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「天職」小説

割引あり


 革靴が病的に好きだった。余ったお金はすべて革靴につぎ込んだ。余らなくてもそうした。ちょっとした体調不良なら革の匂いを嗅いでいれば良くなったし、嫌なことがあれば黙って革靴を眺めていれば忘れられた。眠れない夜に多くの人が酒を飲んでやり過ごす中、僕は革靴を磨いた。

 こうして僕は革靴のために生き、革靴は僕を生かすためにあった。

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2,523字

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