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【コメディ】年納め極秘作戦

カリフォルニア州、大晦日の午後11時から12時──物語はリアルタイムで進行する!
米国テロ対策部隊の捜査官ケイトは、ついにテロリストのアジトにたどり着いた!
敵の恐ろしい計画を阻止するため、アジトに乗り込むのだ!
非常に危険だが、ベテランのケイトは何度も通ってきた道!
いつものように相棒トムが衛星画像を解析しケイトを適切な経路に導く!
……はずだったが、今日の通信相手はいつものトムではなく名前も聞いたことのないサラ!
一体何が起きたのか!
ケイトに人生最大の危機が迫る!

*************
▶ジャンル:コメディ

▶出演

  • ケイト:佐藤恵子(東北新社)

  • サラ:田中見希子(東北新社)

▶スタッフ

  • 作/演出:山本憲司(東北新社/OND°)

  • プロジェクトマネージャー:大屋光子(東北新社)

  • プロデュース:田中見希子(東北新社)

  • 収録協力:オムニバス・ジャパン

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『年納め極秘作戦』シナリオ

登場人物
 ケイト(46)
 サラ(26)

   呼び出し音。
ケイト「こちらケイト、位置に着いた」
サラ「あ、えー、サラです」
ケイト「サラ? 誰?」
サラ「あー、トニーの代わりです」
ケイト「え? あなたわかってるの?」
サラ「何をです?」
ケイト「あなたの仕事よ」
サラ「ええまあ。大体?」
ケイト「大体って、ロス市民の命運がかかってるのよ」
サラ「そうなんですか?」
ケイト「わかってないじゃない」
サラ「もちろんわかってますよ。昨日みっちり使い方教わったんで」
ケイト「なんでトニーは出ないの」
サラ「あー、やっぱり」
ケイト「何が」
サラ「絶対怒られるって言ったのに」
ケイト「怒られる? 誰に」
サラ「あなたにですよ、ケイト」
ケイト「怒ってないわよ」
サラ「怒ってるじゃないですか」
ケイト「そんなことどうでもいいからトニーを出して」
サラ「あ、休暇です」
ケイト「休暇?」
サラ「クリスマス休暇ですよ、世界は」
ケイト「休んでるの?」
サラ「そんなびっくりすることですか?」
ケイト「どうするのよこの状況」
サラ「どんな状況なんです?」
ケイト「そこから説明しなきゃいけないの?」
サラ「いえいえ、大体聞いてますって。潜入してるんですよね、テロリストのアジトに」
ケイト「正確にはまだしてない」
サラ「いつするんです?」
ケイト「だから、今しようとしてるんじゃない。その私を補佐するのがあなたの役割じゃないの」
サラ「なるほどー」
ケイト「しっかりしてくれる? 400万人のロス市民の命運がかかってるの。核を持ってるの、やつらは」
サラ「わかってますよ」
ケイト「早くして」
サラ「えー、で……」
ケイト「私のいる場所」
サラ「そう。あなたのいる場所ですよね」
ケイト「わかってるのよね」
サラ「もちろん。えー……ノース・アラメダ・ストリートから一本入ったウィルソン・パークの向かいのビルですね!」
ケイト「口に出さなくていい!」
サラ「なんでです?」
ケイト「これは私が極秘でやってることだから!」
サラ「えー、そうなんですか!」
ケイト「声が大きい」
サラ「あ、部長がこっち見ました」
ケイト「大きな声出すからでしょ」
サラ「極秘ってのは、どれくらい極秘なんです?」
ケイト「だから、部長にも教えられないくらいの極秘!」
サラ「ああ、あなたルール破って単独行動よくする人なんですよね」
ケイト「わかってるんなら協力して」
サラ「で、次はどうしたら?」
ケイト「警備の人数と位置を教えて」
サラ「あー人数ですね」
ケイト「わかってるの?」
サラ「警備のですよね」
ケイト「そう!」
サラ「えーと……」
ケイト「衛星画像のウインドウを開くのよ」
サラ「開くんですよね。知ってます」
ケイト「じゃあやってよ!」
サラ「急に難しいこというから」
ケイト「さっきみっちり教わってって言ってたじゃない」
サラ「それはPCの使い方を教わっただけで」
ケイト「あなた、ここの職員なの?」
サラ「職員って?」
ケイト「あなた所属は?」
サラ「私はパートですよ」
ケイト「パート? どうしてあなたみたい子がレベル4に」
サラ「レベル4?」
ケイト「アクセス権限よ」
サラ「ああー。なんでか知りたいです?」
ケイト「いいから、衛星画像」
サラ「トニーは、お肉を焼く係だから」
ケイト「お肉?」
サラ「知ってます? トニーのローストビーフ、絶品なんですから」
ケイト「知ってるわよ」
サラ「なーんだ。だからね、トニーがお肉焼く代わりに私がここにいると」
ケイト「どういうこと? 聞いてないわよ」
サラ「トニーに確認します?」
ケイト「いいからもう! 早く衛星画像開いて」
サラ「あ、開けましたよ。うわーすごっ。透け透け」
ケイト「感心してないで早く教えてよ」
サラ「えー、人数ですよね」
ケイト「警備の」
サラ「警備の人数ですよね。わかってますって」
ケイト「急いで。かなりの時間のロスだわ」
サラ「いち、に、さん」
ケイト「何数えてんの!」
サラ「え、数知りたいんでしょ」
ケイト「コマンド打つのよ」
サラ「あ、はい」
ケイト「コントロールシフトC」
サラ「知ってますよ。シフト……C。一応目でも確認してただけです」
ケイト「無駄な時間!」
サラ「これどうしたらいいんですかねー……」
ケイト「何!」
サラ「ビルの一階から六階まで重なってて選べない」
ケイト「まさか平面モードで見てるんじゃないでしょうね」
サラ「まさか見てるわけないでしょ。えー3Dモードでしょ。おー」
ケイト「今おーって言わなかった?」
サラ「言ってません」
ケイト「どうなの。屋上は」
サラ「屋上?」
ケイト「私のいる場所」
サラ「屋上にいるんですか」
ケイト「私がどこにいると思ってたのよ」
サラ「うそうそ。知ってますよ。確認しただけです。屋上でしょ? 屋上……いたー」
ケイト「わかったら早くして」
サラ「あ、このグリーンのがあなただと思うんですけどそこに向かって赤い点が3つ近づいてますよ」
   銃声。
サラ「あれ? ケイト?」
ケイト「遅いわよ。もっと早く言って」
サラ「やったんですか」
ケイト「やったわよ。これぐらい朝飯前よ」
サラ「あ、なんか急にほかの赤い点も移動し始めましたよ」
ケイト「しまった。今の銃声聞かれたか」
サラ「そういう時はサプレッサー使うんじゃないんですか」
ケイト「よく知ってるじゃない」
サラ「これもトニーから聞きました」
ケイト「あーそう。じゃあ教えとくけど、サプレッサー使ったって結構大きな音するのよ。ドラマみたいに行かないの」
サラ「そうなんですねー。トニーはあなたが使ってる銃の名前とかもいろいろ教えてくれました」
ケイト「ちょっと待って! ……え?」
サラ「なんです?」
ケイト「もしかして……5丁目のバー?」
サラ「違いますよ。ここはウィルソン・パークの」
ケイト「5丁目のバーのコってあなたでしょ」
サラ「あー私のこと?」
ケイト「もしかして一緒に住んでる?」
サラ「はい。先月から」
ケイト「うそでしょ……」
サラ「あのー、赤い点、どんどん来ますよ」
ケイト「あなただったのね、私からトニーを奪ったのは!」
サラ「え、誤解ですよ」
ケイト「誤解ですって?」
サラ「誘ってきたのはトニーのほうですよ」
ケイト「うそよ!」
サラ「あのー来ますよ」
ケイト「私たち、結婚しようねって約束してたのよ」
サラ「そういえば言ってましたねー」
ケイト「えー、もうなんなのよ!」
サラ「あー、どんどん来ますよ」
ケイト「いいの! もういいの!」
サラ「は?」
ケイト「もうどうでもいい(泣く)」
サラ「あのーでも400万のロス市民は……」
ケイト「もういいわ。どうでもいい(泣く)」
サラ「いやー」
ケイト「あなたにナビしてもらってテロリストのアジトに乗り込むなんて、耐えられない」
サラ「えー……」
ケイト「いいわもう。このまま捕まって撃たれて死ぬのよ」
サラ「……」
ケイト「どうしたの……何? なんか声しなかった?」
サラ「いや、なんか話が面白すぎてスピーカーオンにしたらみんな聞きに来ちゃってー」
ケイト「ちょっとなにしてくれてんの。極秘だって言ったでしょ」
サラ「はあ」
ケイト「ていうか今更だけどあなた、飲んでない?」
サラ「飲んでなんかいませんよー」
ケイト「なんかチンって鳴った!」
サラ「鳴ってないですよー」
ケイト「絶対鳴った!」
サラ「(誰かに)あ、はい」
ケイト「何?」
サラ「(誰かに)はい、はい。わかりました」
ケイト「どうしたの」
サラ「部長がね、もういいって」
ケイト「部長に話したの?」
サラ「だからみんな聞いてますって」
ケイト「あのさあ、400万の……」
サラ「テロリストの本当のアジトはそこではなくて、北に3マイル行ったところにあって、さっきスワットが突入成功したそうです」
ケイト「え……」
サラ「と、いうことで」
ケイト「ちょっと待ってよ。じゃあ私は何? おとり? みんなの前に恥ずかしい姿をさらしただけ?」
   シャンパン。
   ハッピーニューイヤー!とみんなが祝っている。
ケイト「くそーみんなぶっ殺してやるーっ!」
   シャンパンの音と銃声が交錯する。
                              〈終〉

シナリオの著作権は、山本憲司に帰属します。
無許可での転載・複製・改変等の行為は固く禁じます。
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ただし、以下のクレジットを表記してください。(作品内、もしくは詳細欄など)
【脚本:山本憲司】
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