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プログラミング教育って論理的思考を育てるの?

プログラミング教育に関心がある親御さんの中には、実際にScratchやRobloxが遊びに見えて、実際に子供の成長に通じているのか不安に感じることがあるかと思う。その不安を解消すべく3つの論点を考えてみようと思う。

  1. プログラミング教育って論理的思考をどう育てているの?

  2. 将来につながる「遊び」とそうでない「遊び」は何が違う?

  3. プログラミング 教育にかける時間は将来役立つの?

①プログラミング教育って論理的思考をどう育てているの?


確かにこれまでの学校教育の中で、「算数」などで論理的思考を養ってきたのであろう。プログラミング教育でも同様の効果があるが、それは問題解決のために「アルゴリズムを組み立てる」プロセスで養われる。そして算数に限らず、自分にとって身近なテーマ(ゲーム、アニメーション、料理など)を通じて作成することが異なる。プログラミングに限らず、モノを組み立てたり、料理を作ったり、音楽を作成したり、何かしら表現できるMAKER達は皆このプログラミング的思考を自然と身につけている。参考までに鷲崎弘宜氏のプログラミング的思考の整理を参照する。

※論理的思考力とは、網羅的に論点を整理して考える力のことです。具体的には、困難なことを理解したり、解決したりできる力を指します。

鷲崎弘宜, Scratchでまなぶプログラミング的思考, 『Scratchでたのしく学ぶプログラミング的思考』出版記念セミナー, 2019年12月2日より


②将来につながる「遊び」とそうでない「遊び」は何が違う?

「遊び」は身体的にも精神的にも人を成長させるという研究は多くある。人との関わるなかで、「人間力(人の気持ちがわかる力)」と「免疫力(逆境にあっても乗り越える力)」を身につけることで、社会でやってのけるチカラをつけるためだろう。
プログラミング教育も、活用の仕方次第でより優れた教育ツールになる。Scratchというプログラミング言語の優れているところは、①見た目が楽しげ②人の作品をアレンジして作れる(作り方も見える)③自分の作品を表現し、反応をもらえる場があるというところ。
自分がいいなと感じた作品を観察しながら、自分に取り入れてみたい要素を比較し、より自分のこだわりや好みを理解できる。プログラミング教材がそのように、自分と相手の理解を深める表現ツールとして活用されているのであれば、「人間力」「免疫力」をもった人に成長していくのだろうと考えている。
より具体的なイメージを広げるのであれば、岸本 好弘氏の「ゲーミフィケーション6要素」が参考になるだろう。表現を通じて、人と関わり、成長するプロセスをプログラミング教育は担うことは難しくないはずである。

岸本 好弘「ゲーミフィケーション6要素」


③プログラミング教育にかける時間は将来役立つの?

結局、プログラミング教育の中で子供達は「何ができる?」つまるところ、稼げるの?できる仕事が増える?楽しい人生を送れるの?というところが親御さんの気持ちだろう。

正直な感想を言えば、目に見える変化はあまりないかもしれない。
しかし、筆者が今の時代に1番必要だと思う「能動性」を養う上で重要な素養を身につけられると思う。

N高等学校卒業した三橋優希さんのインタビューでは、Scratchでの学びは全て、現在の仕事に生かされていると回答しており参考になるだろう。

「スクラッチでの作品づくりを通して、思いついたアイディアを形にする一連の流れを学びました。まずは実現したいものに向けて、『どうすれば作れるかな?』と徹底的に調べる。そこで得た情報を取捨選択し、実装する。そして完成まで持っていく。
実際に私は、あるアルゴリズムを実装するために難しいC++(汎用プログラミング言語)のプログラムをがんばって読んでいたこともありました(笑)。モノの動きをリアルにするために、放物線の数式を調べて実装したこともあります。とにかく『作りたい』一心で、あきらめずに取り組めたのは貴重な経験でした」

(子ども向けプログラミング言語「Scratch」とは 専門家と現役高校生エンジニアに聞く,朝日新聞EduA, 2020.12.03, 夏野かおる著)


さて、以上でさまざまな視点でプログラミング教育を見てきたが、コミュニケーションの練習の場になるか、単なる娯楽になるか。その境界は限りなく曖昧でわかりにくい。ただし、「消費者としてではなく、作って、動かして楽しむという、クリエイター側の喜びを得られる」という経験は一生にわたり活かせる資産であり、財産になるだろう。



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