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古代オリエント史と「マッサゲタイの戦女王」

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#中央アジア

「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ 第六回 ミトラ教について

「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ 第六回 ミトラ教について

ペルシア人の宗教は拝火教(ゾロアスター教)でしたが、国教としたのは最後のサーサーン朝からで、アケメネス朝からパルティア王国時代あたりまでは、伝統的な多神教も同様に信仰されていましたの。本書では太陽と契約の神ミトラ、水の女神アナ―ヒタ―、軍神ウルスラグナなどが言及されています。

支配層から庶民まで一番人気のあったのは、主神で創造神のアフラマツダ神よりも、善神ミトラ(ミスラ)神でした。太陽神であり、

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「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ 第2回 騎馬民族の醍醐味

「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ 第2回 騎馬民族の醍醐味

騎馬民族といえばなんといっても「後背騎射」英語では「パルティアン・ショット」と呼ばれる、馬を走らせながら後ろ向きに矢を撃つ神技弓技。

パルティア王国は紀元前247年-後224年にイラン高原とその周辺を支配した国で、正しくは「アルサケス朝パルティア王国」なのですが、場所がイランなのと、ペルシア人と近縁のイラン系民族なのと、前王朝だったギリシア系セレウコス朝からの文化的脱却を目指してアケメネス朝ペル

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新刊紹介「マッサゲタイの戦女王」古代オリエントの戦記小説 第一回女王の名前

新刊紹介「マッサゲタイの戦女王」古代オリエントの戦記小説 第一回女王の名前

今年2冊目の単行本です。

紀元前6世紀、アケメネス朝ペルシア帝国の勃興期という戦乱の時代に、ペルシア軍を返り討ちにした中央アジア遊牧王国マッサゲタイの女王、トミュリス(作中名はタハーミラィ)の物語です。

当時カスピ海東岸から現在のトルクメニスタン一帯を支配していた、マッサゲタイ族については諸説がありますが、本書ではスキタイ系の遊牧民という見方を採用しています。

宗教的には、太陽神スーリヤを崇

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