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古代オリエント史と「マッサゲタイの戦女王」

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#トミュリス

「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ第五回 エジプトの迷惑な王様

「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ第五回 エジプトの迷惑な王様

今日はペルシアともマッサゲタイともあまり関係がないのですが😓

ヘロドトス・歴史より
古代エジプトで、もっとも広大な領土を拓いたというセソストリス王の子、プエロス王の話

神罰によって十年の間、盲目にされていたプロエス王は、十一年目に刑罰の期間が終わったので、自分の夫としか交わったことのない婦人の尿で目を洗うと治るという神託を授かった。

さっそく自分の妻の尿で洗顔したが、目が見えるようにならな

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マッサゲタイの戦女王 刊行記念エッセイ第四回 愛の誓いに飲み交わすペルシア風「赤ワインミルク」

マッサゲタイの戦女王 刊行記念エッセイ第四回 愛の誓いに飲み交わすペルシア風「赤ワインミルク」

おおおぐえぇぇ~という叫び声が聞こえてきそうな。

文明の発祥と共にすでにその製造法がシュメールの昔から記録されているワインですが。
現在わたしたちが飲んでいるものとは随分違うものでした。

発酵技術がそれほど進んでないので、糖度の高い甘~い、低発酵果汁ドリンクで、そのままでは飲めないどろっとした代物だったようです。

だから、水やミルクで割らないと飲めませんでした。

古代のワインとはちょっと酸

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「マッサゲタイの戦女王」刊行記念 第三回 スキタイ人の怖い風習

「マッサゲタイの戦女王」刊行記念 第三回 スキタイ人の怖い風習

「スキタイ族の首狩り・皮剥ぎ・頭蓋骨の杯」
青銅冶金に優れていたというスキタイ族は、紀元前七世紀まで遡る、騎馬民族でも一番古い民族で、ウクライナあたり……大雑把にいってヨーロッパとアジアの真ん中左寄りあたりからユーラシア大陸へと広がって行ったとか。

マッサゲタイ人やペルシア人も、アーリア人と呼ばれるスキタイ系白人種の分派であると長く信じられてきました。東洋の遊牧民、匈奴の祖先もスキタイという説が

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「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ 第2回 騎馬民族の醍醐味

「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ 第2回 騎馬民族の醍醐味

騎馬民族といえばなんといっても「後背騎射」英語では「パルティアン・ショット」と呼ばれる、馬を走らせながら後ろ向きに矢を撃つ神技弓技。

パルティア王国は紀元前247年-後224年にイラン高原とその周辺を支配した国で、正しくは「アルサケス朝パルティア王国」なのですが、場所がイランなのと、ペルシア人と近縁のイラン系民族なのと、前王朝だったギリシア系セレウコス朝からの文化的脱却を目指してアケメネス朝ペル

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新刊紹介「マッサゲタイの戦女王」古代オリエントの戦記小説 第一回女王の名前

新刊紹介「マッサゲタイの戦女王」古代オリエントの戦記小説 第一回女王の名前

今年2冊目の単行本です。

紀元前6世紀、アケメネス朝ペルシア帝国の勃興期という戦乱の時代に、ペルシア軍を返り討ちにした中央アジア遊牧王国マッサゲタイの女王、トミュリス(作中名はタハーミラィ)の物語です。

当時カスピ海東岸から現在のトルクメニスタン一帯を支配していた、マッサゲタイ族については諸説がありますが、本書ではスキタイ系の遊牧民という見方を採用しています。

宗教的には、太陽神スーリヤを崇

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