ニンパイ

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ニンパイ

夫でパパでデザイナー。元ブロガー。日々ネットに言葉を書き続けています。家では料理担当。読書は週に1〜2冊。映画好き。最近は日々走りながら体調整え中。 Twitter: @shinobuk Threads&Instagram: @shinobu_kaki

マガジン

  • マンガ&エイガ考察

    マンガや映画などの作品について考察・言及したものです。

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    出演したPodcastについての記事です。

最近の記事

『違国日記』『オーイ!とんぼ』再読中

ヤマシタトモコ『違国日記』を前に一度読み、素晴らしいと思って、最近もう一度読み直している。心情描写やセリフの一つ一つがソリッドで瑞々しく、綺麗で深い湖のようである。そして、あらためて読むと細かいシーンのディテールがとてもリアルで映像的なのに気づく。開けっぱなしにした冷蔵庫のピーピー鳴る音とかね。そういう細かい現実的描写の積み重ねによって、平面的であるはずのコマの向こうの登場人物たちが、血肉を伴ったリアルな人間として立ち上がってくる。 誰しもに「生活」はあり、何かをするとか、A

    • 手塚治虫『シュマリ』考察(後編)

      それでは、『シュマリ』について後編を書いていきます。 前編はこちら↓からどうぞ。 アイヌの子、ポン・ションシュマリにはこの時点で家族がいませんが、ある日アイヌの赤ん坊がシュマリの家に入り込みます。赤ん坊と言っても自分の名前は言えるので、乳児ではなく幼児といったところ。その子は自分のことを「ポン・ション」と名乗ります。アイヌでは一種の魔除けのために子どもにわざと下品な名前をつける習わしがあります。ポン・ションとは「小さなうんこ」という意味だそうです。 そういえば『ゴールデ

      • 手塚治虫『シュマリ』考察(前編)

        今回は手塚治虫の『シュマリ』について書いていきます。 言わずと知れた漫画の神様、手塚治虫。その作品群の中で私は『シュマリ』が一番好きです。あまたある手塚治虫作品の中で、なぜ『シュマリ』?それは自分でもよくわかっていないところがあります。本稿では、なぜそんなに『シュマリ』が好きなのか、作品について考察しながら自ら解き明かしていければと思っています。では、はじめます。 手塚治虫とパブロ・ピカソ手塚治虫はとにかく多作です。作品の数はパブロ・ピカソのように多い。その数は600を超

        • 岩明均『ヒストリエ』12巻についての考察(後編)

          さて、後編を書いていきます。 前編のリンクはこちら。 ほんのわずかの違和感先に書きますが、『ヒストリエ』を1巻から何度となくずっと読んできて、この12巻の展開については少し違和感がありました。漫画としてはダイナミックで面白いのですが、ほんのわずか、細かく丹念に積み上げてきたはずの物語のバランスが崩れているような気がしたのです。 その理由ですが、どうしてもアリストテレスによるフィリッポスの蘇生シーンが関係しているのかもしれません。なかなかあれは「力技」であるなと思わせるシ

        『違国日記』『オーイ!とんぼ』再読中

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        記事

          岩明均『ヒストリエ』12巻についての考察(前編)

          11巻から5年。ようやく出ました12巻。 発売日である6月21日の夏至の日に購入。 さっそくネタバレを含みながら書いていきたいと思います。 歴史ものなので、史実を調べることでどうしても「物語の先」が見えることになります。このエントリはそこについても言及するのでご注意ください。 さて、この作品は随所にユーモアを散りばめながら、「決め」のところではかなりエグい描写を使ってくるので油断なりません。まあ、岩明氏の作品はだいたいそんな感じですよね。 この12巻で言えば、パウサニア

          岩明均『ヒストリエ』12巻についての考察(前編)

          『宝石の国』考察(完結編)

          なかなか書けずにいましたが、ついに完結編です。 本誌連載終了で世間の熱が高まっていた頃に書くべきとは思いましたが、ままならないのは人間の常です。ままならないと言えば仏教です。仏教といえば『宝石の国』。ということで完結編エントリを書いていきます。 前回の最後に、この後のストーリー展開をざっと書きました。こうです。 祈りのために必要だった「七宝」とは何でしょうか。 調べればわかる一般知識を詳しく書くことは避けますが、大乗仏教の経典のひとつ「無量寿経」を調べてみてください。「無

          『宝石の国』考察(完結編)

          『宝石の国』インターミッション

          『宝石の国』考察の完結編の前に、インターミッションです。 この作品は各単行本のキャラクター紹介ページも楽しく、見開きでその世界観が存分に発揮されています。それぞれのキャラクターに添えられた簡潔な紹介コメントも、物語が進むにつれて少しずつ変化します。 それぞれ見ていきましょう。 ※画像はタップすることで拡大できます。 1巻なし。 2巻まずは2巻。序盤の平和な「学校感」がそのまま出ています。 キャプションは「名前、硬度、作者の一言コメント」という構成になっていて、フォス

          『宝石の国』インターミッション

          『宝石の国』考察(後編)

          いよいよ後編です。 前編と中編のリンクも貼っておきますので、未読の方はどうぞ。 記事本編に入る前に、まず本作が12年間の連載を終えて完結したことを記さねばなりません。市川先生、お疲れさまでした。 「予定通り終わることができてよかった」というコメントそのままに、実にぴったり百八話での完結、物語としても美しくまとまって終われたことが素晴らしいと思います。 では、書いていきます。 深刻化する宝石たちの対立物語の流れとしては、月に渡った宝石たちと地上に残った宝石たちの対立構造が

          『宝石の国』考察(後編)

          『宝石の国』考察(中編)

          中編です。 前回の最後に「後編へ続く」と書いておきながら、とても2本には収まらないと思ったので訂正して3部構成(とりあえず)です。 前編の最後の1行も直しておきました。 イメージの圧倒的豊かさこの作品は一枚絵の完成度が高いと前編で書きました。 シンメトリックな構図、繊細な描写、キャラクターたちの美しいフォルム、モノクロなのに「色彩豊か」と言いたくなるような光と影の鮮やかな捉え方。どれも非常に見事であり、作者もそんなイラストレーション的な表現を意識して描いているのでしょう、各

          『宝石の国』考察(中編)

          フォロワー数1万御礼

          何か書かないと頭がおかしくなりそうだから書く。 などと不穏な出だしから入ってしまったが、本当はそれほどでもない。でも嘘でもない。そして書くことも特にない。なんかないかな。 そうだ、個人的にはちょっとしたニュースがある。でも個人的だから自分以外の人にはほぼ無関係だけど。 この週末で初めてTwitterのフォロワー数が1万を突破しました。 ありがとうございます(別に祝われてない)。 大台というのはただの数字ではありますが、これからもぉ、精進してぇ、というのは嘘で、マリモとし

          フォロワー数1万御礼

          フォトギャラリー2024.2.17

          2023年の9月を最後にしばらく間が空いた、フォトギャラリー。 更新は比較的多めにしてたんですけどね。 というわけでセレクトした写真を上げていきます。

          フォトギャラリー2024.2.17

          感情論

          人に与えられた状況というのはランクづけできない。 状況の受け取り方は人それぞれだからだ。 状況の受け取り方というのは、その時にどのような感情であったか、だ。 例えば、それほど酷いことが起こっていない人がものすごく塞ぎ込んでいたり、 自分だったら心が折れるかもという事態に陥っている人が明るく振る舞ったり。 前者を私たちは「弱い」と感じ、後者を「強い」と感じたりする。 でも人の本当のところはわからない。 その人が置かれている状態すべてを、他人の私たちは知ることができない。

          『宝石の国』考察(前編)

          先日、ふとしたご縁で教えてもらった漫画作品『宝石の国』。 最初こそ世界に入っていくのに苦労したものの、作中の「謎」が明らかになるにつれて惹き込まれていきました。作画といい、物語の象徴性の高さといい、好き嫌いはともかくこれは一つの傑作でしょう。 下のPVはアニメのものですが、ここでは原作漫画について言及します。 原作者は市川春子、月刊アフタヌーン連載。 2012年連載開始、コミックスは12巻まで出ており、未完。 Wikipediaはこちら。 「あらすじ」もけっこう詳細です

          『宝石の国』考察(前編)

          2月の晴れた休日に海沿いを走ることについて

          一年でいちばん寒い時期である2月。 今日も走りたい。ちょうど天気がいい三連休の初日で、しかもたまたま夕方まで自分の時間ができた。なので少し遠くまで電車移動して、そこで走ることにした。 今日は太陽のおかげで2月にしてはとてもあたたかい。 冬の海、と言うには今日はいい天気すぎた。 水面はなめらかで、波が太陽に反射している。人出もそこそこあった。 このあたりの道はどこも細くてくねくねと曲がっていて方向感覚が掴みづらい。そして南国の風情がある。いくつかの家はサーフボードを庭

          2月の晴れた休日に海沿いを走ることについて

          キーボードを打つという快楽

          最初に勤めた会社は中央区の新富町にあった。会社といってもマンションの一室を借りた小さなもので、映画『僕たちはみんな大人になれなかった』に出てきた主人公の佐藤が入ったあの怪しい会社を思い出してもらうといいかもしれない。ただし人数がもう少し多く、7人ほどいた分もう少し広かったのだが。 1994年あたりだったと思う。阪神淡路の震災もオウムもエヴァンゲリオンも95年なので、その前夜になる。その頃私は20歳を少し過ぎたばかりだった。iMacは98年、iPhoneに至っては2007年の

          キーボードを打つという快楽

          伊東純也問題、原作改変問題、Bluesky問題

          久しぶりに書く。 間が空いてしまったのは忙しかったのと気が乗らなかったからで、久しぶりに書いているのは娘の朝の予定に合わせて早起きして時間ができたからである。 何か書きたいことがあるわけではないので、今のところノープランである。みたいなことはスペースをやる時に冒頭でよく言っている。ちょっとしたエクスキューズだ。つまり言い訳である。言い訳であるが、言い訳というのは主に「やらない理由」を並べるものだと思うので、こうして書いている時点でほぼ達成できているのである。 内なる衝動が

          伊東純也問題、原作改変問題、Bluesky問題