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UX型DXでのUXの定義とは #UXグロースモデル まとめ1

アフターデジタルの第3弾「UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論」が2021年9月16日に発売となりました。本書では、UX(ユーザーエクスペリエンス)企画の秘伝である、方法論、プロセス、その裏にある考え方を詳説するといいます。今回は本書の「はじめに」から発刊の背景と、テーマとなるUXの定義ってところを補足含めて学びのまとめます。

発刊の背景

著者の問題意識として、「テクノロジーが過大評価され、UXが過小評価されている」「DXが流行っているがUXが意識されてない」といったものがあり、その解決策の方向性として、アフターデジタルの一作目で提唱した「バリュージャーニー」に関する参考書を提示したい、ということで本書発刊の背景だそうです。

UXグロースモデルとは

本書のタイトルとなっているUXグロースモデルは以下のように説明されています。

UXグロースモデル
UX型DXを実現するために必要な活動をモデル化したものであり、以下の2つのが集うが必要である
トップダウン型のグロース活動:バリュージャーニー型への転換と更新
ボトムアップ型のグロース活動:顧客体験(UX)を継続的に成長させていく体制(グロースチーム)の構築と発展

いちおう、補足をするとDXはデジタル・トランスフォーメーションの略で、経産省のDXレポートでは、以下のように定義されています。

経産省によるDXの定義
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

「ITシステムをクラウド移行しよう」みたいなメッセージ以上に、デジタル化って根本的に事業のかたちを変えていく威力を持ってるぞ。ただの効率化のツールじゃなくて、差別化の源泉で、事業自体をデジタルに合わせて変革する必要があるぞ、というメッセージが出されています。以下の記事も参考になれば幸いです。

著者の問題意識として「テクノロジーが過大評価され、UXが過小評価されている」「DXが流行っているがUXが意識されてない」があって、このデジタルに合わせて変革する、というところの具体的な実践の方法や考え方がUXグロースモデルだ、というのが本書のスタンスだと理解しました。

UXの2つの定義とその要点

その上で、UXをどう定義するのかも大事だとし、2つの定義を提示します。一つはISO 9241-210 による UX の 定義です。ISO 9241-210は国際標準化機構が制定するインタラクティブシステムの人間中心設計に関する規格ですね(wiki参照)。

ISO 9241-210 による UX の 定義
(原文) Person' s perceptions and responses resulting from the use and/ or anticipated use of a product, system or service.
(翻訳)「製品、システム、サービスの利用、および/または、利用を予期することによってもたらされる人の知覚や反応」
引用:UXグロースモデル

本書では、上記の定義は、ユーザーと製品・サービスの関係がはっきりしていた時代には有効だったが、デジタルでフィジカルが包み込まれたアフターデジタルの時代においては有効な定義ではないとします。

そのうえで、本書では、以下のニールセン・ノーマングループの定義(原文はこちら)を用いるとしています。太字部分は、私がつけたもので、オリジナルにはありません

ニールセン・ノーマングループにおけるUXの定義
ユーザーエクスペリエンスとは、エンドユーザーと、企業およびそのサービスや製品とのインタラクションにおける、あらゆる状況を包括したものである。典型的なユーザーエクスペリエンスの第一要件は、いら立ちや面倒なく、環境のニーズを正確に満たすことである。次に、所有や利用の喜びをもたらすプロダクトを生み出すような、シンプルさと気品が求められる。真のユーザーエクスペリエンスとは、単に顧客が欲しいといったものを提供したり、顧客が期待した機能のリストをただ提供したりするようなことよりもっはるか先を行く。企業が質の高いユーザーエクスペリエンスを実現するには、多くの専門分野、例えばエンジニアリング、マーケティング、グラフィックデザイン、工業デザイン、インターフェースデザインなどをシームレスに統合することが必要である。
引用:UXグロースモデル/藤井 保文, 小城 崇, 佐藤 駿

(な、長い。。。ので、あとでちょっと要点をまとめてみます。)

書籍では、ユーザーエクスペリエンスを提唱したドナルド・ノーマンの定義ということで紹介されていますが、ドナルド・ノーマンは認知学者で、Apple社のヒューマン・インターフェース・ガイドラインの策定にかかわった人物のようですね(wiki参照)。そんな同氏と、Webユーザービリティの第一人者であるヤコブ・ニールセンが共同設立したコンサルティング会社がニールセン・ノーマングループなんですね。

さきほどのニールセン・ノーマングループの定義(原文はこちら)をみると、実はまだ先があって、そこもざくっと訳してみました。太字部分は、私がつけたもので、オリジナルにはありません

ニールセン・ノーマングループにおけるUXの定義のつづき
UIはデザインにおいて非常に重要だが、トータルのUXは、UIとは区別して考えることが重要。例えば、映画のレビューサイトの場合、映画を見つけるUIが完璧でも、ユーザーが欲しいのが独立系スタジオの作品で、サービスに登録されている映画はメジャースタジオのものだけだったら、UXはひどいもの、ということになります。
また、UXとユーザビリティー(使い易さ)も区別が必要です。ユーザービリティの定義(こちら)によれば、それはUIの品質要素の一つで、システムが理解しやすい、利用に十分、たのしい、といったことです。繰り返しになりますが、これは非常に重要なことで、トータルのUXはもっと広い概念なのです。
出典:https://www.nngroup.com/articles/definition-user-experience/

ということで、このニールセン・ノーマングループの定義は長いので、要点を自分なりにまとめたものが以下です。

UXの定義(要約版)
UXとは、ユーザーと企業・製品・サービスとのすべてインタラクションを包含する概念。ユーザーのニーズをストレスなく快適に正確に満たすだけでなく、期待値を超えていくこと。その実現には、複数分野の専門知識の統合が必要。UIやユーザービリティ(使いやすさ)とは区別してとらえるべき広い概念。

本書の構成

本書に関してのまとめ記事と各章を1枚のスライドにまとめたものは以下の記事にまとめましたので、索引的にご活用ください。

さて、「UXグロースモデル」の章立ては以下のようになっています。

はじめに(★本記事はこちら)
第1章 アフターデジタル時代に求められるバリュージャーニー型への転換
まとめ記事こちら
第2章 UXグロースモデルの概要
まとめ記事はこちら
第3章 人間心理の探求から、メカニズムの解明へ(ユーザー理解を再定義する)
まとめ記事はこちら
第4章 ボトムアップ型UXグロースの方法論1/2(既存サービスの抜本改善)
まとめ記事はこちら
第5章 ボトムアップ型UXグロースの方法論2/2(既存サービスの高速改善)
まとめ記事はこちら
第6章 トップダウン型UXグロースの方法論1/2(事業変革の推進)
まとめ記事はこちら
第7章 トップダウン型UXグロースの方法論2/2(全社変革の推進)
まとめ記事はこちら

以前に、本noteでまとめた「DXの思考法/西山圭太」では、デジタル化の本質をレイヤー構造とした上で、経験・価値を抽象的なパターンとしてとらえ組み合わせていく思考「アーキテクチャ」を武器にすることの重要性が述べられていました。その中で、UX視点として、「人が課題・体験を設計・設定する視点」という説明をしていました。

私自身、これまでデザイン思考に関しても、勉強・実践してきましたが、「UXグロースモデル」ではどのような新しい考え方に触れられるのか楽しみです。また、学びをまとめて発信したいと思います。

おわりに

DXについての記事は以下の「マガジン」にストックしてますので、併せて覗いてみてください。フォローや「スキ」を押してもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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