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キャラクター語り:デュノワ伯【小説:Tristan le Roux/赤髪のトリスタン】

アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)の未邦訳小説「Tristan le Roux/赤髪のトリスタン」を底本にしています。

あらすじ:
若く美しいカルナック城主オリヴィエは、従者トリスタンとともに狼に襲われている騎士を助けた。彼はフランス王シャルル七世に仕えるリッシュモン大元帥の使者で、二人に「オルレアン包囲戦への参戦」を求める。オリヴィエは二つ返事で快諾するが、トリスタンには出生の秘密と大いなる野望があった。
ジル・ド・レ伯爵と悪霊サラセンに導かれ、トリスタンはジャンヌ・ダルクを破滅させる陰謀に巻き込まれていく——。

【完結】神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー | 歴史・時代小説 | 小説投稿サイトのアルファポリス

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神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー(Tristan le Roux/赤髪のトリスタン)

訳者あとがき:キャラクター語り

 翻訳者だって「ひとりの読者」としてネタバレ感想書きたい!
 そんな主旨で、好き勝手に語ります。
 ここからは、各章の「登場人物紹介」ページの順番にならって、私が思ったことを書いていきます。

デュノワ伯(26歳)

オルレアン公シャルルの異母弟。シャルル七世のいとこ。
イングランドに捕らわれている兄の代わりに、オルレアン防衛を任されている。

【※小説投稿サイト・アルファポリスでも公開中:神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー


デュノワ伯について:ネタバレあり

シャルル六世(シャルル七世の父)の弟の息子、つまり王位継承権はありませんが王族の血を引く「王弟のご落胤(庶子、私生児)」という身分です。
実母は宮廷に出入りしていた踊り子だとか。

シャルル七世より三ヶ月年上のいとこで、幼少期から一緒に育てられた幼なじみであり、もっとも信頼されている親友です。

本作では、デュノワの背景について語られませんが、「シャルル七世が信頼して心を許している親友」であることを考えると……。

ジャンヌが、聖カトリーヌ・ド・フィエルボワ教会の剣を取りに行っている間、シャルル七世はオルレアンにいるデュノワに「ジャンヌと隊長たちの間を取り持つように」と根回ししていたかもしれませんね。

例えば、この場面——。

 ガマシュ卿が尋ねた。

「お嬢さんは何の権利があって命令している?」
「第一に神から、第二に王太子さまから与えられた権利です。皆さんもよく知っているはずですよ!」

 デュノワ伯が、「イングランドを追い払うという目的に変わりはない」とガマシュ卿をなだめた。

「まずは、ジャンヌの計画を聞いてみよう」

 ジャンヌは気を取り直してデュノワに向き直った。

第六章〈オルレアンへの道〉編「#23 トリスタンの提案

どうでしょう、デュノワの気苦労を感じませんか。

この場面では、ジャンヌの意見を採用して、反発するガマシュ卿をなだめていますが……。

後日、サン=ルー要塞を攻撃するとき、デュノワは他の隊長たちに同調して、ジャンヌに嘘の出撃時間を教えてオルレアンの城門から出さないように画策しました。

ジャンヌを信じているのか、信じていないのか。

デュノワの言動が矛盾しているように感じられますが、「シャルル七世に依頼されたから仕方なくジャンヌを受け入れた」と考えると、辻褄が合うのではないかと。

シャルル七世とデュノワは三ヶ月差の従兄弟。
イメージイラストを描くときは、年齢の近い血縁者らしく顔の基本パーツが似るように、それでいて眉の角度や髪質にそれぞれの性格が出るように。そんなことを意識しています。



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小説後半について

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【マガジン:アレクサンドル・デュマ・フィス未邦訳小説「赤髪のトリスタン」

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【URL:神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー


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