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アリとアートとスイートなデモクラシー[プロジェクトについて]

鈴木真梧

私が以前、確定申告の書類を作成していたときのことです。小学生になって間もない娘が「お父さん、何をしているの?」と聞いてきました。
どこから話したらいいか少し戸惑いましたが、私は娘に税金のこと、政治のこと、政治家を選ぶための選挙や投票のことなど、なるべく分かり易く簡単に話を始めました。

すると話を聞いていた娘が「ちょっと待って、何で女性のリーダー(首相)はいないの?」と質問してきたのです。
さらに私は、世界には女性のリーダーがいない訳ではないけれどまだまだ少ないことや、国民みんなでリーダーを選ぶ権利の大切さを話していきました。

そんな質問をした娘はいま9歳になっています。選挙権をもらえるちょうど半分の年齢です。1/2成人式があるなら、1/2選挙権があっても良いはずです。そんな思いがこのプロジェクトの発端です。大人になると色々なメディアを通して様々な情報が入ってくる反面、バイアスのかかった情報を取捨選択し判断することが難しくなる時があります。そして一度凝り固まってしまった大人の思想をストレッチしていくのは、なかなかに大変なことです。

しかし選挙権をもらえる1/2の年齢の、まだまだ素直で優しい子どもたちになら、しっかりと話せば右だの左だの言う大人と違って、ちゃんと分かってくれるのではと感じています。私はそんな「未来を担う子どもたちに、未来の希望を聞いてみたい」と思いました。


日本では2016年に18歳選挙権が適用されましたが、国政選挙での投票率は未だ50%前後に過ぎず、若年になるほどその率は下がる傾向なのが現状です。
乗り合いバスで例えるなら、「何処へ行きたいですか?」というドライバーのアナウンスに、「こっちに行きたい!」と声を上げたわずか半分の乗客たちが行き先を決めてしまうようなこと。それも声を上げるのは高齢の大人たちが多くを占め、若者が多い残りの半分の乗客はスマホに夢中になってうつむいたままだったり、行き先に関心はあるけど車窓の移り変わる景色が楽しくて特に発言しない人たちななど。そして「何処へ行きたいですか?」という問いかけに答えなかった乗客たちは、自分たちが望まない場所へ連れて行かれてしまうかもしれません…
こうした「発しない声」「発するつもりのない声」「発したくても届かない声」があるにも関わらず、不在者は置き去りのまま政策は進行し、社会は不均衡に回り続けています。

このような現状を踏まえ、個人個人が社会の一員であること、それが全体主義ではなく民主主義であることを、小さい子どもたちと共に、大人も一緒に考えていければと思っています。
この自分の娘との会話が動機付けとなり、「スイート・デモクラシー」というプロジェクトを企画しました。このプロジェクトには3つのコンテンツがあります。


その1「1/2選挙権[小選挙公制]」

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いま小学校では10歳になると1/2成人式が実施されていますが、今回は9歳以上の小学4年生~6年生を対象として、1/2選挙権を想定し架空の投票を行なってもらい、子どもたちにより良い社会の未来を、具体的かつ希望をもって描いてもらいます。そう遠くない将来に社会へ出ていく子どもたちに民主主義を育んでもらい、自主性が社会を育てていくことをシミュレーションしてもらいたいという「小学生の、小学生による、小学生のための選挙」プロジェクトです。コンテンツ名の括弧にある「小選挙公制」の「小」は小学生のことです。また「区」ではなく「公」という字を当て「しょうせんきょく」と読んでもらいます。「公」には「世間一般の人にも関わる」という意味もあります。


その2「国会蟻事堂」

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国や政治の象徴としての国会議事堂、国民一人ひとりの民衆の象徴としてのアリ、それらを組み合わせて立体作品をつくり展示します。国会議事堂のようなオブジェはアリの好きな砂糖などの嗜好物を使って制作し、それにアリが群がる様子を視覚化します。
「自分が一人だけ選挙に行っても、どうせ社会は変わらないよ…」という諦め意識を改革して、皆んなが行動すれば社会は変わるということを、ビジュアル的なメッセージとしても発信していきたいと考えています。数種類の女王アリのコロニーは、オブジェと一緒に密閉したケース内で完全飼育されます。作品タイトルの「国会蟻事堂」の「ぎ」は本来「議」という字ですが、「蟻」という字を用いて「ぎじどう」と読ませています。


その3「アリとアートとスイートなデモクラシー@note」

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そして2021 年の夏に行われるプロジェクトまで、「アリとアートと民主主義」をテーマに、この[note]を使って、プロジェクトのプロセスや理念を発信していきます。アリの飼育から発見したことや気付き、そしてちょっと甘い現在の日本の民主主義や、多数決の選挙は本当に民意を反影したものなのかということ、そしてそれらとアートがどのように関わってくるのか等々、このプロジェクトの輪郭を伝えていければと考えています。

これから定期的に発信していきたいと思っていますので、またどうぞお立ち寄りください。

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