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音楽人のことば

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対談企画「音楽人のことば」をまとめてあります。 最新回は、小林瑞季さんとの【「何を」と「いかに」のはざまで】。
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#ヴァイオリン

【アンサンブルから考える音楽による対話と共感の可能性】五十嵐沙織×寺内詩織×篠村友輝哉「音楽人のことば」第11回 後編

【アンサンブルから考える音楽による対話と共感の可能性】五十嵐沙織×寺内詩織×篠村友輝哉「音楽人のことば」第11回 後編

(前編はこちら)

ーーよいアンサンブルのために必要なこと篠村 演奏するって、楽譜から音楽を聴き取って、それを体現、実現するということですよね。つまり、厳密に見ていくと、音を出す前にまず聴くという作業があるということです。その音楽の聴き取り方というのが、お二人はお互いに近いと感じているのか、そのあたりはいかがですか?

寺内 同じように感じているなと思うこともあるし、違うように感じているなと思うこ

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【アンサンブルから考える音楽による対話と共感の可能性】五十嵐沙織×寺内詩織×篠村友輝哉「音楽人のことば」第11回 前編

【アンサンブルから考える音楽による対話と共感の可能性】五十嵐沙織×寺内詩織×篠村友輝哉「音楽人のことば」第11回 前編

 節目の10回を迎えて、11回目から何か新しい企画を…と思い、2回に1回くらいのペースで3人で対話する鼎談を組み込むことにしました。鼎談では、既にこのシリーズで対談した方に再登場いただくことが中心になる予定です。
 その1回目として真っ先に思い浮かんだのが、まさに盟友関係と言える五十嵐沙織さんと寺内詩織さんのお二人でした。何度も共演を重ね、また一友人同士としても仲を深めてこられたお二人とのお話でし

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【「演奏家の仕事」とは何か】山縣郁音×篠村友輝哉「音楽人のことば」第10回 後編

【「演奏家の仕事」とは何か】山縣郁音×篠村友輝哉「音楽人のことば」第10回 後編

(前編はこちら)

ーー音楽に「力」はあるのか篠村 哲学者のカントが『判断力批判』のなかで、芸術について論じているんですが、そこで当然音楽についても触れていて、彼は音楽を、感覚的な快さとか「瞬間的な」感動をもたらすものとしては、芸術の中で最上位にあるものと位置付けています。しかしその一方で、芸術の持つ、それに触れることで連想力が働かされたり、心的な能力が開発されるという面においては、最下位だと言っ

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【「演奏家の仕事」とは何か】山縣郁音×篠村友輝哉  「音楽人のことば」第10回 前編

【「演奏家の仕事」とは何か】山縣郁音×篠村友輝哉 「音楽人のことば」第10回 前編

「音楽人のことば」シリーズも10回目となりました。振り返ってみても、同世代の音楽家たちがこれほど自分の考えを語る場はあまりなかったのではと自負できるほど、充実した企画になっていると感じています。ゲストの方々、読者の皆様にはこの場を借りて改めて御礼申し上げます。
 節目となる今回は、ヴァイオリニストの山縣郁音さんをお迎えしました。端正な演奏ながら、華のある音色をお持ちの山縣さんですが、室内楽やオーケ

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