グルメサイト離れは本当か?300人の消費者アンケートと元リクルート/ホットペッパーの私が解説します
結論から言うと「グルメサイト離れ」は起こっていると考えます。
私は2006年〜2013年まで7年半、リクルート・ホットペッパーに在籍していました。
フリーペーパー全盛期→グルメサイト版の立ち上げ→スマホアプリの登場とメディアの変遷期に在籍していたので、クライアント・消費者の変化を肌で実感しています。
私が感じていることとデータ・アンケートの事実をもとにグルメサイト離れがなぜ起こっているのかを解説していきたいと思います。
まず根拠をデータから示します。
グルメサイトの検索ニーズの推移について
Googleトレンドというツールを使って「ぐるなび」「ホットペッパー」「食べログ」「居酒屋」というキーワードで検索した人がどれくらいいたのか2005年〜2020年の相対的な検索ニーズを調べました。
2005年、最も検索されていたのは緑色の折れ線グラフの「ぐるなび」でした。
つまり、飲食店を探そうと思い立ったら真っ先に「ぐるなび」を探す時代だったわけです。
それが2010年〜2011年あたりから「ぐるなび」と検索する人が減り始め、一方で「居酒屋」「食べログ」が伸び始めました。
スマートフォンの普及による検索ニーズの変化
大体2010年くらいからが分岐点なのですが、これは日本でiPhone 4が発売され、スマホ普及率がグンっと上がったあたりからです。
スマホを手にしたことで、消費者のお店選びに大きな変化が生まれます。
検索結果の正確さ、GPS機能の便利さから外で探すシーンが増えるわけです。
外で検索するシーンが増えたことで「近くの居酒屋」「近くのイタリアン」「近くのカフェ」と「近くの〇〇」と検索する人が増えてきたわけです。
↓Googleトレンドで「近くの」と検索した結果
そうすると消費者は「あれ?グルメサイト探しにくくね?」と気づき始めたわけです。
検索者のニーズは「自分の今いる位置から近くの居酒屋」を知りたいのに、ぐるなび・ホットペッパーでは1店舗1店舗詳細のページに行かないと地図がみれないので、自分の今いる位置から近いお店が探せない。
※ホットペッパーは地図検索できるように改修されている(2020年現在)
しかも、ぐるなびやホットペッパーは飲食店が広告料を支払うことで情報が掲載されるため、掲載されないお店もある。
ここで台頭してきたのが「Googleマップ」「食べログ」です。
食べログは掲載料は無料ですし、ユーザーからも店舗登録ができるので、ほぼ全店舗が掲載されています。
また、当時から食べログは地図検索に対応していて、自分の近くにあるクチコミの評点の高いお店が検索出来ていました。
そのおかげもあって食べログがグルメサイトの覇者となり、Googleマップとのニ大巨頭に成長しました。
食べログの検索ニーズの減少
2012年頃から食べログの検索ニーズが下降しています。
検索ニーズが低下した原因は↓のようなニュースが流れたことだと推測します。
「食べログ」で、やらせ業者による不正なランキング操作があったことが分かった。39社が、掲載している飲食店から金銭をもらって好意的な口コミを代行で投稿し、不正にランキングを上げていた。
食べログ側には責任はありませんが、食べログの使う理由の1つである口コミの信頼性が揺らぐニュースでした。
また、こういった飲食店の関係者のTwitterが話題になったことも食べログへの不信感につながったのかもしれません。
食べログのやらせ業者の疑惑、飲食店関係者のTwitterなどが引き金となり、クチコミの信頼性が失われニーズが下がってきたと言えます。
食べログにもいろんな言い分があると思いますし、評点のロジックには様々な要因が絡んでいることは理解できますが、人は感情の生き物ですから、こういったニュースが流れてしまうことで、検索ニーズが下がってしまうのもうなずけます。
こうしてグルメサイトは消費者の検索ニーズが少しずつなくなり、Googleやyahooで直接「地名+ジャンル名」or「近くの〇〇」で検索する人がどんどん増えていきました。
いやいや、スマホなんだからグルメサイトのアプリで検索する人が増えたからわざわざ「ぐるなび」「ホットペッパー」「食べログ」って検索する人が減っただけでしょ?
という意見もありそうなので、消費者アンケートを300人に取りました。
スマホで飲食店を探す時に"一番はじめに"立ち上げるアプリを教えて下さい
●回答の選択肢
1.ブラウザで検索する(Google・yahoo・Safariなど)
2.グルメ"アプリ"で検索する(食べログ・ぐるなび・ホットペッパー)
3.SNSを使う(Instagram・Twitter・Facebookなど)
4.Googleマップで検索する
5.その他
検索方法の1位は堂々のブラウザ検索です。
Googleマップの検索と合わせると「キーワード検索」をする人が70%を超えます。
グルメサイトが飲食店探しのファーストチョイスではなくなったことがGoogleトレンドのデータと消費者アンケートからもよく分かると思います。
では、グルメサイトの価値は今どこにあるのか?何を求められているのか?
考えてみたいと思います。
インターネットを利用する人の購買プロセスのモデルに”AISAS”があります。
A=Attention(注目):商品(お店)の存在を知る
I=Interest(興味):商品(お店)に興味や関心を抱く
S=Search(検索):商品(お店)についてネットで調べる
A=Action(行動):商品を購入する(お店に予約・来店する)
S=Share(共有):商品(お店)の評価をネットで共有する
飲食店の探し方をこの購買プロセスに当てはめてみます。
スマートフォン登場前までの飲食店の検索方法
私がまだホットペッパーに在籍していた2006年〜2010年頃まではこんな流れでした。
1.テレビや雑誌、ホットペッパーで「パンケーキが流行っているらしい!」と知る
2.「パンケーキ」を出しているお店を検索
3.電話で予約して来店する
4.一部の人が食べログで口コミを書く
ホットペッパーがまだフリーペーパーの情報が充実している時代には”注目””興味”のステージで消費者へ情報がお届けできていたので、他のグルメサイトに比べ、”まだ行ったことのない新しいお店を見つけたい”というニーズに応えることができていました。
また、飲食店の情報を探そうと思えば、前述したGoogleトレンドのデータの通り、グルメサイトをまず検索し、グルメサイトの中からお店探しをする時代でした。
”検索”のステージはグルメサイトが役割を担っており、”購入”のステージではグルメサイトに書いてある050〜始まる予約専用番号に電話を掛けるわけです。
そうすると電話に出ると「ホットペッパーからのお電話です」「ぐるなびからのお電話です」と音声が流れた後にお客様と電話がつながる仕組みになっているので、飲食店の方は”グルメサイトに掲載すれば予約が入る”という効果を実感できるわけです。
グルメサイトは掲載料がかかるので効果が実感できないと継続してもらえません。
”購入(Action)”のステージだけは譲れないわけです。
なので、近年ネット予約を充実させているのはそれが理由です。
スマートフォン登場後の飲食店の検索方法
スマートフォン登場後はお店探しが複雑化していて色々なパターンが存在ます。
たとえば、ある方の飲食店の検索方法をヒアリングしました。
そうするとこんな回答をもらいました。
Instagramでフォローしているインスタグラマーの方の投稿で、ウニプリンや揚げたての天ぷらの写真を見て、位置情報とタグ付けで店名を確認し、Instagram内で店名で検索をかけて他の写真や評判を確認、食べログでメニューや金額感、店内の様子などを確認し、食べログに掲載の電話番号で電話予約しました。
この方の探し方は下記のような流れになりますね。
1.Instagramで新しいお店の存在を知る(”注目”)
2.Instagram内で店名検索(”興味”)
3.食べログで店名検索(”検索”)
4.食べログの予約専用番号で電話予約(”購入”)
SNSをキッカケにお店を知り、最終的に食べログで電話しています。
かつて、ホットペッパーのフリーペーパーが担っていたパラパラとページをめくって新しいお店を発見するという役割はInstagramの写真で選べるという特徴に役割を奪われてしまいましたね。
飲食店の方は”新しいお客様にお店を見つけてもらいたい”という目的でグルメサイトに広告料を支払っているはずです。
このケースでも飲食店の方は”食べログに広告費を支払って掲載した効果”として認識してます。
他の方の飲食店の探し方はこちらです。
まずはじめに、Googleで「肉 ディナー 場所」や「魚 おしゃれ 女子会 場所」と食べ物と場所以外のこともいれて検索します。評価は、Googleの評価を参考にしています。そこからぐるなびやホットペッパーで写真やメニュー、コースを見たりします。
お店を決定した決め手になったのはなんですか?と質問したところ
ホットペッパーでコースが安くなっていたところが一番です。Googleの口コミもそこまで酷いものはなく、おいしそうだと思いそこに決めました。
1.Googleで検索する("検索”)
2.Googleで口コミ確認(”注目”)
3.ホットペッパーでコースを確認・予約(”購入”)
このように行きたい目的がはっきりしていれば、いきなり”検索”から入り、Googleの口コミを確認し、ホットペッパーで予約をするという流れも存在します。
このケースでも飲食店の方は、”ホットペッパーの掲載効果”で新しいお客様を獲得できたと認識します。
このように、検索の始めから終わりまでのプロセスをヒアリングすると、飲食店探しにおける”新しいお客様との出会い”である”注目””興味””検索”のステージはいまはグルメサイトの役割ではなく、”SNS”や”Google”が担ってることがわかると思います。
新しいお客様を出会いを創出するためには、SNSやGoogleマイビジネスの運用に力を入れるべきですし、広告費をかけるのであれば、Instagram広告やGoogleマップへの広告も検討すべきです。
飲食店経営者「すずしゃちょう」のnoteでも生の声が書いてあります↓
飲食店に限らず商売をされている方はSNSはやるべきです。そして更新も継続していくべきです。特に、ポータル的プラットフォームの媒体の効果が年々下がっているからです。
やはり現場の経営者はご実感されていますね。
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