はぐれ者

自分は自分のライヴにどんなお客が来てくれているのか、はっきりとは分かっていない。というのも、自分たちのライヴに来るお客は、終演して客席の明かりが付くやいなや、そそくさと帰る方が多く、どちらかというと物静かで控えめな様子である。中には少し話し掛けてくれる方もいるが、それも至って控えめに感想を述べて、帰られる。シャイボーイ&ガールの巣窟だ、と揶揄されたが、別に良いではないか。

我が店、ライヴ喫茶 亀では他にも様々なお笑いライヴが行われており、やはりライヴによってお客の色も違う。中には空洞の脳を持つ恥知らずの人たちがやって来ることもある。有り難いことに、我々のライヴでは空洞脳の人間はおらず、皆、わきまえた人たちばかりで、それを自分は誇りに思っている。そして、おれもお前も、どの道、リア充やパーティーピープルにはなれぬ、はぐれ者だ。

先日ライヴ喫茶 亀に来た女性は、現在高校生で、初めて亀に来たのは中学生の頃だという。初めはびくびくしながら、一人でライヴを見に来たらしい。以後、何度もライヴを見に来てくれているというが、はて、自分は今まで全く知らなかった。我々のライヴのお客は、男女比率は半々ほどで、どちらかというと大学生や社会人など年齢層は高め、だと勝手に思っていたので、驚きである。そして、そんなうら若き女性が来ていることも知らずに、自分は、時には爆裂に下品なことや気色の悪いことを含む、どうしようもない阿呆を舞台で演っていた!恥ずかしい。

けれども、嬉しいことである。普通ならばクラスの友達とプリクラを撮りに行きタピオカを食い散らかすところを、わざわざ我が店に来てくれたのだ(勿論、彼女もプリクラやタピオカは好きかもしれぬが)。何にせよ、こちらのルンルンが多少なりとも伝わり彼女もまたルンルンしてくれたということである。そう思うと自分は心から感激した。なぜなら、完全にどうかしているからである。彼女はきっと、その他大勢の空洞脳JKとは違って、素敵な、頭のおかしい大人になることだろう。

何もいりません。舞台に来てください。