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第8回 当時者with専門家が『双極性障害(躁うつ病)とつきあうために』を読む【返金OK・ワンコイン】

本サマリーは、日本うつ病学会双極性障害委員会の『双極性障害(躁うつ病)とつきあうために』(ver.9 2019年7月5日)について解説したもので、枠線内グレー部分はテキストを引用しています。
制作
窓師(薬剤師、双極性障害、ADHD)、布団ちゃん(公認心理師、社会福祉士)
ネット心理教育研究会


第5章 ご家族へのお願い

最初に

この記事にはセンシティブな内容が含まれることがあります。ご注意ください。
この記事では、患者さんに「死にたい」と言われたときの対応方法について考える内容や、躁で暴力をふるう患者さんに対してどうしたらいいのかを考えていく部分があります。
ご自身の体験やご家族としての体験が、これらと重なる場合があると思いますので、心配な方は購読しないようにしてください。

また、このパンフレットでいう「ご家族」とは一番身近な人という意味です。
環境によっては、友人や知人などが一番身近という場合もあるでしょう。
しかしながら、その親しい友人、知人が当事者(患者さん)であった場合にはそれに付け加えて配慮することが必要かもしれません。
患者さんを支えるときには気をつけるべきポイントがいくつかあります。

家族って重要!

このnoteでは、双極性障害の患者さんがうつ状態で落ち込んでいるときや、ときには死にたいというほどに悲嘆しているとき、躁状態で周りに迷惑を掛けているときなどの状況別に分けて、そのときどきに気をつけることを説明します。

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家族の対応は、その後の患者さんの病気の経過に大きく影響します。
患者さんを支えていくには、応援や励ましの言葉ではなく、患者さんが安心できるような態度や言葉がけが必要です。
しかし患者さんに対する言葉がけというのは、そう簡単ではないですよね。家族や周囲の人はどのように言葉をかけたらいいのでしょう。

ここでは、双極性障害の患者さんによくある困った場面を示し、そのときの対応方法のヒントを説明していきます。

まずは家族や周囲の人が双極性障害と付き合っていく上での基本姿勢についてです。

うつ状態で死にたいと思うほど落ち込んでしまった場合、躁状態で周りを巻き込み、暴力や暴言がある場合‥正解がない中において、患者さんも家族も周囲の人も、とても厳しい状況に立たされてしまう局面があるといえるでしょう。

基本姿勢として心がけることは2つです。
1つは最大限の優しさで患者さんに接することです。
2つ目は、一人(家族だけ)で抱え込まず、サポートを受けることです。困ったら、ためらわず主治医に相談していいのです。

続いて、常日頃から行うことの出来る、患者さんとコミュニケーションのヒントを3つ説明します。

1.「大切な存在」だと伝える。普段言葉にすることが少ないこの言葉ですが、患者さんは病気によって自信を失ったり、仕事をしていないことの罪悪感にさいなまれたりしています。大切な存在の宝物であるということを伝えると、患者さんは嬉しいですし、家族が安心できる相手だと思えるようになっていきます。

2.「出来たことを褒める」こともいいでしょう。生きているだけで素晴らしいです。その他にも自分で起きたり、身体を休めるという選択をできていることはすごいことです。患者さんは、その日その日の行動を「今日も何も出来なかった」とマイナスに評価しがちです。そこで家族は日々の行動をポジティブに捉え直し、賞賛の気持ちを伝えましょう。また、いまは病気を治すことに専念する時期であることや、寝ることや休むことも仕事のうちという気持ちを患者さんが持てるように、声掛けしてみてください。

3.気持ちを理解する言葉も大切ですね。「うつで何も出来ない自分を追い詰めて、つらいんだね」などと寄り添いましょう。寄り添った言葉を掛けるには、患者さんのつらい気持ちを理解する必要があります。患者さんの気持ちを理解するためには、話を聞くことがまずは必要ですね。

とはいえ、患者さんの状態によって、または患者さんによっては「話しかけられるのが嫌だ!」という方も居ます。また、上記の言葉を掛けたら、関係や病状が改善する! という魔法のワードでもありません。対話はあくまでも関係性によってきます。

その人その人に合わせたコミュニケーションを築いていくためには、日頃から関係を維持し、試していくほかありません。

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うつ状態の支え方

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