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龍神さんの山

都市の発展に伴い、山には道路を開拓しトンネルを通し、流通が増え、住宅つくり、工場を誘致し、ソーラーパネルを貼り、電線をつなげるために山を削る。
資源のために山を削る。
滝の水が減り川の水が減る。
天候の問題なのか、水脈が変わってしまったのか…

龍神はここ20年ほど流行りを見せていて、スピリチュアル、新興宗教でもてはやされている。龍というのはあくまでも「自然」を司るものであり人が干渉してどうのうできたり、思い通りになるものではない。
しかしながら、龍神という存在もやはり観念としてあるわけで。今回は龍神さんの山のお話です。

龍穴という言葉があるけれど、そもそも龍とは脈のことであり、大概は水脈に関係している。山を歩いていると「龍神社」など、ちいさな祠を見かけることがありますが、 そこには地下水があったり、水の流れが栄えていて木や植物大きく育っている。そしてすこし湿り気が有り、艶がありキラキラして見えるかもしれない。
それをなんとなく誰かさんたちは「パワースポット」と呼び、良くわからないけど手かざしとか、浄化された気になるようだ。

1年ぶりに訪れた某山、今年は気持ちが安定し、体力もついたので新たな感覚で登拝した。
良くも悪くも、気持ちが盛り上がって入れば勢いで登りきり、大した事がなかったと言うことも出来るし、体力不足やメンタルが落ちているときはキツイな、疲れるからもう来たくないな、とその限りのご縁になるかもしれない。

この山は私が子供の頃は人の行き来も多く賑わいのある山だった。山頂にある寺には遠足で子どもたちが集まり、足腰に自信のある年配者、大人、若い人もドライブの中継地点でまあまあ賑わっていたと記憶してる。
いつしか、里は高齢者が増え、その高齢者も家を手放し年々荒れてきている。
観光地としては知っているけれど、信仰自体がもしかしたら少なくなってきているのかもしれない。

橋を渡り参道の入口には二本の大きな木が生えている。そして少し奥に龍神社がある。
立派な社であるが参道から登拝する者よりも車利用の参拝者が多いせいかなかなか人が立ち寄らない。

本日の登拝が無事にできるよう挨拶のために御法楽を行うことにした。行者が法螺貝を立てると不思議なことに、風がふわっと入り込んでくる。
今日は気楽に来ていたので崇拝セット(数珠とか錫杖や経本などのことです🤗)は持ち歩いていなかったのですが、ぶら下がっている鈴を鳴らせと言うかのように風が紐帯をフワフワと手元に寄せてくる。

ああ、手元にきた紐帯を掴み、鈴の束を鳴らす。途中これをやってよかったのか迷ったので止めると、今度はその紐帯が行者の手元でパタパタふわふわ振れるのだ。
つい笑ってしまって、行者さんも心得たのか錫杖の代わりに鈴を鳴り響かせ祝詞とお経を上げた。次来る時は錫杖と鈴を持ってこよう。

法楽をすると、このような現象はよくおこる。花びらがわっと舞ってきたり、天候がパッとしなかったのに日が差しこんできたり、大量のどんぐりが落ちてきたり、小さな木の実をパラパラと落として法楽をより華やかにする。

お供えしたペットボトルの水を空になった器に移し、安全祈願も終わったので早速登ることにした。

行者さんは参道の入口の二本の大木は、この山が竜神に見立てた龍の角であること、そしてその背を歩いていくのだと教えてくれた。
実際クネクネと続くこの山の道は、まるで巨大なヘビやながものが通ったような道筋だ。
そして風が大きく抜ける道もある。
自然豊かな山だ。

久しぶりに平常の状態でこの山と向き合いながら、私が欲しいもの目指すものはなんだろうかとふと思った。私は「目」がほしい。
偏らずまっすぐに観ることができる目。

そして、いままで観えたことがあるものが色彩のない濃淡で表現される「水墨画」のようなもので観ていたことを確信した。
いまも龍の背中を伝い登っているような状態だけれども、それも水墨画のように観えている。役行者のときも、摩利支天のときも、地蔵菩薩のときも、呑龍さんのときもそうだった。中には象徴的な「色」を感じることもある。

観えた通りに描ければ皆さんにもお見せ伝えることができるのだろうけれど、たぶん、私が書いたら画力がなさすぎてへんてこりんな幼稚なものになるだろう。

龍の背中を登るようにして山を進み拝む。
これが龍神さんの山なんだなぁと、何回も登って全然気が付かなかったその価値に今回の登拝では新たな観え方があった。
これが、ご利益なのですが…

何度もいいますが、お参りしたからと言って、突然すごいことが起こる!ということが特に無いのが龍神さんです。
なんでも何処でもそうだけど、お参りしたらすごいご利益(なにな得する)がある!とか宝くじが当たる!とか、そうゆうことではないのです。

とはいっても、何かを始めたりやりたいことがあったときは意識せずともすーーーっとできることがほとんどなので、これこそご利益なのかもしれません。

今回の良いことといえば、下山が早く出来たので少し足を伸ばしたらいい温泉にめぐりあえました🤭

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