【ミカタをつくる企画の定理】プレゼンテクについて考える
今回はスピンオフの『ミカタをつくる企画の定理』。
プレゼンの方法について書きます。
私はプランナーなのでプレゼンをする機会が結構あるのですが、他の人に言わせると「少し変わっている」のだそうです。
なので王道でもなければ必勝法でもありません。役に立つかどうかは不明ですが、いちプランナーの個人的な意見として参考にしてもらえたらと思います。
企画書とプレゼンは別もの
私はプレゼンをするとき、あまり企画書を参照しません。
対面でプレゼンするときには、企画書を配らないこともあります。
企画書を配ると一生懸命ページを捲って読んでいる人がいるのですが、
それはとても気の毒なことだと思うわけです。
企画内容が違うのは当然としても、書式も表現方法も異なる企画書を何冊も読まなくてはならず、しかも制限時間内で読まされるなんて、消化不良になっても仕方ないのではないかと。
なので私は、企画書を読むプレゼンは、ルールで決められているとき以外にはやりません。
図を参照したほうが分かりやすいときには図を見せながら進行しますが、文章で書かれているページはすべて飛ばしてしまいます。
そもそもプレゼンの多くは、企画書が詳細すぎて要点が分かりにくかったり、逆に簡潔すぎて詳しい説明が欲しくなるものであったり、という場合に実施されます。
つまり企画書では不十分だからプレゼンしているわけなので、企画書に書かれている詳しい内容は、後ほどゆっくり読んでもらえれば良いかなと思っています。
アイスブレイクは聴く準備
上記のように企画書を無視してプレゼンをはじめる私は、最初にアイスブレイク的な話をします。
たとえプレゼン時間が10分しかないとしても、最低の30秒くらいはアイスブレイクに使います。
私の実施するアイスブレイクは、和ませるためのものではなく、プレゼンを聴く準備をしてもらうためのもの。
つまり「私は今からこんな話をしますよ」という予告であって、「なぜその話をするのか」という根拠につなげるためのものです。
そのときのポイントは3つ。
①企画書を開かない
②相手に向かって問いかける
③旬の話題をチョイスする
この3つのポイントには、「私は企画書を無視して話を進めますよ」ということと、「だから企画書を見ていないで私の方を見てください」ということのアピールも入っています。
たとえば、一般的な販促施策のコンペに対して、SDGsを含む提案をしようとしていたとします。
オリエン内容にSDGsが含まれていない場合、聴く人たちがSDGsを知らない可能性もありますよね。
そういうときには、こんな一言からプレゼンをはじめます。
「皆さん今朝の朝刊のSDGsの記事をご覧になりましたか?」
この一言で、「SDGsは朝刊に載るほど重要」ということと、「これからSDGsの話をする」ということが伝えられたわけです。
これでもし「販促にSDGsをどう絡めるのだろう?」と疑問に思ってもらえたなら、聴く準備が整ったということです。
プレゼンでは要点のみを的確に
私は企画提案で最も重要なのは「理由」だと思っています。
つまり「なぜこの企画を実施すべきか」ということです。
ほとんどの企画書は、「与件の整理」、「現状把握」、「目的の設定と課題の抽出」、「企画骨子・概要」、「具体的な実施案」、「予算」といった項目で構成されていると思いますが、プレゼンターが新たに発見した事実でも無い限り、現状把握までは相手もご存じの内容だと思います。
つまり伝えなければいけないのは、以下の3つ。
①与件と現状から導き出した目的と課題
②課題解決のためにこんな提案をしたい
③具体的にはこんなことを実施します
①目的と課題で1ページ、②提案の概要で1ページ、③具体施策で2~3ページ。このくらいであれば退屈せずに聴けるのではないかと思います。
人間の集中力は8秒とか90分とか環境によっていろいろ異なりますが、仕事に集中できるのは15分程度と言われていますので、その時間内にインパクトを残したいですよね。
ちなみに私がよく使ったのは、ワイドショーなどで使われる「めくりフリップ」。フリップにめくりが付いていると、皆さん企画書を見ずにフリップを見てくれるのです。
もちろん企画書にはめくった後の答えが記載されているのですが、ギミックがあることでフリップに集中してくれます。
当時もパワポプレゼンはあったのですが、あえてフリップにすることで個性とユーモアを感じてもらえました。
時間調整コンテンツを準備
多くのコンペには制限時間が設定されているかと思います。
質疑応答を含んでいる場合には時間調節の必要はありませんが、純粋にプレゼン時間のみの場合には時間調整用のコンテンツがあると便利です。
たとえば30分の時間設定がされているときには、25分程度でプレゼンを終わらせられるようにリハーサルしておきます。
そして残りの時間は調整用コンテンツの出番です。
時間調整用コンテンツというのは、補足資料的なビジュアル案などのことを指します。
もちろんメインのビジュアル案はきちんとプレゼンしなくてはなりませんが、企画書には細かな備品などのデザイン案も記載されることがあります。
こうしたものは最後に残った時間で、「様々なパーツのデザイン案を時間が許す限りご覧いただきます」と言って紹介し、タイムアップになった時点で、「残りは企画書でじっくりご覧ください」と言ってプレゼンを終了します。
なぜわざわざ短めに終わらせて時間調整するのかというと、時間ピッタリに終わらせられる人なんていないからです。
緊張すると早口になりがちなのですが、それは時間内にピッタリ終わらせようと思うから。時間はむしろ余分にとってあるので、ゆっくりマイペースで喋れば良いのです。
逆に時間が足りなくなった時も、調整用コンテンツであればすべてを見せる必要がないので途中でも切り上げられます。
とはいえ、プレゼンター自身がプレゼンしながら時間調整するのは難易度が高いので、10分程度のサンプル動画が用意してあると、かなり便利に使えます。動画を流している間は次の展開を考えることができますので。
質疑応答込みで時間設定されている場合には、インパクトだけ残して早く終わらせるのも手です。
プレゼンターが話した内容よりも、聴き手が自分で質問した内容のほうが印象に残りやすいので、質問の余地を残しておくのもテクニックといえるでしょう。
おわりに
今回はプレゼンだけに特化したテクニックの話をしました。
いまはオンラインが多いので、ここまでテクニカルに準備する必要はないかもしれませんし、逆に企画書の内容を充実させてプレゼン無しというケースのほうが多いかもしれません。
企画コンペの参加者に限らず、セミナーや説明会の登壇者にとっても伝わりやすさはプレゼン次第。
さまざまな場合に応用していただけたらと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。
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