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【ミカタをつくる広報の力学】 #15 広報の効果を定性的に見える化

今回は前回から引き続き「見える化」の話ですが、広報の効果としてのアウトカムを社内に見えるようにしよう、という話です。

これはコラムを始めたきっかけでもある「広報が社内で理解されない」という課題にも繋がるものだと思います。

社内に向けて、定量化できない効果は定性的に見せていこう、ということを書いていきます。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


PR効果の「見える化」は不可能?

社内で広報が理解されない理由を考えてみると、他部門の人にとって、広報の効果を実感しにくいからではないかと思います。

広告や販促ツールの場合はダイレクトに購買訴求をしますが、広報・PRの場合はファクトを発信することしかできません。情報を届けるのはメディアの役割なので、購買訴求というよりは、知的好奇心を満たす内容が多くなります。

広告を見たくない人の立場から考えてみれば当然のことですが、だからこそわかりにくい。

それでもウェブメディアであれば、コンバージョンなどの数字によって「定量的な見える化」が可能ですが、ウェブ以外のメディアだと広告換算等で定量化を試みたところで貢献度合いが見えにくいのは否めません。

では、「定性的な見える化」ではどうでしょう。

前回書いた工場見学のように、見学に来た人たちの楽しむ姿を目の当りにできるなら、アンケートデータを数字で見るよりも、「どれだけ感動しているか」をリアルに実感できるのではないでしょうか。

つまり「見える化」で大切なのは、数値化よりも「どれだけリアリティを感じられるか」ということなのだと思います。


部門で異なるリアリティの感じ方

もちろん「何にリアリティを感じるか」は部門ごとに異なります。
これは「最も説得力を持つのは誰の反応か」と言い換えても良いかもしれません。

営業などのフロントに立つ部門は社外の反応を直に受けることができるので、顧客からの評判が一番ですよね。
得意先に向けて発信するメールマガジンやニュースレターを通じてコミュニケーションを取ることで、営業部門や窓口部門へのレスポンスが高まれば、一定の評価を感じることができるはずです。

技術や開発などのバックヤード部門には、以前「#03 開発部門にミカタをつくる」などでも書いていますが、展示会や取材など、外部との接点を作ると見える化しやすいです。これは工場見学も同様ですね。

外部に対する「社内の見える化」をリアルで実施するときは、同時に「外部の反応の見える化」も行われているということです。

財務・法務や人事などのコスト部門は取材接点が薄いと思われがちですが、SDGsやDXで今後ますます注目される部門なので、積極的に取材誘致すると良いと思います。

その結果がESG投資に繋がれば、定量的にも広報の効果を感じてもらえることでしょう。


家族の反応も貴重なアウトカム

一方で、部門に関係なく、外部の反応を一番リアルに感じるのは「家族」ではないでしょうか。

つまり、最も身近な一般消費者です。

家族や親族から「あなたの会社、テレビ出てたでしょ」と言われると、かなりの反響の大きさを実感するそうです。

仕事上の取引きがあるわけでもなく、メディアでもアナリストでもない人の評価というものは、利害のまったく関係しない、いわばシンプルでストレートな客観的評価です。

これはときに辛辣で、ときに的外れなのですが、偏見も忖度も無い正直な感想なので、自社からのアウトプットに対する、もっとも純粋な「アウトカム」と捉えることができます。
しかも身近な人のご意見なので、無視するわけにもいきませんよね(笑)

なので、テレビ露出とは言わないまでも、社員の家族に向けた社内報の発行やイベントの実施を考えてみるのも、自社の客観的な評価を得る一つの手なのかもしれません。


おわりに

今回は、広報・PRの影響を社員に定性的に感じてもらうにはどうすれば良いか、ということを書きましたが、もともと社会一般に対してPRするときは、データパブリシティ以外は定性的な施策が多いと思います。

なので、社内におけるコミュニケーションにも同じような考え方や施策を応用していけば、自然と理解が深まるのではないかと思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。



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