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全ての印象は3種類に分けられる

印象の研究で良く使用される手法に、OsgoodのSD法というものがあります。それによると多くの印象は3種類の因子に分けられるそうです。出典はこちらです。

SD法

Semantic Differentialの略で、アメリカの心理学者Osgoodが、対象の意味の測定のために開発した手法です。
具体的には、反対の意味を持つ形容詞の対を用意して、対象物の印象を測る手法です。こんな感じです。

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おいしそう - おいしくなさそう
多い - 少ない
エビっぽい - エビっぽくない

EPA構造

美の評価、和音の印象の評価、エビフライのおいしさの評価、ありとあらゆる感覚の評価で使われるSD法ですが、この手法の面白いところは、多くの場合、EPA構造と呼ばれる3つの因子が抽出されるということです。

EPA構造とは、評価性(Evaluation)因子、活動性(Activity)因子、力量性(Potency)因子の3つです。

評価性因子とは、「好きー嫌い」「良いー悪い」に関わる因子、
活動性因子とは、「動的なー静的な」「派手なー地味な」に関わる因子、
力量性因子とは、「固いーやわらかい」「強いー弱い」に関わる因子です。

例えば和音でいうと、「協和ー不協和」が評価性、「派手ー地味」が活動性、「強いー弱い」が力量性になります。他にも色んな評価語が考えられますが、ほぼこの3つの因子に縮約されると思います。

しかもこれに関連した脳活動が見つかっているのも興味深いところです。
以下が出典です。

言語相対論

実はこのSD法は、Osgoodが言語相対論に対する反証として用いていたというのも、面白い話だと思っています。

言語相対論というのは、使用している言語によって、その思考が影響を受けるという理論です。
エスキモーは雪を表現する言葉が30種類以上あって、我々とは違う印象を伴った世界で生きているという感じの考え方です。

Osgoodはこれに対して、多くの対象において共通3の因子が見出されているので、人間の認識は共通であると述べようとしました。ただただ言葉の種類が違うだけで、同じ印象を伴っているということですね。
このあたりはクオリアの記事でも述べましたが、実際のところは観測することが難しいでしょう。

しかし、クオリアの共通性を横に置いておけば、言語相対論を否定することはできないまでも、脳活動に関連する評価語で表現される共通でユニバーサルな印象というものが存在している可能性は非常に高いと私は思っています。

まとめ

OsgoodのSD法で抽出されるEPA構造について紹介しました。
人類に共通の脳活動に関連した、何かしらの3印象というものは存在していそうです。

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