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40代で大学生になった  #14

卒論口頭試問

卒業論文の口頭試問がありました。
研究室まで行こうと思っていましたが
期日が迫っているとのことで
オンラインでの口頭試問でした。

最初の質問は、緊張しすぎて胸が詰まり
言葉を発することもできませでした。
人の前で話すことには、かなり慣れているはずなのに
こんなに緊張したことは・・・
いつ以来?ってくらい久しぶりでし,た。
軽く深呼吸して、咳払いして
「すみません、緊張してしまって」と
しおらしくお詫びしました。

次の質問も緊張が解けず、頭が真白になり
返答に詰まりました。
いくつかの質問にしどろもどろで答えながら
当初は、20分程の予定と言われていた口頭試問を
35分後に終えました。

さぞかし、突っ込みどころ満載の論文であったことと思います。
鼻で笑っちゃうような論文だったと思います。
私自身、取り戻して燃やしてしまいたいような論文なのですから。

「点数低くても落ち込まないでくださいね」
「大丈夫です。単位さえいただけたらありがたいです」

ほめるところなど一つもない論文を無理矢理ほめて下さり、
「胸を張って卒業してください」
と言葉をかけていただいた時には
不覚にも涙がこぼれそうでした。

「でも、まだ単位が取り切れていません」
一瞬の沈黙の後
「では、最後まで気を抜かずに頑張って下さい」
私よりずっと年下のイケメンの指導教官は少し笑いました。

40代で大学生になったけれど、もう50代になってしまいました。

今から勉強して何になるの?

「今から勉強して何になるの?」
姑の冷ややかな言葉が、時々、フラッシュバックします。
もちろん、大学で学んだことを活かして就職して
なんてことはできません。
残りの人生は、今まで生きてきた年月よりずっと短いのです。

何年も大学に籍を置いて学んできました。
お金と時間の無駄ですか?

私は、そうは思いません。
人は、学んでいいのです。
年齢に関係なく、新しい知識、新しい世界を知ることは
この上もなく楽しいことです。
その喜びを誰かに奪われることがあってはなりません。
誰かの学びたい気持ちを否定することもできません。

40代で大学生になって、本当によかった!と
大きな声で叫びたい!

卒業が決まったら、叫ぶことにしよう・・・

次回につづく

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