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猫も活躍するウェストールの短編集…装画は宮崎駿さん

 最近好きになったイギリスの作家、ロバート・ウェストールの短編集『遠い日の呼び声』を読んでみたら、猫が活躍する物語が3編ありました。

 それぞれに味わいがあるのですが、個人的にすごく気に入ったのが「じいちゃんの猫、スパルタン」。この短編集の最後に位置する作品です。
 突然亡くなった祖父の家と農場、そして飼い猫スパルタンを相続した青年が主人公。親との葛藤に傷ついていた青年は、のどかな田園風景を背景に、心のしなやかさを取り戻していきます。

 本書の装画は、この物語のワンシーン。
 描いているのは、宮崎駿さんです。
 上に貼った徳間書店のページにも出ているとおり、宮崎駿さんは「ぼくはウェストールが好きだ」と語っているそう。
 その想いがあふれている装画で、ウェストールの世界観にぴったりだと思いました。

 猫が活躍するあとの2作品は、
「家に棲むもの」と
「パイ工場の合戦」。

「家に棲むもの」はホラー調の物語ですが、猫たちのおかげで、どこかコミカルな印象です。
「パイ工場の合戦」は父と息子の物語でありつつ、ゴライアスという名の猛者(猫)がぐいぐいストーリーを引っ張っていきます。

 ウェストールの作品は、本書を含めて児童文学にカテゴライズされているけれど、大人が読んでも全然抵抗がない、というか、むしろこういう小説が私は大好きだし、読みたいです。
 同類の大人は、少なくないでしょう。


◇見出しのイラストは、みんなのフォトギャラリーから
lisa500mlさんの作品を使わせていただきました。
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