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日記 凄いカスハラに遭遇した時の話


いつか書こうと思っていたことがある。
それは、今話題のカスハラ。

これはなんとなく、ですます調で書くとしっくりこないので、断定系で行こうと思う。

書こうと思って今まで書けなかったのは、そのカスハラが私に今の今までずっと理解でできない産物だったからだ。

でも先日その人の話を母に振ったところ、母の話を聞いて腑に落ちた。なるほど!と。

ちなみにそのカスハラは暴言などを吐くタイプではない。どちらかと言うと地味でおとなしかった。でもお店を散々振り回して来た為、多分カスハラに該当する。

この人は、私が店頭に立っている時にお店にやって来た。

若い女性だった。
その人はおもむろに私に近づいてこう言った。

「先日こちらでドレスを購入したんですが、ソースをこぼしてしまったんで、シミがついちゃったんですね。だから交換していただきたいんですけど」

言ってることが意味不明過ぎて、そういう時って脳内が追いつかない。

思わず素になってこう返した。

「は?」

すると一瞬お客様はムッとした顔になるわけ。

ちょっとひるむがこちらも黙っていられない。何故ならば、言ってることが無茶苦茶過ぎて、いまだに脳内が大混乱。それで思わず口をついてくる言葉はこれだ。

「あの〜ご自分でこぼされたんですよね?」

私の言葉がストレートのど真ん中過ぎたのか、
それがいけなかったんだろう。

お客様、そこでまたご立腹のご様子。

そして「はい」(自分がこぼしました)と一言。

当然、仰ってる意味がわかりませんが。何言ってんだこいつ、である。

もう、わけがわからない。

自分でソースこぼしてシミつけてそれを店側の責任にして責任取って交換できます?ってどの口が言うか。

どうしたらそう言う発想になる。
言ってることがアホすぎやしないか?
よくそんなこと言えるな、
恥ずかしいとかないのか、とか、

そういう時は一瞬にして走馬灯のようにいろんな疑問や混乱が頭の中を駆け巡る。

で、なんとなく不穏な空気になり揉めかけてる最中に、偶然、館のショップ長が運悪く通りがかってしまった。

立ち止まり「お客様何かございましたか?」とお伺いを立ててしまう。

ショップ長、そのわけわからんお客のお話をかくかくシカジカ、ご丁寧に耳を傾けてしまう。

で、結論、その商品をうちの店が預かることになってしまったわけよ。

半分、ショップ長には、私がいさめられてしまう顛末でさ。

でも、なんでそんな奴の商品を預かっちゃうかなあって話でしょ。

でもその後、館の副店長に呼び止められて経緯を聞かれたから、ことの顛末を細かくお話ししたわけよ。

そしたらば副店長も、第一声が「はあ!?だって自分でこぼしたんだろ?!」

案の定全く私と同じリアクションで。
いやいや、そうなるよねそうなるよね?!って感じ。

でもおたくのショップ長がご丁寧にお預りしちゃったからね。ちゃんと責任取れよ、コンニャロと思うわけ。

で、そういうよくわからないクレーマーだからじゃないのかな。副店長が、自分が引き受ける、と言い、また来たら教えてくれみたいな展開になり、結局大問題に発展してしまった。

ただ私は初めにお会いしただけで、その後は運良くそのお客様との接点は一切なかった。

代わりにその当時はサブだったので(お店の)店長が引き継いで対応にあたった。

だがしかし!

一癖も二癖もあるこのカスハラ、やっぱり普通じゃなかった。

例えば、電話をしても、今おりません。
ようやくアポが取れて来店しても。
こちらがシミをとっても。

「これじゃ嫌だ、もっと綺麗にしてほしい」

新しい商品を用意しても。

「これはここが気になる、だから嫌だ」

お約束の日になっても来ない。
電話をすると、お母さんが出て。

「今娘は大学の沖縄旅行に行っております」

もう何が何やら。

約束を取り付けておいて、
その日に堂々とバックレるとか。
しかもその予定って事前にわかってることじゃん。分かっててあえてそこに約束取り付けてる?はあ?なんだそれ?である。

でも私はそれを聞いた時、まず一瞬、こいつの頭でもいける大学があるのか、という事実に愕然としたというか。

で、私は長年世の中にはこんなにアホな奴もいるんだなと思ってたんだけど、先日母にこの話したところ、

おだてられて気分が舞い上がってしまって相手を振り回して喜んで遊んでしまうんだろうと言われて。それで合点がいったといいますか。

青天の霹靂レベルで理解不能には変わりないけども、VIP待遇のように大事に扱われて気持ちが高ぶって恐らくもっともっとペコペコしてもらいたい、もっともっとずっと大事にされたい、ずっとこの気分を味わっていたい、みたいな感覚に陥るのだろうかと。だからそこから出てこない。ずっと振り回す側でいたい。

恥ずかしいとか、どう見られるとかもなく、とにかく我を忘れて良い気分に酔いしれてくるような、そんなオツムの弱い感じなのかなあと思った。

そもそも私なら恥ずかしくてそんなこと言い出せないけどなとか、まずシミがついたから取り替えてくれというその非常識な発想に至らないよなとか、馬鹿にされるのがオチだと想像つくよなとか、そしたら恥ずかしくて穴があったら入りたいくらい嫌な気分になるけど、

そういう恥ずかしいと思う感覚や常識がこの人にはそもそもないのだ。

なんかこう、普通ならそうだろう、という前提が全く欠落している感覚にドン引きというか。
いるんだな、こういう生命体が。
ぐらいの発見。

変な人に関わっちゃダメだという良い例で、
構造がわかって少し安心したというか、
地球外生命体にでも遭遇したような気分とでもいうか。

今思えば、子が子なら親も親で。
しれっと「今娘は旅行に行ってます」とか言わないでしょ。普通なら事情を聞いて謝罪するところだろと。それを当然のように答えてくるあたり、人畜無害なようで化け物染みてて。

もうだめだ、こいつ、みたいな。
支離滅裂な憐れみまで加わるわけ。

そんなこんなで、散々振り回して、ひと段落した時には、もうこれで本当に終わったんだよなとみんなが何度も確認してしまう徒労感よ。

衝撃だったな、今思い返しても。

まあ、カスハラもいろんなタイプがいるけど、この人は大人しいけどヘンテコというか、
ご自身に妙なトラブルを抱えてるというか、
静かでおバカなクレーマーでしたね。

ちょっとありえないくらい面白い人だったので、ご紹介してみたくなりました。

でもこんな奴、相手にする方はたまらないですよね、本当に。取り繕うのも程々にして欲しい、昔は偉い人たちがなんでも引き受けちゃうから大変でした。



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