シン・洒落怖

~洒落怖に魅了され、洒落怖に飢えるあなたへ~ 洒落怖をリスペクトした恐い話や、オカルト…

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~洒落怖に魅了され、洒落怖に飢えるあなたへ~ 洒落怖をリスペクトした恐い話や、オカルト考察をnoteに投稿しています

最近の記事

【怖い話】邪教の胎児

(当作品は、にじさんじ所属VTuber ましろ爻さんの、『視聴者から寄せられた怖い話を読むだけの配信』に投稿したもので、以前の作品『呪物』をベースに執筆しました。) 初めに、下記の内容は全てフィクションとします。 私は、普段サラリーマンをしながら、民俗学や考古学の類に興味を持ち、遊びのようなものですが独自に研究や調査をしております。 或る年の正月だったでしょうか、妻の親戚一同が会する場にて、建築業を営む妻の叔母の旦那さんから、理性では抑えられないほどに私の食指が動いてし

    • 【怖い話】昨晩はどうも

      大学の同じ研究室のやつが、ここ2週間くらい不審者に家をピンポンされてるから、今晩家飲みに来てほしいって言うんですね。 おう、いいよって言って、どうせなら追い返してやろうぜって意気込んで計4人でそいつの家に行きました。 0時を回ったあたりで、ピーンポーン、ってチャイムが鳴ったんですよ。 まずは敵情視察だな、ってのぞき穴から外を見たら、警察が一人立ってて。 おい!お前なんかしたのかよ!って慌ててたんですけど、その警察なんも喋らないんですよね。普通、開けてください、警察です

      • 【恐い話】借りたはずの本

        韜晦してください。 先日、ふと知人に借りっぱなしの書物があることを思い出しました。 今まで失念していた事に慚愧の念を覚え、直ぐ様連絡をし、彼との食事の約束を取り付けました。 当日、暫くぶりの挨拶も程々にして、長らくお借りしてしまって申し訳ない、と本を差し出しました。 すると、知人は「こんな本を貸した覚えなどない」と仰るのです。 いやいや、確かに貴方からお借りした筈です、と改めて見直したところ、 手にしていたのは、全く身に覚えのない、大層汚れた絵本でした。 なぜ、

        • 【怖い話】テント∶嬌声と明滅

          迷い家、ヤマノケ、こだま、山童、天狗など。 少し思い巡らすだけで山にまつわる怪異について例を挙げるのは容易いです。 もちろん僕がオカルト好きだというのもありますが、きっと日本人に於いて山という大自然の具現的存在は、富士山に霊峰と冠し呼ぶ事からも、やはり神聖性を含むオカルティックな一面を有しているのでしょう。 そんな山で、少し不思議な体験をしたので、筆を執ります。 陽射しが皮膚を貫いて深部体温を直接引き上げるような、八月のお盆初めのことでした。 学生時代から登山が趣味

        【怖い話】邪教の胎児

          【怖い話】靴

          こういう風に長い文章を書くことがあまりないので、説明が下手だったり文才がないかもしれないです。分かりづらかったらすみません。 新卒で入社したのはN市のビジネス街から少し外れたところにある、小さな会社でした。 事務のおばちゃんが一人と中国人の社長、あとは色んな企業で経験を積んできた定年後のおじいちゃんが技術者として六人。 職種については少し特殊なので伏せますが、中国人社長による一種のベンチャー企業だと思ってもらえたらと思います。 慣れない社会人生活を過ごしていくなか、ふ

          【怖い話】空き缶の壁

          「月並みだけど、怖いもの見たさで肝試しに向かったんだよ。熱帯夜で、車と時間があったから」 最近お世話になっている美容師のMさんに、何か怖い話はないかとせびったところ、普段の接客のテンションとは如何にもかけ離れたロートーンで、無精と紙一重のおしゃれなヒゲが蓄えられた口を、ゆっくりと開いてくれた。 mixiのコミュニティで「心霊スポット in 〇〇」という僕らの地元らへんにある心霊スポットを紹介していたから、携帯でささっとスクロールして流し見していたのね。そう、mixi(笑)

          【怖い話】空き缶の壁

          【恐い話】宙弧、あるいは狐松明

          凡そ菌糸やリンによる発光、または天然石油からの発火、ボールライトニング現象で説明が付くとされる狐火という現象ですが、果たしてこれを目の当たりにしたことのある人はどのくらいおられますか。 山に連なる長蛇の青白い怪火。 種々の文献で斯様に表現されること数多き妖怪現象を、単に化学反応の結果と締め結ぶのはあまりにも情緒がありませんね。 現に私は、狐火を体験したことがございます。 あれはもう二十数年前になります、大学二回生の時分でした。 当時、冬の海辺に流木を寄せ集め、焚き火

          【恐い話】宙弧、あるいは狐松明

          【怖い話】アイサツ

          よく行くコンビニの店員に片足が不自由なおばちゃんがいて、気にかけてるというか、気になってしまっている。 偏見ではないんだけど、たとえば一つおかしなところを見つけると、他のところまで変な部分を見つけてしまうようなことってあるじゃん。 最初、俺は足が不自由な人なんだ、でそのおばちゃんを覚えてしまったんだけど、次第に足のことよりも独特な喋り方が気になってきた。 それは「いらっしゃあいませえ」のイントネーションとか、「レジ袋はご入り用ですかあ」の濃淡のない語尾とか、「ありがとう

          【怖い話】アイサツ

          【怖い話】こっくりさんですらない

          三十路も近付くと結婚するやつが増えてくるから、大体地元の同級生って疎遠になっていきますよね。 そういう時に催される同窓会ってのが、やっぱり昔話に花が咲いて、歳を取ったなあという寂寞とそんなこともあったなあっていう郷愁が入り混じった、すみれ色のような少し切ない気持ちが、なんかいいなあって。 高校の同窓会でさえそう思ったから、次にやる予定の中学の同窓会はもっと楽しいだろうって、だって、小学校のやつらもほとんど同じ中学行ったから、小中合同の同窓会って感じなんですよ。 当日ホテ

          【怖い話】こっくりさんですらない

          【お詫び】該当作品の削除につきまして

          日頃はシン・洒落怖をご拝読頂きまして、誠にありがとうございます。 noteとカクヨムに投稿していくうちに、少しずつではありますが、スキやコメント、フォロワー様も増えてまいりました。とても喜ばしいことでございます。 SNS全盛期とも言える現代社会における可処分時間の消費方法において、依存性中毒性すら持ちうるショート動画を筆頭にした受動的娯楽を差し置いて、オールドスクールかつ能動的な「文章を読む」という選択をしていただけた事に、一介の読書好きという観点からも感謝の念が尽きませ

          【お詫び】該当作品の削除につきまして

          【恐い話】角の花束

          とある会社帰りの平日、最寄り駅から家までの道で無性に煙草が吸いたくなり、行儀の悪いことですが人目につかない路地に入り込んで紫煙をくゆらせながら歩いてみることにしました。 このご時世ではなかなか見ないであろう、歩き煙草です。場所によっては過料も取られるそうですからとんと目にしなくなりました。 すると、曲がり角にまだ草花も新鮮で目新しい花束を見つけました。 そうか、どなたか亡くなられたような事故があったのかな、と少し立ち止まり、心の中で数瞬黙祷を捧げました。 すると 「

          【恐い話】角の花束

          【怖い話】ばあちゃんのお経

          一年前くらいにじいちゃん死んだんだけどさ、ばあちゃんが結構塞ぎ込んじゃって。 毎日朝のお経を欠かさないんだけど、未だに肩震わしてるのよ。 良い関係の夫婦だったんだな、とか思って。 俺もばあちゃんが生きてる間に嫁見つけて、あわよくばひ孫の顔くらい見せてやりたいよなとか考えちゃうんだよね。 ある日の朝もお経唱えてるのが聞こえてきて、ばあちゃん朝飯食おうよって声かけようと仏間に行ったらさ、 「観自在菩薩行深般若波っ、羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異っ、空空不異色

          【怖い話】ばあちゃんのお経

          【怖い話】山観音

          地元の友達Hくんから、昔不気味な事があったって聞かせてもらいました。 軽音サークルで同じバンド組んでたNってやつに聞いて欲しい話があるって持ちかけられて。 2年生の頃だったかな。モラトリアム真っ盛りだったから、そりゃあもう無敵な訳よ。 だから相談事なんて、金か単位の為のレポートか女の3択だよね。 だから、おん、どうしたって返事したら、 「困ってるわけではないんだけどね、ちょっと不思議な事が起きててさ」って言うのよ。 え、なになにって食いついたらさ、 「五百円玉貯金が

          【怖い話】山観音

          【恐い話】呪物

          知り合いから聞いた話なんですがね 昔々、というほどでもない昔に巷で変な新興宗教が流行ってると教えてもらったんです いわゆる淫祠邪教 まあ、そんなもの大概変じゃないか、と思われる方も多いと思いますが そりゃあもう、輪をかけて変だったそうで あ、私の滑舌が悪く聞き取りづらかったらすみません なんせ歯が何本かないもので、へへ なんでもそちらの信者の方たちは、「穢れ」を集めていたらしいんです 穢れ、とは一体何ぞやという話になってくると思いますが 何かの本で読んだのか、

          【恐い話】呪物

          【恐い話】夢に出るため

          故人が夢に出てきてくれた、という体験は皆さんにも経験があると思います。 そのように人の夢に出るためには、故人側は相応のお金ですとか、生前の徳に基づく非常に厳しい審査があるというスピリチュアルなお話を耳にしたことがあるでしょうか。 それは、故人が夢に出てくれるというのはとても大変なことなので、きちんと感謝をしましょう、或いはそんな故人に哀悼の意を手向ける良い機会ですよ、という説法のようなものなのかなと思っていました。 高校生のとき。 僕にはHくんという幼馴染がいました。

          【恐い話】夢に出るため

          【怖い話】八角堂

          地元に八角堂って呼ばれてる建物があったんですけど。 上から見るときちんと八角形の形をしていて、それで八角堂って呼ばれてたんだと思うんですけど、本当の名前は誰も知りませんでした。 Googleマップにも名称は載ってないし、なんなら用途も一切不明の、まるでトマソンのような建築物でした。 八角堂自体は簡素な作りで、何もない敷地にポツンと佇んでいるんです。 入口は正面に一つと、反対側に一つ。飾りや意匠が凝らされている訳でもなく、寺や仏堂だと言われればそう見えるけど、言われなか

          【怖い話】八角堂