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ひび

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日々のことについて文章を書きます。
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2019年9月の記事一覧

亀T

我が店、ライヴ喫茶 亀が年内で取り壊しになるので、移転計画を練っている。だが、怠け者でふしだらな自分は、本格的な物件探し、資金繰り、を未だにせず、ぼんやりとスマホで河豚の捌き方の動画などを見ている。そのうち誰かに怒られることと思う。しかし自分は、他人に怒られることを極度に嫌うので、怒られないよう、人前では頑張っている風な青年を取り繕っている。そんな自分にも、周りの人たちが、協力します、と言ってくれ

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悪魔ファウストまるちゃん

時折、ふいに誰かを想い出す。過去に出会った人たちの中から、突然一人の人間が現れて、やぁ、久しぶり、と目の前に立っている。あぁ、そういえば、こんな人おったなぁ、確か…、と巡らせては、様々な光景が甦り、次第にその人のことが頭から離れなくなる。そうしたことが、稀に起こる。

あれは去年か一昨年の夏、自分は友達と新世界へ遊びに行き、プールでも入ろうかと、スパワールドへ行ったのだった。世界の大温泉スパワール

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100日

今年、残り100日だという。う、うそだろぉ!

今更焦っても仕方あるまい。とりあえず珈琲でも飲もうではないか。嗚呼…。

はぐれ者

自分は自分のライヴにどんなお客が来てくれているのか、はっきりとは分かっていない。というのも、自分たちのライヴに来るお客は、終演して客席の明かりが付くやいなや、そそくさと帰る方が多く、どちらかというと物静かで控えめな様子である。中には少し話し掛けてくれる方もいるが、それも至って控えめに感想を述べて、帰られる。シャイボーイ&ガールの巣窟だ、と揶揄されたが、別に良いではないか。

我が店、ライヴ喫茶 亀

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人魚の肉

福井県の小浜(おばま)にやって来た。海沿いの田舎町で何も無い。明日、Tづらが全国女流落語家大会に出場するというのでついて来たのだが、何もこんな寂れた街で開催しなくても良いだろうと思う。どうやら何年か前にやっていた、女落語家が主人公の朝ドラの舞台が小浜だったらしい。何でもかんでも、あやかれば良いというものでも無い。

この街の名物は鯖である。鯖街道という名の道には鮮魚店ひとつしか無く、後はシャッター

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髭女

今日、我が店、ライヴ喫茶 亀に来たお客、この方は以前にも何度か来たことがある小綺麗な女性であるが、カウンターでカシス・オレンジを飲みながら、ほろ酔い気味にまじまじと自分の顔を見つめてくるので、あれ?惚れられたのかな?と自分は思った。そこで瞬時にクールに格好付けて煙草に火を付けたのだが、その方は途端に表情を曇らせて、どこか苦々しい顔をしながら一言、髭剃りました?と言った。

確かに自分は一昨日の夜、

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ベイビー、愛してる

昨日は敬老の日であった。自分もたまには老人を敬うかと思って、今日は昼間から祖母の家へ行った。祖母は一人住まいで、老犬(パピヨン15歳)とともに暮らしている。姉と、姪(11ヶ月)も来るというので、姪に何か買って行ってあげようかと思ったが、貧困叔父さんの自分は結局手ぶらで行った。

祖母はそれなりに元気であったが、犬の元気が無く、夏の暑さにうなだれている様子だった。自分はこの犬が好きで、また、この犬も

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12時間

一時に起きて、水を飲み、小便して、また寝て、起きて、煙草を吸って、コンビニへ行き、レトルトカレーと卵と牛乳を買って、帰宅して、食べて、着替えて、顔を洗って、準備をして、とぼけて、自転車で坂道を下り、ライヴをして、ライヴが終わって、自転車で坂道を上がり、飯屋で飯を食べて、コンビニへ行き、プリンと煙草を買って、帰宅して、着替えて、蟹の水槽を綺麗にして、風呂に入り、髪をバサリと切り、髭を剃り、風呂を上が

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パン

もしも自分がアンパンマンならば、自らの顔をちぎってお腹の空いた誰かに分け与えるだろうか。イエス・キリストがおっしゃられた、自己犠牲に基づく無償の愛、というものの強さを、自分は高校の頃に倫理の授業で習った。たとえ自身が傷ついても、それによって誰かを救えるのならば、救おう、という考えである。イエス・キリストの考えを体現するアンパンマンは、素晴らしいお方だと思う。

さて、もしも自分の顔がパンで出来てい

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ルンルン・マップ

我が店に来るお客さんで、今度五月山動物園にウォンバットを見に行くんですぅ、と言う方が何人かおり、自分は嬉しい。ウォンバットとは、世界一可愛ゆし動物かつ自分が最も恋い焦がれている動物なのだが、これまでの布教活動により、色んな人がウォンバットに魅力されてきていることを実感した。しかしファンとは身勝手なもので、もしも世間がウォンバット・ブームとなり若者たちが五月山動物園に大勢押し寄せてタピオカ的なことに

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太陽をしばきたい

8月も終わったというのに、この暑さはどういうわけだ、どういう魂胆だ、はっきり言って怒り心頭、太陽をしばきたい。シャワーを浴びて昼間、颯爽と外出をしたのに、殺人的な直射日光にやられて、5秒足らずで汗だく状態、長袖シャツを着ている自分も阿呆だが、散歩もままならず、冷房と冷水を求めたまま、路傍で野垂れ死ぬ。

だから夏は嫌いだ。真冬の突き刺さる寒さは、まだ良い。コートに顔をうずめて、ポケットにカイロなど

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スキ1000回

noteを開くと、おめでとうございます!合計1000回スキされましたよ!とのメッセージ。何ということだろうか。今までの人生で、人に1000回もスキと言われたことなど有りもしない。勿論、好きとは限らず、鋤かも隙かもスキーかもしれぬのだが、それだけの人が読んでいるということは確かである。

相変わらずのうつつ野郎、暇さえあれば駄文を綴り、誰が読んでいるかも知らず、適当な言葉を吐く。夜になると暗くなり、

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M-1グランプリ

世間の人は知らないかもしれないが、年末に行われる漫才の日本一を決める大会「M-1グランプリ」の予選はもう既に始まっている。今の時期はちょうど全国各地で一回戦をやっていて、それから二回戦、三回戦、準々決勝、準決勝、を経て、年末のテレビの決勝戦、といった長丁場に渡る熱き大会である。

出場資格にはコンビ結成15年以内、という規約があり、我々は何と去年で15年目、今年からはもう出る権利が無い。思えば最初

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猿の暮らし

一昨日、我が店に来た若者がスケボーを抱えておったので、ちょっと貸してくれおれも乗ってみたいのや、と借りて、店前の路上、コンクリートでスケボー板に思い切り飛び乗ったところ、重心を後ろに傾けたためにスケボーのみが前へびゅーんと滑り、自身はバク宙の如く吹き飛んで、空中から仰向けに転倒、その際、頭と左腕をモロにコンクリに強打し、腕は完全に折れたと思ったが、幸い折れてはおらず、しかし肘から二の腕にかけて激烈

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