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【ミカタをつくる広報の力学】 #36 調査PRとパーセプション

前々回のエビデンスの話で調査データについて少し触れましたが、そこから広げて今回は「調査PR」の話です。
とはいえ、手法について書いているサイトは他にもたくさん存在しますので、このコラムでは、調査PRの活用法として「パーセプション形成」について書いていきたいと思います。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


調査PRとは

データパブリシティや調査リリースと呼ぶ場合もありますが、ここでは、
アンケートやインタビューだけでなく、検査や検証によるエビデンスやランキングなども含めて、広義での「調査データの発表によるPR手法」「調査PR」と呼ぶことにします。

つまり、「調査した結果、こういうことが分かりました」ということを発表するのが「調査PR」です。

なぜそんなことをするのか。消費者もメディアも、データが好きだから。

「1位は有名なあのブランド」なんていうランキングの記事があるとつい見てしまう人も多いと思います。

「#29 露出には数字・画ヂカラ・意外性」でも書いていますが、数字があることで自分の知る基準と比較して状況を把握できるため、読む動機になりうるのです。

人気投票を行った結果、自社ブランドが1位を獲得できたりすると理想的なPRになりますよね。2位や3位であってもイメージアップに結びつくのではないでしょうか。

他社と競争しなくても、飲食店などでは人気メニューランキングもよく見かけます。ランキングを当てるクイズがテレビ番組にもなるくらい、皆さんランキングが大好きなのです。

10問のアンケートを1000人に実施する程度のネットアンケートであれば、10万円くらいからあります。調査結果も数回に分けて配信すれば、かなりコスパが良いのではないでしょうか。


定点調査でパーセプションをつくる

上で書いたように、大きなバズは狙えないものの、露出の確率を着実に上げる底力が、調査PRにはあります。

ですが今回の本題は露出ではなくパーセプション。
パーセプションとは、ブランドに対する認識のことです。
ここからは定点調査によるパーセプション=認識の形成について書きます。

定点調査を継続的に発表することで、「この企業はこのジャンルに強みがある」という認識を形成することができます。

例えば、高校生の消費行動に関する調査データを毎月発表している企業があったら、高校生をターゲットとする企業だと思うでしょう。
高校生の消費行動について検索すると、一定の確率でこの企業のデータがヒットするわけですから、人によっては「高校生といえばこの企業」と認識する人も出てくるかもしれません。

大切なことは、ジャンルを絞って出来るだけ高頻度で長く続けること
それと、ヒット率を上げるために、季節に合わせたアンケートを実施することです。


調査データはアーカイブ情報にも

調査データは、旬のリリースからアーカイブまで汎用的な展開が可能です。
上記の高校生の例で、もう少し詳しく説明しましょう。

ヒット率を上げるためには、先ほども書いたように季節に合わせたネタが必要になります。

1月はお年玉に関するアンケート、2月はバレンタイン、3月は卒業式、4月は新学期というように、歳時記に合わせた調査を、毎月実施します。
そうすることで、どの月においても、旬のネタの検索に対してヒットさせることができます。

この調査データはアーカイブとして保存され、翌年の同じ月に再度検索されやすくなります。ですが、翌年はその年の調査を実施しているため、2年分ヒットします。

つまり古いデータと新しいデータの両方が見られるわけです。

これを続けていくと、高校生の1年を通じた行動の動きや年ごとの変化、最新のデータが閲覧でき、しかも継続的な定点調査としてみることもできる、「情報の層」が出来上がります。

これは以前説明した5つのPR情報「STANS」のうち「Scoop」を除く4つに該当するので、かなりの高確率でヒットすると考えられるのではないでしょうか。
(「STANS」については、「#32 PR情報の種類について考える」をご参照ください)

検索で多くヒットするということは、地道ではありますが着実に、パーセプション形成に結び付くということになります。


おわりに

今回は、調査PRによるパーセプション形成について書きました。
コスパはかなり優れているので、実施している企業も多いのではないでしょうか。

調査データについては奥が深いので、また別な観点からも書くことになると思います。ご希望の課題があれば、リクエストもお待ちしています。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。



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