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高校が塾と共同で「授業をしない授業」をする理由|武田塾×品川学藝高等学校

2023年、学校創立120周年を迎えるのをきっかけに、男女共学校として新たに出発することになった品川学藝高等学校。

新設される普通科リベラルアーツ(進学)コースでは、カリキュラム内に「授業をしない授業」を取り入れることに。「授業をしない塾」で有名な学習塾・武田塾と品川学藝高等学校が共同で進める授業で新たな挑戦となる。

勉強を教える場所である学校で、「授業をしない授業」とはどういうことなのか。
「授業をしない授業」がなぜ必要で、何を目指すのか。

今回は、品川学藝高等学校を運営する学校法人三浦学園の常務理事・三浦裕明と、授業を監修する武田塾講師・川野純先生による対談でお伝えしていきます。(取材・文 荒川ゆうこ)

武田塾講師・川野純先生(左)と学校法人三浦学園の常務理事・三浦裕明(右)

勉強の原理原則を知る「授業をしない授業」

-「授業をしない授業」とは、どのようなものなのですか。

川野(武田塾):いわゆる授業を受け身で聞く時間とは異なり、“自学自習の習慣”を身につけるための授業を行い、「正しい」勉強法を一から学びます。

成績を伸ばすには、「わかる→やってみる→できる」の3ステップを理解する必要があります。成績が伸びずに悩んでいる生徒さんは、学校の授業で「わかる」はできても、問題を自分で「やってみる」ことと、何度も繰り返して「できる」ようにするステップが圧倒的に足りていません。
「授業をしない授業」では、「やってみる」と「できる」のステップを実践することで成績が伸びる自学自習の習慣をつくります。

三浦(品川学藝):大学受験に限らず、学校生活において勉強が思うようにできないことは自己肯定感が下がってしまう1つの原因になります。「正しい」勉強法を知ってもらい、一人ひとりが自信を持って学校生活を送ってもらえるようにサポートしたいと考えています。

楽器やスポーツが上達するステップと同様に、お手本を見る(わかる)だけではできるようになりません。自ら練習を重ねる(やってみる)ことで初めて上達する(できる)ものだと思います。

また学校では、授業を通して「わかる」状態をつくることはできますが、「やってみる」→「できる」までは時間的な制約で個々に補いきれないことを学校現場に身を置くようになって感じました。
本校でもこの問題点を補える機会があればいいと思うようになったのが今回のプロジェクトのきっかけです。

特に普通科リベラルアーツ(進学)コースは、大学受験への学びを含め、幅広い教養・知識を身につけ「人間力」の向上をめざすコースですから、今回の「正しい」勉強法を身につける重要性は高いと感じています。

川野:勉強を「教える場」である学校に、武田塾の「教えない場」を持ち込んだというのは、本当に画期的なことです。一見相容れないものですから。
「わかる」を加速させる既存の授業との兼ね合いを考えながら、武田塾メソッドを落とし込みます。

三浦:そうですね。普段行っている授業を否定するものではなく、両輪だと考えています。通常の授業に加えて、「正しい」勉強法を身に付けてもらいます。成績が伸びるステップを理解すれば、授業に臨む姿勢も変わると思います。

「正しい」勉強法で勉強の不安から生徒を救いたい

-「授業をしない授業」で身につける「正しい」勉強法とはどういうものでしょうか。

川野(武田塾):大学受験合格を目標にしているので、合格できる水準の知識を身に付けるのが「正しい」勉強法だと考えています。「自分は勉強ができない」と思い込んでいる生徒も、正しくやればできるようになります。

学校の授業だけでは足りないと予備校に通う生徒もいますが、予備校も基本的には授業を受ける場なので「わかる」ことの積み重ねでしかありません。授業を受ければ「わかる」けれど、「できる」にはならない。頑張っているのに成績が伸びないので、苦しみを生むと思います。
「やってみる」、「できる」に時間を多く割くようにしなければなりません。

三浦(品川学藝):今の時代、教育法も勉強法も、良いとされるものがたくさんあります。選択肢も情報も増えた分、生徒は混乱してしまいます。参考書一つ選ぶのだって、一苦労。なんとなく選んでしまえば、新しいものが出たら欲しくなるし、友達が使っているものが良く見えることもあります。
その点武田塾では、生徒に合う参考書を提示してくれますから、よそ見する心配がありません。

川野:確かに、長年参考書学習を研究してきた我々が、何十時間も検討を重ねて、全ての参考書の中から選定し、カリキュラム作りを行っていますので、惑わされることはないと思います。

実際の武田塾の現場では、受験合格というゴールから逆算し、1週間ごとに取り組むべき宿題を明確にします。1日毎のペース配分や、復習するタイミングも伝えます。そして毎週宿題の確認テストを実施し、その範囲が「できる」かどうかを確かめます。毎週「できる」を増やしていくイメージです。
できていれば先へ、不十分ならもう1週間かけてその範囲を「できる」にしてから先に進みます。できるようになってから先に進むことが大切なのです。

その生徒に合う参考書を1冊ずつ身につけて終わらせていくことで、学習が進んでいる感覚が得られてモチベーション向上になります。当初は保護者の方に連れてこられて嫌々やっていた生徒が、自分からどんどん学ぶようになる例もたくさん見てきました。やっぱり「できる」を積み上げていくと勉強は楽しくなるし、自信になります。

三浦:英語は〇〇時間学べば身につくというような話を耳にすることもありますが、時間だと成果が実感しにくいと思いますし、モチベーションも保ちにくい。参考書を1冊終えて、「ここに書かれている内容ならできる」と思える安心感や自信は大きな力になります。

生徒が持つ無限の可能性を広げたい

-「正しい」勉強法では具体的に何に取り組まれる予定ですか。

三浦(品川学藝):まずは英語で、実際に課題をこなしながらこの学習法のエッセンスを学べるようにしようと考えています。英語は文系・理系関係なく受験に必要になることが多い教科です。

川野(武田塾):高校1年生では英検準2級合格を目標に、参考書を使って学習計画を立て、それに沿って勉強していく予定です。英語は個人差が大きくなりがちな科目ですが、例えば中学2年生の内容が不十分ならそこに戻って学習していくという、個に合わせたスタイルです。

学習指導要領に沿って高等学校は1年間で決められた範囲を終わらせなければならない現実もありますので、個々のレベルに合わせて学習内容を調整することは先生方も難しいと思います。
本来、学校の勉強についていけない生徒は、高校1年生の内容ではなく中学校の内容を学ぶ(復習する)ことを優先しなくてはいけないですから、「正しい」勉強法を通して取り組めればと思っています。

三浦:高等学校という枠組みの中では、当然教員とも連携する必要があります。個別ではなく集団授業という環境下で、武田塾そのままではなく品川学藝バージョンに整えていくことが大切です。とにかく生徒の成績アップに繋がり、自信が持てるカリキュラムになる予定です。

-「授業をしない授業」で目指していることは何ですか。

三浦:勉強の原理原則を学んで、生徒の可能性の芽を伸ばせたらと考えています。

特に大学受験は、高校3年間を締めくくる大きなプレッシャーのかかるイベントです。先ほども少し触れましたが、勉強が不得意と感じると自己肯定感が下がってしまうこともあります。それで「自分なんか」とやりたいことを諦めてしまったり、学校に行けなくなったりしてしまう生徒さんもいます。そういった生徒たちが自信を持って、希望する進路に進めるようにサポートすることは本校の使命です。

川野:今回は英語で自学自習の習慣化を目指しますが、身につければ他の教科にも応用できます。さらに将来、就職に必要な資格や知識の習得にも使える勉強法です。

卒業後の将来まで考えてこの授業を導入するのが、今回のプロジェクトが唯一無二ですごいところ。生徒たちには、無限の可能性があります。環境さえ整えて正しく努力すれば、必ず成長できます。武田塾として高校と手を組んで進めるのは今回が初めてですが、これからより多くの高校生を救えるよう力を尽くします。



●品川学藝校高等学校について
学園創立120周年を迎える2023年を機に、日本最古の私立音楽学校をルーツとする日本音楽高等学校が生まれ変わります。校名は品川学藝高等学校、男女共学校として新たに出発します。建学の精神に「愛と和と誠実」を掲げ、知性と感性の融合を通した「人間力」向上を最重要目標とする教育を実践。設置コースは普通科(リベラルアーツコース、eスポーツエデュケーションコース)と、音楽科(ミュージックコース、パフォーミングアーツコース:バレエ専攻、ミュージカル専攻)の2科4コース。大学受験対策を校内で完結できるよう、外部教育機関の校内予備校を設置するほか、学費無料制度など支援体制を充実します。またリニューアルする新制服はファッション誌「FUDGE(ファッジ)」とのコラボレーションです。

▼品川学藝高等学校について詳しく知りたい方はホームページへ。


●武田塾について
武田塾は独自の勉強法と市販の参考書を使用したカリキュラムで偏差値30台から早慶、MARCH、関関同立レベルの大学逆転合格へと導きます!学校や予備校の授業は「わかる」まで、武田塾は「やってみる」「できる」を生徒一人一人に自学自習で徹底管理する個別指導塾です。 インターネットでも大学受験に関する情報を発信しており、特にYouTubeチャンネル「武田塾チャンネル」は総再生数1億回を突破。多くの受験生に支持されています。 武田塾は全国に約400校舎展開しています。