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コミュケーションを上達する方法

専門用語を使う事で、かえって物事が分からなくなるという話をしたいと思います。

①コミュニ―ケーションとは

流石にこのコミュニケーションという言葉は、ほとんどの人に認知されていると思うので、そのまま使わせて頂きます。とはいえ、一様「コミュニケーション」とは何かを明確にします。

「人間が互いに意思・感情・思考を伝達し合うこと。言語・文字その他視覚・聴覚に訴える身振り・表情・声などの手段によって行う。」~三省堂大辞林より引用

簡単に言うと、コミュニケ―ションとは、伝達の事です。小学校の時に「伝言ゲーム」というのをやったことがありますよね。今考えると実に深いゲームです。人を介すことで最初と最後の伝達事項がほぼ間違いなく違うものになってしまうというあのゲームです。ポイントは「人を介して」という事で、人が介することで、伝わることが伝わらなくなるということです。

実は、私たちは子供の頃から、コミュニケーションの難しさを、実践で学んでいたことになります。勿論、そこまでは考えていなかったでしょうが・・・。

②なぜ、正確に情報が伝わらないか?

では、「伝言ゲーム」のように、人を通すと何故伝達内容が変わってしまうのか?根本的には、伝達相手の価値観や考え方がその伝達事項に影響され、内容が変わってしまうという事です。因みに価値観というのは「その人の過去の経験や体験の記憶から出来たその人オリジナルの価値基準・考え方」です。

例えば、10人の人に猫の絵を描いてくださいというと、10枚違った猫の絵が出来上がります。三毛猫もいれば、黒猫もいます。中にはキティちゃんを描く人もいます。これがそれぞれの人が持つ価値観から描いた猫の絵です。まず、間違いなく全員違う猫を描きます。このように、猫というはっきりした対象を描くだけでも、これだけの違いが出るわけです。

では、人間の脳の中でどういう事が起こっているか?まず、猫という言葉を聞いた瞬間、人それぞれの「猫に関する情報記憶」が引き出されます。そして、そのイメージを思い描い出し描いたものが先ほどの10種類の絵です。要するに、人それぞれ違った猫に関する「記憶」を持っているわけだから、当然にその人独自の絵が描かれるわけです。

コミュニケーションの難しさは、正にここにあります。要するに、同じ言葉を聞いても、聞いた人たちのその言葉に対する「記憶」が、個人個人絶対に違うのです。勿論、伝える発信者にもその人の価値観が反映され、それが相手に発信されます。そして、その発信を聴いた人は、自分の価値観からその情報を処理し始めます。当然に、発信者と発信を受けた人の価値観(過去の経験・体験記憶)が違うわけだから、発信者の思う通りには受け取らないわけです。ここに、コミュニケーション・ミスが発生するのです。

このコミュニケーション・ミスは絶対に排除できません。なぜなら、それぞれ人間の記憶(価値観)が違うからです。これを前提で、話をさらに進めます。

③コミュニケーションの目的は何?

コミュニケーション、つまり情報を伝達させる難しさを何となく感じて頂けたと思います。それでは、コミュニケーションの目的とは何か?勿論、情報を伝えることです。付け加えるならば「正確な情報」を伝えることです。

先ほど説明したように、基本前提として、あなたの発信する情報は「受ける側は、受ける側の事情(価値観)で解釈する」ということを再度頭に刻み込まなければなりません。そのうえで、正確な情報を伝えるためにはどうしたら良いか?

それは相手の価値観を想定し、誤解や曲解を生まない発信を心掛けることです。その為にはどうしたら良いのでしょうか?

④専門用語は使うな!

長く仕事をしていると、多くの会社や部署と関わります。人事異動などで違う部署に行かれた方はわかると思いますが、異動後、当面これまでの知識が使えなくなります。まず、新しい部署で使う言葉や風習を学ばなければなりません。

異動した途端、様々な新しい用語が飛び交います。しかし、新しく職場に配属されたあなた以外の先輩方は、当たり前のように訳の分からない用語で会話を交わしています。数日たつと上司から「田中君、これを○○してから送っておいてくれ」というような指示が飛びます。
お分かりだと思いますがこの○○が、その職場や業界独自の専門用語だったら、この職場の初心者である田中君はチンプンカンプンになるわけです。そこで上司に○○って何ですか?と尋ねると、「お前○○も知らんのか!これまで何を考えて仕事してきたんだ!」と一喝されます。一喝された田中君は怒りと恥ずかしさで二度と質問をしなくなります。結果、仕事は複雑化し難しくなります。何故ならその職場では当たり前の言葉が分からず、仕事をしなければならないからです。結果、ミス連発です。こんなこと日常茶飯事で起こっています。要するに、コミュニケーションが成立していないのです。

今例で出した職場での問題や、多くの上に立つ人が勘違いしているのが「専門用語を使う事がレベルの高い仕事をしている」という勘違いです。難しい専門用語はもちろん、外来語をベースにした専門用語を多用することで、専門知識の高い事を話していると自分に酔っている人さえ出てきます。これは本当に大きな問題であると思います。

例えば最近ではPDCAが大事だ!何事もPDCAを考え行動しなさい!と。おそらく言っている本人も本質はわかっていないと思います。PDCAと一言でいえば、何か仕事が全てうまく回る的に考えているのでしょう。百歩譲って、発信者のあなたがPDCAを理解しているとしましょう。PDCAを勉強したあなたは、確かにこれは役に立つと思い部下を集めて発信します。「今日から君たちの業務は必ずこのPDCAを意識して行うように!」と。

それを聴いた部下たちがPDCAをという言葉の意味や、聞いたことがあっても内容までわからないという状態を想像してみてください。この部下たちにあなたの伝えたい事は伝わるでしょうか?ここで部下から「PDCAって何ですか?」と来ようものなら、「PDCAも知らないのか!ビジネスマンとして失格だ!」なんて一喝したら、あなたと部下たちの関係は一貫の終わりです。

仕事=コミュニケーションです。これ以外ないです。そうですよね、仕事そのものが伝達行為の連続なのですから。では、コミュニケーションは何のために行われるのですか?勿論、必要事項を相手に正確に伝え、理解し行動に繋げるまでが、コミュニケーションの本質です。

⑤相手の理解してもらい行動に繋げる

世の中の偉い方のプレゼンテーションを見ると、専門用語がぎっしりです。同じ業界でその言葉に精通している人が聴けば意味は分かるでしょう。しかし、それ以外の人が聴いたらどうでしょう?何の為のプレゼンテーションでしょう?

コミュニケーションの最終目的は、発信者であるあなたの意向を、相手方に理解してもらい、何らかの行動に繋げることです。耳触りの良い外来語や専門用語を多用するのは、発信者としては気持ちがいいかもしれません。しかし、受け取る側はその分からない言葉を聞いてどうでしょう?

何度も言いますが、コミュニケーションの目的は、必要事項を相手に正確に伝え、相手がそれを理解し行動に繋げるという事です。専門用語や耳触りの良い外来単語を用いるのはよいのですが、あなたの目的は何なのかという事を、発信する前に考えて見ましょう。ともかくも、コミュニケーションを成立させなければ発信の意味は全くありません。コミュニケーションは、単なるマスタベーションではないのですから。

―今日の名言―
「お互いに日本語をしゃべっているから意思の疎通ができている、というのは錯覚だ。」
~羽生善治


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