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台湾は中国にどう立ち向かうのか 英語ニュースで学ぶ

習近平政権が4期目に入るとみられる2027年に中国が台湾侵攻に踏み切る可能性が大きいと報じられています。

画像:EXPRESS

銃の扱いや護身術を身につけようとする一般市民の姿や、例年よりも広範囲な避難訓練で人っ子一人いなくなった街中の様子が連日テレビに映し出されていますね。

台湾の脅威は日本の脅威。自由民主主義の脅威。

アメリカにとっては本当に目の上のタンコブな中国ですが、メディアはどのように報じているのでしょうか?

今日は、2023年8月7日にアメリカのテレビ局CBSの「CBS Sunday morning」で放送された「How Taiwan is facing China's threat to its democracy(民主主義を脅かす中国に台湾はどう立ち向かうか)」を観てみることにします。

たった7分のコーナーで大変聞き取りやすいので、英語の勉強もサクッとできます。今回は軍事・政治・歴史に関する言葉がオンパレードです。


The White House has just announced the new package of weaponry of Taiwan. In an effort to bolster the island nation's defenses against a possible invasion from China.
So, what does the future hold for Taiwan? Elizabeth Palmer, our Sunday Journal.

ホワイトハウスは台湾の新兵器パッケージを発表しました。これは中国からの侵略に対する台湾の防衛力を強化するためです。
台湾の未来はどうなるのか?サンデージャーナルのエリザベス・パーマーがお伝えします。

weaponry
兵器(類)、武器
weaponが戦闘や狩猟における攻撃や防御のための個別の道具のこと(銃、ミサイル、剣など)を指すのに対して、"weaponry "は、武器の総称

defenses
defenseの複数形で(陸海空・情報など全てをひっくるめた)「防衛力」

invasion
侵攻、侵略

What does the future hold for something/someone
〜の未来はどうなるのか
・We had no idea what the future would hold for us.
 自分たちの将来がどうなるのか見当もつかなかった。


Taiwan is a lush tropical island. Everyone agrees it produces some of the world's finest handpicked teas and the world's most sophisticated microchips. It has deep cultural links to China. But is it part of China? That's where things get messy.

台湾は緑豊かな熱帯の島です。世界最高級の手摘み茶と世界最高水準のマイクロチップを生産していることは誰もが認めるところであり、中国との文化的なつながりも浅くありません。しかし、中国の一部なのでしょうか?この点がまさに複雑なところです。

lush
みずみずしく茂った、青草の多い
※rush:急ぐ とは関係ない

That's where things get messy
そこが物事が厄介になるところだ


China's President Xi Jinping insists that it is and isthreatening to impose Beijing's rule by force. China's military has held exercises around Taiwan that look a lot like rehearsals for an invasion.
But millions of Taiwanese see their island as a nation already fully formed.
(Interviewing a Taiwanese citizen)
"Do you think of Taiwan as a country?"
"Yeah, definitely."

中国の習近平国家主席は台湾は中国の一部であると主張し、武力によって北京の支配を押し付けると脅しています。中国軍は台湾周辺で侵略のリハーサルとも思えるような演習を行っています。しかし、何百万人もの台湾人が、自分たちの島はすでに完成された国家だと考えています。
(台湾市民へのインタビュー)
「台湾は"国家"だと思いますか?」
「ええ、間違いなく。」


This current serious difference of opinion goes back a century to Mainland China's Civil War, in 1949, the Communists won.

Chien Kai-Shek's defeated nationalistsfled across the sea to Taiwan.
To this day, a memorial in the capital Taipei honors him. The man who's set up a government in Taiwan to oppose Communist China. Seventy years of a lively open society has bloomed here.

この現在の深刻な見解の相違は、1949年の中国本土の内戦で共産党が勝利したことに端を発します。

蒋介石の敗北した国民党員たちは、海を渡って台湾に逃亡しました。今日に至るまで、首都台北には彼を称える記念碑があります。中国共産党に対抗するために台湾に政府を樹立した人物として。70年にわたる活発で開かれた社会がこの地に花開いたのです。

Communist(s)
毛沢東が率いた共産党(員)

Nationalist(s)
一般的には国粋主義者と言われるが、ここでは蒋介石が率いた国民党(員)

fled
flee(逃亡する)の過去形

set up a government
政府を樹立する(樹立=しっかりとうちたてること)


Michael Cole is a Taipei political analyst for the Republican Institute.
"For young Taiwanese, their only experience is living in a liberal democracy, a vibrant democracy, with a highly politicized civil society.."

How liberal? Taiwan was the first country in Asia to legalize gay marriage. And consider Audry Tang Digital Minister and Asia's first transgender cabinet member.

マイケル・コール氏は(米国)国際共和研究所の台北政治アナリストです。
「若い台湾人にとって、彼らの唯一の経験は自由民主主義、リベラルな民主主義、高度に政治化された市民社会で生活することなのです。」

「いかにリベラルか?台湾はアジアで初めて同性婚を合法化した国です。そして、デジタル大臣でありアジア初のトランスジェンダーの閣僚であるオードリー・タン氏を思い浮かべてみてください。」

liberal
自由主義に基づいて多様性を重んじる世の中を支持する思想

cabinet member
閣僚(内閣のメンバー)

"I feel blessed that I do not face any discrimination whatever in Taiwan."

Tang is a software engineer and a celebrity whose mission is to  protect Taiwan's Internet from Chinese cyber attacks or an invasion.

"Ensuring proper communication infrastructure including the local resilience of the public clouds providers like Google, Microsoft, and Amazon in Taiwan. That is our highest priority."

「台湾ではどんな差別にも遭わず、恵まれていると感じています。」

タン氏はソフトウェアエンジニアであり、中国のサイバー攻撃や侵略から台湾のインターネットを守ることを使命とする有名人でもあります。

「グーグル、マイクロソフト、アマゾンのようなパブリック・クラウド・プロバイダーが台湾現地に適応することを含め、適切な通信インフラを確保すること。それが私たちの最優先事項です」。

discrimination
差別

Ensure
〜を確保する、保証する

resilience
訳しにくい言葉ですが、様々んハードルにもしなやかに対応する強靭な対応力と言った意味。

We took a short flight from Taipei to an outlying island Kinmen, where the last round of actual fighting ended in 1979.
"These defensive spikes were put here on Kinmen Island to repel Chinese landing craft. There was a hot war between China and Taiwan in living memory. And this was the front line."

私たちは台北から短時間のフライトで、1979年に最後の戦闘が終結した離島、金門島(補足:台湾領)に向かった。「この防御スパイクは、中国の上陸用舟艇を撃退するために金門島に設置されたものです。中国と台湾の間で熱い戦争があったのは記憶に新しいところです。そしてこここそが最前線でした。」

Yu Fong Wang is one of those older people.
"Do you feel more Chinese or Taiwanese?"
Instantly she replies, "Chinese."
She may not care that joining China means totalitarian rule but Yorke Wu sure does.
"We respect China's culture," he says "but not its government."
"I love freedom, and I love the opportunity to express ourselves freely.

(省略:金門島は台湾領で民主主義の地域だが、中国にごく近いこともあって、年配者ほどここはほぼ中国といって差し支えないと考える傾向がある。)ユー・フォン・ワンさんはそのような年配者の一人だ。「あなたは中国人と台湾人のどちらにより近いと感じますか?」と尋ねると、彼女は即座に "中国人 "と答えました。

彼女は中国に組み入れられることは全体主義的な支配を意味することを気に留めないかもしれません。しかし、ヨーク・ウーさんは確実に気にするようです。
「私たちは中国の文化はリスペクトしていますが、政府は別です。」と彼は言います。「私は自由を愛していますし、表現の自由を愛しています。


President Biden has hinted that if China does invade, the U.S. will help. America is already selling weapons to Taiwan's military.
In spite of Taiwan increasing its defense budget and enforcing mandatory conscription, the fact is, neither its airforce, its army, or its navy as any match for China's military might.

バイデン大統領は、中国が侵攻してきた場合、アメリカも協力するとほのめかしています。アメリカはすでに台湾軍に武器を売っています。台湾は国防予算を増やし、強制徴兵制を実施していますが、実際には空軍も陸軍も海軍も中国の軍事力にはかないません。

mandatory
義務的な、強制の、必須の

conscription
徴兵制

"If it is a war, we are going to be destroyed. So, better to avoid it", says retired Major General Rechar Hu.
Taiwan should just join China but negotiate autonomy.
"Beijing could just leave Taiwan alone. We could enjoy our freedom and also political system."
"There is nothing about modern China under Xi Jinping that suggests that's possible…nothing? This is a government and a party that wants complete control."
"Well, yeah, I think there's still a hope..."

「戦争になれば、我々は壊滅する。だから、それはなんとしても避けなければならない」と、退役したリチャード・フー少将は語ります。
台湾は中国に加わったとしても、自治権については交渉すべきです。
「北京は台湾をただ放って置いてくれればいいのに。そうすれば我々は自由と政治体制を享受できます。」
「習近平政権下の現代中国には、それが可能であることを示唆するものは何もありませんよ。完全な支配を望む政府と政党なんですよ?」。
「んんまあ、そうですね、まだ望みはあると思いますよ…」

autonomy
自治(権)


It's a hope shared by the Main Kuomintang political party but not by Taiwanese young people, who watched the Hong Kong movement for autonomy from China in 2019 get crushed by Beijing.

They are now praying Taiwan's democratic dream doesn't die the same way.

それは国民党が共有する望みですが、2019年に中国からの自治を求める香港の運動が北京によって打ち砕かれるのを目の当たりにした台湾の若者には通用しません。

彼らは台湾の民主主義の夢が同じようについえないことを、今祈っているのです。


…いかがでしたか?何を感じたでしょうか。あの退役軍人のコメント…

いざ中国による侵攻が現実のものとなったら、アメリカが援護に出張って来たとして、愛すべき台湾が今のまま存続できるとはとても思えません。

誇り高く、平和的で、優しくて、でもちょっとのんびりしている台湾。。
台湾が崩れたら、次は…と考えると、果たして2027〜2030年頃の日本は、アジアは、世界は、一体どんなことになってしまうのでしょうか。今から何かできることはあるのでしょうか。


■台湾はどうなる?日本はどう動く?
興味の湧いた方は、こちらの動画もかなりおすすめです。「台湾有事シミュレーション」、かなり現実味のあるものだと感じました。


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