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マンガ&エイガ考察

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マンガや映画などの作品について考察・言及したものです。
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#マンガ考察

手塚治虫『シュマリ』考察(後編)

手塚治虫『シュマリ』考察(後編)

それでは、『シュマリ』について後編を書いていきます。

前編はこちら↓からどうぞ。

アイヌの子、ポン・ションシュマリにはこの時点で家族がいませんが、ある日アイヌの赤ん坊がシュマリの家に入り込みます。赤ん坊と言っても自分の名前は言えるので、乳児ではなく幼児といったところ。その子は自分のことを「ポン・ション」と名乗ります。アイヌでは一種の魔除けのために子どもにわざと下品な名前をつける習わしがあります

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手塚治虫『シュマリ』考察(前編)

手塚治虫『シュマリ』考察(前編)

今回は手塚治虫の『シュマリ』について書いていきます。

言わずと知れた漫画の神様、手塚治虫。その作品群の中で私は『シュマリ』が一番好きです。あまたある手塚治虫作品の中で、なぜ『シュマリ』?それは自分でもよくわかっていないところがあります。本稿では、なぜそんなに『シュマリ』が好きなのか、作品について考察しながら自ら解き明かしていければと思っています。では、はじめます。

手塚治虫とパブロ・ピカソ手塚

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岩明均『ヒストリエ』12巻についての考察(前編)

岩明均『ヒストリエ』12巻についての考察(前編)

11巻から5年。ようやく出ました12巻。

発売日である6月21日の夏至の日に購入。
さっそくネタバレを含みながら書いていきたいと思います。

歴史ものなので、史実を調べることでどうしても「物語の先」が見えることになります。このエントリはそこについても言及するのでご注意ください。

さて、この作品は随所にユーモアを散りばめながら、「決め」のところではかなりエグい描写を使ってくるので油断なりません。

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『宝石の国』考察(完結編)

『宝石の国』考察(完結編)

なかなか書けずにいましたが、ついに完結編です。
本誌連載終了で世間の熱が高まっていた頃に書くべきとは思いましたが、ままならないのは人間の常です。ままならないと言えば仏教です。仏教といえば『宝石の国』。ということで完結編エントリを書いていきます。

前回の最後に、この後のストーリー展開をざっと書きました。こうです。

祈りのために必要だった「七宝」とは何でしょうか。
調べればわかる一般知識を詳しく書

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『宝石の国』考察(前編)

『宝石の国』考察(前編)

先日、ふとしたご縁で教えてもらった漫画作品『宝石の国』。
最初こそ世界に入っていくのに苦労したものの、作中の「謎」が明らかになるにつれて惹き込まれていきました。作画といい、物語の象徴性の高さといい、好き嫌いはともかくこれは一つの傑作でしょう。

下のPVはアニメのものですが、ここでは原作漫画について言及します。

原作者は市川春子、月刊アフタヌーン連載。
2012年連載開始、コミックスは12巻まで

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