の新たな選択肢です。
漆器の伝統から離れた、塗り物の未来であり、イノベーション、そして自由だと思います。
屋号は鴇(トキ)。
japanという英名を持つ漆器に対して、nipponia nipponの学名を持つ絶滅寸前からほんの少しだけ息を吹き替えした日本の国鳥から取りました。
夢は世界に塗りの美しさを伝えることです。
だいぶ荒いですが、今のとこはこれが精一杯です。
内面とモチベーションの言語化は難しい。。。
先々もっと明確化しないといけません。
これは下書きってことでどうかひとつ。
次回からはこの方針に沿った商品コンセプトの話を始めたいと思います。
それともやっぱり事業計画書か?
創業支援事業の潜入レポートか?
とにかくまた次回。
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